- 2022.01.30
鳥からみる生態系。小笠原諸島・西之島・_川上和人さん_2
高橋:森林総合研究所・島嶼性鳥類担当チーム長で
鳥類学者の川上和人さんのインタビューをお届けします。
海底火山の噴火が、もともとあった島を飲み込み、
全く新しい島になってしまった小笠原諸島・西之島。
川上さんはその調査チームの一員として、なんども島を調べています。
そして去年の調査では、噴火の影響で陸上の生き物が全くいなくなった島に、
なんとカツオドリという鳥だけが戻ってきて、
びっくりするほどの大繁殖していた!というのがいまの西之島。
そしてこの「鳥」。
離島に生態系が生まれるには、ものすごく重要な存在かもしれない・・・。
鳥の専門家・川上さんはそう考えています。

>>>>>>>>>>>>>>
川上:調査して改めて西之島の凄さは
変化への鳥の適応力がすごい
。カツオドリは噴火前から草の上に巣を作っていた。
巣材にも使うし。しかも断熱材になるんだと思う。
地面から直接熱が伝わらないので
草のあるところを好んで椅子を作っていた。
が、噴火で草がなくなってしまった。
巣作りを止める、他の島へ行く選択肢もあるが、
巣材を使わずに小石をたくさん集めて
巣を作るカツオドリがいたり、漂流物・海に浮いている物を拾ってきて、
人が捨てたプラスティックなどで巣を作ってなんとか頑張っている。
場合によっては一切巣の材料を使わず
直接卵を産んで子育てしているのもいる。
ここまで行動を変えられるんだなとびっくりした。
高橋:新たな進化の過程を見ているような?
川上:生物によってはどうしても
決まった行動しかできないものもいるが、鳥は自由自在な部分がある。
好みもあるのでこれが一番!というのもあるが、
それがダメならこれでどうだ、という感じで別の行動をしている。
西島の変化があったからこそ見ることができた。
鳥たち本人には申し訳ないが、
そういう変化で彼らは大変でも研究者にとってはチャンス。
これを自然の実験と呼ぶ。我々が島を焼き尽くしたり
埋めてしまったら怒られるのでそういう実験はできないが、
自然にそれが起きた時にどういう変化をするのか
きちんとモニタリングして記録することで新しいことがわかってくる。
カツオドリは実はこんな行動ができる、
というのがわかってきた。
高橋:でも鳥がいるなら糞が出て新しい生き物が・・・鳥以外の生き物は?
川上:実はいまはほとんどいない。
いたのが海鳥なのが面白い。
普通の陸上の生物は陸上で食べ物を食べたりしなきゃいけない。
そうすると他に生物がいないと生きていけない。
例えば植物が定着するには肥料になる養分、
淡水の水がないといけないが、
実は海鳥は食べ物は海で魚などを食べている。
陸上に生物がいなくてもそこに巣を作ってしまえばいいだけなので
生きていくことができる。
そうすると全く他の生物がいない不毛の地に
彼らは最初に住み始めることができる。
例えば偶然そこに蜘蛛がやってくることもあるだろうが、
蜘蛛はほかの小さい昆虫を食べるのでそれがいないと生きていけない。
植物を食べるカメムシの仲間も植物がないと生きていけない。
ハエなども動物の死体がないと生きていけない。
他の陸上の生物に依存している。
ところが海鳥は陸上の生物に依存せず陸上で生きていける珍しい生物。
だから海鳥がいることで生物のいる環境が出来上がり、
鳥の糞によって養分が持ち込まれる。
彼ら自身が死んだ体自体が有機物で分解されて
島の土の中に養分を持ち込む。
海鳥は移動性が強いので体に種をくっつけて
他の島からやってくることがある。
そうすると植物を運んでくることもできるので、
いろんな形で鳥がきっかけになって
西島に生物が住み始めるのではないかと考えている。
高橋:それを見ていけるのはすごいですね
川上:そうですね。
このプロセスはいままで世界の誰も見たことがないような
プロセスだったと思う。
高橋:そんななか西島でハエが見つかったと伺いました。
川上:調査後の発表でしたが、実はこのハエはシラミバエ。
これは鳥に寄生するハエ。
ふつうハエはバナナ置きっぱなしにするとよってくる印象があるが、
そうじゃなく鳥の体の上に住んでいる。
さきほどの植物の種子と同じで、
これも海鳥がいたから見つかったと言える。
高橋:自の生態系ができるなら、ガラパゴスとの比較は?
川上:ガラパゴスはいろんな生物が進化したことで有名。
象亀やイグアナ。それらが一体どうやって進化してきたか、
定着したかはよくわかっていない。何しろ誰も見ていない。
推測はできる。DNAを調べれば近縁種が南米にいるから
おそらくそこからきたと推測はできても、
それをちゃんと見た人はいない。
でも西之島は本当に新しい島ができたばかりなので、
ここで何が起こるのかを見ることができる場所。
例えばある種類がそこにいたということを見た時に、
それがいたことはわかっても途中で他の種類が
やってきて絶滅していなくなったということがあっても、
それはあとに残らない。
島という狭い環境でどうやって生物がどういう順番でやってきて、
なにが定着できて、なにが定着できずにいなくなったか、
どういう種類がいたから次のことが起きたかなどは、
途中の段階を見なければわからない。
その結果が見られるのがガラパゴス。
結果に至るプロセスを見られるのが西之島。
ここでこれから何が起こるのかみんなワクワクしている。
>>>>>>>>>>>>>>
高橋:川上さん、鳥に関する面白い本の日本語版を監修されたばかり。
タイトルは『鳥になるのはどんな感じ?見るだけでは物足りないあなたのための鳥類学入門』「鳥の生活や行動などをイラストでわかりやすく解説した本です。

一般の人にも楽しめる内容になっているので、ぜひ多くの方に
ご覧いただけると嬉しいです。」とのことです。羊土社から出ています。
鳥のすごさをさらに知りたい人、ぜひお手に取ってみて。
【今週の番組内でのオンエア曲】
・バラの花/くるり
・gone feat.曽我部恵一/あらかじめ決められた恋人たちへ
鳥類学者の川上和人さんのインタビューをお届けします。
海底火山の噴火が、もともとあった島を飲み込み、
全く新しい島になってしまった小笠原諸島・西之島。
川上さんはその調査チームの一員として、なんども島を調べています。
そして去年の調査では、噴火の影響で陸上の生き物が全くいなくなった島に、
なんとカツオドリという鳥だけが戻ってきて、
びっくりするほどの大繁殖していた!というのがいまの西之島。
そしてこの「鳥」。
離島に生態系が生まれるには、ものすごく重要な存在かもしれない・・・。
鳥の専門家・川上さんはそう