今日は、宮城県岩沼市の「千年希望の丘 ファイナル植樹祭2022」の模様をお伝えします。

場所は、宮城県岩沼市「千年希望の丘」。
岩沼市と鎮守の森のプロジェクトが2013年から取り組んできた命を守る森づくりも9年目。




「鎮守の森のプロジェクト」

植樹会場には、およそ850人という大勢のボランティアの方が集まり、植樹祭・開会式では、岩沼市とともに植樹をすすめてきた「鎮守の森のプロジェクト」理事長・細川護熙元総理が挨拶しました。

細川護熙元総理:9年前からずっと植樹をして参りました。
今、市長さんからも40万本というお話がありましたが、宮脇先生がもしお元気でいらっしゃったならば何と言われるだろうかと想像するんですが、おそらく先生は「こんなものでは話にならん。もっとたくさん植えなきゃダメだ」と思っておられるだろうとそんな気がいたします。
市長さんに伺ったら、海岸線は10キロで10集落あったと。これはとても30何万本だか40万本植えたくらいでは話にもならんなと。何らかの形でまたしっかりした森の擁壁を作って行かなきゃいかんなと言う思いがしています。
この緑の森の防潮堤はおそらく世界でもほとんど類を見ない、後世に残る非常に大きな贈り物だと思います。今日この千年希望の丘の最後の植樹の事業に当たって、皆さん方にもどうぞひとつ歴史的な事業に関わっているんだという想いをそれぞれに持っていただきながら、1本1本植えていただけたらいいなと思っています。



参加者に植樹指導をしたのは、先週スタジオに来ていただいた東京農業大学の研究者で、鎮守の森のプロジェクトの植樹リーダー、西野文貴さんです。

17ブロックの方々、今日リーダーを務めさせていただきます西野文貴です。今日植える木々は全部で21種類です。この2種類はどうやって選定したのか。東日本大震災で津波が起きてたくさんのものが流れてしまいました。でもそんな中で残った森がありました。それが鎮守の森です。そこの森をずっと我々財団を含めて調査をしてきました。そこで残っていた種類がこの種類です。今日はその中でも皆さんに覚えていただきたい木があります。この地域を守ってくれるいわゆる主役の木です。
まずこちらのアカガシという木です。これは将来25メートルくらいに大きくなります。すごく材が硬く赤いのでアカガシ。昔から木刀なんかにも使われます。
こちらはシラカシ。関東にも出てくる木で、25メートルくらいまで大きくなります。
そして一番の主役、この真ん中にあるのがタブノキといいます。これは北緯39度、津波にも耐えてその地域を支えてくれる、根が下まで深く生える木々です。皆さんになじみ深いものだと、アボカドと同じ仲間なんですね。ぜひ皆さんに覚えていただければなと思います。




お話にもありましたが、今回用意された苗木は、シラカシ、アカガシ、タブノキなど21種類。合計1万本。


850人のボランティアの方々は、まだ赤ちゃんのような小さな苗木を手に取り、それぞれの想いを込めて丁寧に植えていきました。



地元の参加者:ここ、津波に流された地域に住んでいました。今は岩沼の別の地域に移住しました。この植樹祭は最初から参加しています。そこはもう2~3mになってるかな。これが10キロ繋がっていく。震災前は松が多かったんだけどこれは広葉樹・常緑樹が多いから防波堤の役割になるんじゃないかな。自然豊かでみんなが集える場所になったら嬉しいね。


東京からの参加者:東京から参加しています。小学校4年の娘と一緒に行きました。今後、うちの会社でもこういった取り組みをやりたいなと思って勉強のために来ました。50年先、100年先、1000年先というところまで想いを馳せたのは初めてでしたので、いろんなことにおいて見る目が変わりましたね、




そしてこの植樹祭には、鎮守の森のプロジェクトの活動に協賛しているAIGグループの皆さんも参加されていました。



地元仙台の近くの富谷市っていうところから来ました。これまで3回ぐらい参加しています。これがファイナルになっちゃうというのも寂しい話かもしれないですけど、まだまだ植えるところがあるでしょうからね。ここからどんどん植えた苗木が大きくなっていきますが、昔の、鎮守の森のお祭りなんかがありますよね。そういう感じになるといいんじゃないですかね。



ハヤサカです。今日は孫と参加です。ママとおじいさまと3世代。植樹ははじめての参加でした。私ももともと生まれは沿岸部で実家のほうは全部流されちゃって。やっぱり大きな木がなくなったので、これが育ってまた大きくなればその分だけ防波堤がわりになるかなという感じで。お孫ちゃんたちの時代に万が一のことがあったときに守ってくれるものだなと思って植えていました。


仙台から来たカタオカと申します。震災の時は松島を営業していて危なく津波に飲まれるような感じでした。高台に逃げましたのでその日は帰らなかったんですけど、津波を見ながら車で待機していました。こういった森の防潮堤、一部の方々しかこういうのってわからないと思うので、できれば本当に多くの方々に知ってもらって協力いただけると、なお良いんじゃないかなと思いますね。

そして、AIG代表のジェームス・ナッシュさんの姿もありました。



ベリーエンジョイ!オフィスに座っているより楽しいです。森が地域の住民を守りながら、自然と地球を守ることにもなってほしいと考えております。

 

今日は宮城県岩沼市の「千年希望の丘 ファイナル植樹祭2022」の模様をお伝えしました。
この9年で植樹された数は、33万7000本。岩沼市沿岸部、総延長10キロにわたる「千年希望の丘」の植樹地はこれからもみんなに見守られながら、育っていきます。10年、100年、1000年先には、どんな姿になっているのでしょうか。

来週は、この植樹祭に合わせて行われた「9年前に植樹した森を歩こう」というフィールドワークの模様をお伝えします。


「鎮守の森のプロジェクト」  

【今週の番組内でのオンエア曲】
・四月の風/エレファントカシマシ
・木を植えた男/ Monkey Magic
     ポッドキャストを聴く  
今日は、この番組もずっと参加してきた
鎮守の森のプロジェクトについてお伝えします。
東日本大震災をきっかけに始まったこの森作りも回数を重ね、
本当に豊かな森が育ち、次の段階へ向かおうとしています。
このあとスタジオに、このプロジェクトで植樹指導を続けてきた
東京農業大学・西野文貴さんをお招きしてお話聞いていきます。


「鎮守の森のプロジェクト」



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高橋:きょうはスタジオにこの方にお越しいただきました。
東京農業大学の研究者で、鎮守の森のプロジェクトの植樹リーダー、
西野文貴さんです。よろしくおねがいします。


西野:よろしくおねがいします!

高橋:今回は、私もずっと参加してきた
東日本大震災で被災した東北沿岸部を中心に続けてきた「鎮守の森のプロジェクト」による森作りの今年の活動について伺いのですが、改めてこの植樹が目指す「命を守る森」これはどういうことか教えていただけますか?


西野:やっぱり、東日本大震災で大きな津波がきて
たくさんのモノが流されてしまった。でも、その中で残った森があった。
どうやら、それを調べていくと「鎮守の森」であった。
その木々は、根がすごく深くまで入っているんですよね。
例えば、植樹でも植えられている木で“タブの木”は、
将来30mまで本来であれば育つ木なんですけども、
この気の根っこが下までグッと入っていて、
そういう木々があることで、神社が守られていて流されていないと。
じゃあ、この先、また来る津波に対して
コンクリートの防潮堤だけでなく、自然に守ってくれる
森の防潮堤を海岸線にずっと作っていこうということで
始まったのがきっかけなので、
岩沼の活動もありますが、南相馬や東北沿岸ずっと
森の防潮堤を作っていこうという活動になります。


高橋:私も植樹に参加させていただいて、いろんな気を植えるじゃないですか。
それこそ、西野先生と一緒に植えると、これは低木ですよ。これは大きくなるタブの木ですよとか、いろんな種類の木を植えている印象なんですが、
「鎮守の森のプロジェクト」としては、ゴールというか、
何年後にこういう森を作りたいから、今、こういう木を植えているというのはありますか?



西野:うわぁ。これは結構、なかなか難しい質問なんですけど、
次の津波に備えるためというのが一番にあるので、
基本的には、僕らは30年くらいをみて、
30年後には、20mにはなってほしいと。それを一旦目指しています。
やっぱり、自然がゆっくりでも、勝手に戻るスピードと、
もしくは、その自然がもとに戻るのを後押ししてあげることで
早く、それができるのであれば、早く戻してあげたいと思っています。


高橋:植える種類も変わりました?

西野:やっぱり、この9年間を通して、
その樹種なんですが、途中でここは風がつよすぎるなぁとか、あったときは
新しい樹種を試みて、自然にもともとあったやつを使ったりとか、
その中でも面白かったのが2018年くらいに、
実はオオバイボタという木を使い始めたんですけども、
これ、今まで一般の流通のなかで生産がなかったんですね。
でも、「鎮守の森」を調査してみると、この「オオバイボタ」という木が
東北では津波に流されずに残っているぞと、言うことが分かったので、
そこから2~3年前から、今まで育てたことなかったんですが、
種から挑戦して育てたという経緯がこの9年間の間にありました。


高橋:「オオバイボタ」、見た目はどんな感じですか?

西野:大きくなっても3mくらいで、
いわゆる低木と言われる木々で、「縁の下の力持ち」
なので、森の中のすごい中にあるというよりは
森の淵にあって、風などが森の中に入らないように
防御してくれるんですよね。



高橋:植樹に毎年参加すると、
全国から、ボランティアの方がいらっしゃって、
地元の方とか、毎年来てくれてくれる方もいますけど
10年近く続けてきて、「森」をつくることとか、
育てるということへの、参加する方への意識の変化って感じますか?


西野:あると思います。
僕自身も、気持ち変わったかもしれないですね。そういう意味でも。
特に最初は、何にもないところに作り始めて、本当にできるの?と
半信半疑なところもありながらやっていたと。
そこは地元住民の方も「これ本当に大きくなるの?大丈夫か?」
みたいなところもありながら
でも、みんなで協力してやってきたと。
だんだん、3年、4年、5年と経つにつれて
最初に植えた木々は成長してくるんですよね。
その姿を見ると、イケる!と。
だんだん自信がついて、途中で10万本植樹なんていうのも
1万人参加というのもやったんですが
やっぱり、地元の方にもたくさん協力していただいて、
毎年くる方の心の中の木々が、成長しているという感じもします。


高橋:子供の時に植えた木が大人になって森になっていくと
すごい、親御さんが楽しみにしていたり、
「命を守る森」ための営業だけれども、
その人にとっての憩いの場とか。大切な場所になっていくという
ちょっと、いいなと思ってみていますよね。

そうすると、そこだけじゃなくて
周りも変化っておきていくんですか?


西野:あると思いますね。
一番は、植えた木々が成長して
その木の後ろ側とか。要するに風がだんだん暴風されて、
抑えられて、その後ろが早く自然に戻り
やすくなるという効果は、あると思います。


高橋:植えたところだけでなく、
周りにいい機会をもたらすかもしれないと。


西野:僕らが活動させていただいている
沿岸の、さらに海が近い部分は
松の植樹をさせていただいているんですが、
その末も年々。少しずつ大きくなっているんですね。

その木々がさらに大きくなって10m~15mとかなってくれば、
僕らが植えている森も症状効果で両方とも、すごく大きくなってくると思います。

自然っていつも思うのは、比例じゃないんですよね。
毎年、+1+1 されるわけではなく、
途中からグッとおおきくなるんですね。
それが自然というか生物の面白いところだと思いますね。



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ゲストに鎮守の森のプロジェクト・植樹リーダーで
東京農大の研究者・西野文貴をお迎えして、
今年の植樹祭について、お話伺いました。


「鎮守の森のプロジェクト」  

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Meet The Moonlight/Jack Johnson
・歓びの種/YUKI

     ポッドキャストを聴く  
今回は、熊本・阿蘇の自然の「特別な楽しみ方」をお届けします。
その名も「南阿蘇 夜の山散歩」。
普段は立ち入り禁止になっている阿蘇の大草原を特別に開放する企画です。
太陽に照らされていると見えない、日が暮れることで姿を現すもうひとつの阿蘇の姿。



「南阿蘇 夜の山散歩」は、熊本地震後の南阿蘇村で生まれたアイデアです。
主催しているのは「REASO(リアソ)」という会社。
地元の様々な関係者が集まって立ち上げた会社で、
アウトドアを中心に南阿蘇の魅力を発信する企画を展開しています。
代表の増田一正さんに伺いました。


「星と火山と草原と南阿蘇」

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<< 現地レポートの様子 >>

高橋:震災前に立ち上げたREASOについて教えてください。

増田:地震後中までいろいろ考えまして。
どうやって南阿蘇を復興できるか。旅館業英会話デザイナーアウトドア飲食店、公認会計士。


高橋:アウトドアで盛り上げようということ?

増田:自然がすごい豊かできれい。
それを生かした観光を盛り上げができればとアウトドア中心に。


高橋:4月から夜の山を散歩するイベントが?

増田:毎週土曜日、夜の山散歩を。
星は宇宙の物語で火山は地球の営み。
草原は人の力が入っている。
3つを感じてもらえる阿蘇はなんどいっても私も感動する。




高橋:どんなところを散策するんですか?

増田:牧野という赤牛が放牧されている草原がある。
牛が寝ている横を歩いて目指すは夜峰山の山頂。
標高930m。満月の日は懐中電灯もいらない。
新月の時は満天の星空が条件次第でみられて
星の明かりでゆっくり上っていく感じ。




増田:場所は阿蘇のカルデラ。
100kmのなかのカルデラの地形が阿蘇。
その中心からちょっと外れた夜峰山の山頂でやっている。


高橋:頂上でなにを?

増田:寝っ転がれるマットをレンタルして広げて、
星空を見たりうちのなかにいるような静かなひと時が流れる。


高橋:天の川も見られます?



増田:もちろん見えるしながれ星も。
透き通った空が広がるときは。
山頂からは南阿蘇の夜景もみられるので人の明かりも見えるし
宇宙や地球、草原の歴史観のなかでいま包まれているとか、
一緒に大事な人といられる、
ひとときが感じられるのが夜の山散歩の醍醐味です。


高橋:カルデラはすごいですね。

増田:カルデラの地域も、9万年前、
いろんな火山があってマグマが出て地下に空洞ができて
地盤沈下でくぼみができて、8000年前は中腹まではカルデラ湖。
いま暮らしがあるところは水の底だったが
そのカルデラの一つが決壊して湖が流れて
肥沃な大地となり今の生活につながっている。
その崩れたところが6年前の熊本地震、断層が走ったところで、
そこには昔から断層があって地震が起きていて、
自身は大変だがなかったら今の阿蘇の景色はできていないと思っている。


高橋:阿蘇で暮らしていると感じますね。

増田:普段は感じない、
薄れているが改めてみてすごいなと感じますね。




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「南阿蘇 夜の山散歩」のリポートお届けしました。

★増田さんが営むレストラン「Minaasoマルデン」  


「星と火山と草原と南阿蘇」
・「南阿蘇 夜の山散歩」は、4月から11月まで楽しめます。
・所要時間…4月~10月はよる8時~10時
詳しくは、HPをご覧ください。



【今週の番組内でのオンエア曲】
・Starving/Hailee Steinfeld & Grey
・時間旅行/Dreams come true

     ポッドキャストを聴く  


今週も引き続き、阿蘇の伝統野菜「阿蘇高菜」で作ったマスタード、
その名も「阿蘇タカナード」をはじめ、様々なアイデアで先祖代々の土地と農業を
1000年先まで残そうと挑戦を続ける、阿蘇さとう農園からのレポートです。
阿蘇のシンボルともいえるあの美しい草原のお話。
あの草原を守るために、いま阿蘇さとう農園はあることを始めているんです。
何だと思いますか。ヒントはこれです。めぇぇぇぇぇぇぇ。


「阿蘇さとう農園」

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<< 現地レポートの様子 >>



佐藤:私が新規就農して最初にできた商品が阿蘇タカナードです。
マスタードを作ったんですけど、阿蘇高菜に関わることで
地域の課題ってたくさんあるんだなと逆に気づかされたんですね。
阿蘇高菜は高齢の農家さんしか作っていなくて、
次の世代にどうにか受け継いでいかなきゃいけない
ということが分かりましたし、阿蘇をもうちょっと広く見てみると
農地もたくさんあってそれと同じくらい草原が広がっていて、
やっぱり担い手を作っていくこともそうですし、
どうやって維持していくかも私たちが考えていかなきゃいけない。
なので、また畑の部分は高菜を作っていくことで
ちゃんと収入を確保するという解決策ができるのかと思いました。
次に草原の部分は毎年住民総出で野焼きを行って
人為的に維持しているという背景があって
それが1000年続いてきたというデータがあるんですが、
観光の目玉にもなっているんですよね。
なので1000年後の阿蘇に住んでいる人たちにも草原を残して
観光としてもたくさんの人に楽しんで欲しいなと思いましたので、
草原のほうには草を食べる動物を放牧して
少しでも野焼きの労力を軽減できないかなと考えているような形ですね。


高橋:放牧というお話がありましたが、最近では阿蘇・羊の放牧というのを始めたと聞きましたが教えてもらえますか?

 

佐藤:私たちさとう農園はちょうど2年前に羊を導入しました。
もともと地元にあった大学で阿蘇の草原を維持するのに
羊と牛と一緒にやっていくのが良いんじゃないか
という研究がされていたんですけど、
なかなか実際に取り組む農家さんがいなくて、
いま私たちと6軒くらいのグループを組んで
阿蘇で羊を放牧して草原を維持していこうと取り組みを始めました。


 

高橋:草原を維持するには牛が踏み固めるのも良いと取材しましたが、なぜ羊も一緒だと良いんですか?

佐藤:牛と羊とでは好む草が違うらしいんですよ。
羊も同じ牛の仲間なので体の構造は似ているんですけど、
好む草が違ったり行動もちょっと違ったりするので、
うちでは羊を飼い始めていて、近くのNPOさんで
赤牛を飼育してらっしゃるところがあるんですが、
それを預かって羊と赤牛を一緒につながっていない状態
混牧という形で多様性の中で共同生活をしてもらっているんです。
本当に仲良くお互い助け合って暮らしている姿が、
本当に仲睦まじくてとても癒されます。


高橋:どういうことですか?仲良くというのは?

佐藤:不思議なんですけど赤牛と羊に
1日1回ずつ飼料を与えているんですが、
別々に与えているのにあげているのに
赤牛がちょっと自分の餌をこぼしてみたりするんですよね。
羊が自分のがなくなって足りないよと来たときに、分け与えている。
確実に牛は意識的にやっているだろうという現場を毎日目撃して。
あと虫もやっぱり羊が集ってくると嫌なのでほんとは頭突きとかをして
追い払うんですけれども、首で優しくたしなめるみたいな。
蹴ったりは一切しないで。
それでやっぱり食べる草が違ったり行動も違うんですが
一緒に暮らすことによって人間も含めて
一緒に草原を維持できるんじゃないかなと、
すごくワクワクしています


高橋:羊を放牧する歴史はなかったんですか?

佐藤:なかったようです。
ただいろいろ調査をしていく中で戦後の羊毛需要があって
この地域でも300頭くらい羊が飼育されていたというのも
お話としては残っているところです。


高橋:気になるのが羊毛の活用だけではなく食用としても考えてらっしゃる?

 

佐藤:羊は草を食べてもらうために導入するんですけど、
赤牛と並んでひつじ肉も名産になればいいなと取り組んでいます。
例えばフレンチには欠かせない食材と言うことを言ってもらったり、
思っていたより臭みが少ないということで
焼肉でも楽しみたいと言っていただいているので
可能性はあるかなと思っています。
マスタードと羊肉は相性が良いんじゃないかという下心はあります。




高橋:あと目の前にあるのは羊毛ですよね?

佐藤:これは本当にうちで飼っていた羊で
フェルトのシートを作ってみました。


佐藤:それから毛刈りは全部の羊が1年に1度必ずやっています。
意味合いとしては夏がとても暑いので、
春になったら毛を刈って夏を過ごしやすくしてあげる。
人間はその毛を使っていろんなものを作っていこうと考えています。
私の知り得る限りなんですけれども、
羊は人間と一緒に暮らしてきたからこそ毛が発達したと聞いていて、
やっぱり人間が毛刈りをしてあげることで
羊は体を維持できていると学んでいます。
なので、羊を飼うという事はやっぱり人間がちゃんとケアをしてあげて
暮らしていく必要があると思っています。


高橋:この先のさとう農園の未来は?

佐藤:うちも高菜や羊だったりいろんなことをしているんですけど、
さとう農園としてやっていきたいこととしては、
阿蘇地域をずっと維持していくための兼業農家さんだったり、
農家じゃない人が農業に関われるような
いろんなモデルを作れたら良いなと思っています。
草原にはたくさん牛や羊が放牧されている姿が理想ですし、
畑も耕作放棄地にならないくらいみんなが
農業を盛んにやっていろんなものを作っている状況が理想なので、
そこに対してできることをやっていきたいなと思っています。




高橋:本業もやりながら農業も手伝う人がいて耕作放棄地がなくなる。そうなっていかないと継続は難しいかも知れないですね?

佐藤:阿蘇地域に関しては年に1度の野焼きがあったり
地域の人が担っている部分がすごく大きくて、
地域の景観を維持することに住民の方が多くが関わる必要があるので、
そこにただボランティアだけじゃなくて
やっぱり収益を生むような活動をしつつ、
地域を維持できて景観を維持できる仕組みが必要だなと考えて
行動に移しています。


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熊本県阿蘇市「阿蘇さとう農園」から、佐藤智香さんのインタビューをお届けしました。

今回はこの、阿蘇高菜の種をマスタードにした
「阿蘇タカナード」を3名の方にプレゼントします!



お肉に合わせるのはもちろん、ピザやポテトサラダ、納豆などに合わせても美味しいです!
ご希望の方は、番組HPのメッセージフォーム番組HPから「タカナード希望」と書いて送ってください。

(※当選者の発表は、発送をもってかえさせていただきます。)


【今週の番組内でのオンエア曲】
・ フォエバ /BENI
・ ファンタジア /Livetune adding 原田郁子


     ポッドキャストを聴く  
今回は、九州・熊本 阿蘇市からのレポートです。
阿蘇といえば美しい草原、豊かな水、そして農業や牧畜で知られる土地ですが、
この土地から生まれた、新たな名物が注目を集めています。
その名も「タカナード」。



阿蘇の伝統野菜「阿蘇高菜」を使ったマスタードで
お肉にも野菜にも合います!
実は、これを生み出したのは、まだ30代前半の女性。
先祖代々の土地と農業を、1000年先まで残そうと挑戦を続けています!
このあと詳しくお伝えします。


「阿蘇さとう農園」

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<< 現地レポートの様子 >>



高橋:いま阿蘇のカルデラの北側、阿蘇さとう農園にお邪魔しています。
左を見ると阿蘇山、畑も見えて・・・・佐藤ちかさんよろしくお願いいたします。
阿蘇タカナード、我が家は切らしたことがなくて。肉にも野菜にも


佐藤:ありがとうごあいます。
わたしたちも製造販売していますが、お店に置くことが多いんです。
どういう方がどう使っているか、切らしたことがないなんて
初めて伺って嬉しく思っています。


高橋:いまわたしたちがいる阿蘇さとう農園は2014年にオープン。
その前はクルマのデザイナーを?


佐藤:デザイン部なんですがデザインの立体化をするモデラー。
大阪の方の会社にいました。
阿蘇に戻ったきっかけになったのは東日本大震災と
翌年の阿蘇地域も被害を受けた豪雨災害。
立て続けに日本が被害にあったのを受けて帰って力になれないかと
勝手に考えてUターンしたと。


高橋:それまでは?

佐藤:もともと祖父祖母が農家だったんですが、
兄弟は誰も継がないことが分かり、長女ということもあって、
やってみたいと思って家族に話して
先祖代々の土地を使うことになりました。
祖父祖母の時代は昔ながらの農業で、家に牛や馬がいて、
畑で色んな野菜をその時期その時期で栽培して出荷していたという。


高橋:どういうふうにそれを自分なりにやっていこうと思ったのは?

佐藤:最初はいろんな野菜を作ってみて、
いま8年目で阿蘇高菜と草原を使った牧羊が
大きな柱になっていくかなとわかってきたところです。
阿蘇高菜はずっと栽培して漬物にするのが続いていましたが、
それだけじゃなく形を変えて私はマスタードを作っていきたいと思っています。




高橋:高菜は阿蘇地域では昔から収穫されていた?

佐藤:うちの祖母が90代ですが生まれた時にはあったんです。
毎年自分の家で種をとってそれを次の年に巻いて毎年作ってきました。
収穫に特徴があって、普通の高菜は白菜ほどじゃないですが、
大きな形をしているが阿蘇高菜はほうれん草のような細い形で、
普通の高菜は束で鎌でざくっとで収穫するが、
阿蘇高菜はお茶の新芽のように手積みで柔らかいところを
1本ずつ折って収穫するスタイルなので、
春の3月二十日から〜4月あたまくらいまでが収穫期になります。


高橋:タカナードは葉っぱではなくタネを利用しているんですね?

佐藤:そうです。
新規就農1年目に高菜も作付けをしていて、
自分で漬物に加工して販売したんですよ。
収穫も漬物も作って販売して、葉っぱの収穫期がとても短くて
その瞬間に取らないといけないことに気づいたんです。
それからお漬物を販売すると、だんだん食卓から減っていて、
地元で安く販売されていることを知って、
これはちょっと農家としては採算が難しいと気づきました。
なので私が着目したのがタネなら収穫時期が長いんですよね。
手積みじゃなくて機械でも収穫できることも見込んでいたので、
タネを食用に使えれば阿蘇高菜はもっとたくさん栽培して
後世に残せるという期待をマスタードを作り始めました。


高橋:でもどうしてタネをマスタードにしようと思ったんですか?

佐藤:これは私も運が良くて、
たまたま夕飯時にテレビを見ていたら
マスタードづくりの番組があったんです。
それまで食卓にマスタードがある家庭でもなかったので
なんだろうというところから始まったんですが、
マスタードは原料が菜種とお酢と塩だとわかって。
だったら高菜も同じ部類じゃないかと思って
隣で食事していたばあちゃんに聞いたら
「むかし、ばあちゃんのばあちゃんが、からしがないときに
高菜のタネばすりつぶしよった、やったことはないけど聞いたことがある」
という話を受けて、高菜も辛味をもっているので
その特性に気づいて、そこから風味を出すことや
辛味を引き出すことをいろいろ試行錯誤して、
結果的にマスタードが出来ました。




高橋:試行錯誤する中で、行けるなと思った瞬間は?

佐藤:それまでは苦味があったり辛味や風味が出ないことが
何度作っても起こって、その解決策が出来たときは、
これこれこの味と嬉しかったのは覚えています。
それでマスタードを作るようになって周りの農家からも
タネを買い取るようになりました。
まわりの農家さんも葉っぱの収穫だけでは時期が限られるので、
それが終わったらすき込んでしまう状況だったので、
もしよかったらそれを残してタネにしてもらったら
うちが買い取りますよということで
どうにか畑の高菜を作る面積を減らさないでほしい
ということで買取を初めて、いまはたくさん集まるようになっています。


高橋:農家さんにとってもありがたいし、良い循環になりますよね?

佐藤:そうですね。
私もそういう助けになればと思っていました。
いま作っている方で時期をずらしていろんな形で
収入にもなることもしてみたいと思っています。




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熊本県阿蘇市「阿蘇さとう農園」から、佐藤智香さんのインタビューを
お届けしました。


今回はこの、阿蘇高菜の種をマスタードにした
「阿蘇タカナード」を3名の方にプレゼントします!



お肉に合わせるのはもちろん、ピザやポテトサラダ、納豆などに合わせても美味しいです!
ご希望の方は、番組HPのメッセージフォーム番組HPから「タカナード希望」と書いて送ってください。

(※当選者の発表は、発送をもってかえさせていただきます。)

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Peruna  / Akeboshi
・Skinny Genes / Eliza Doolittle

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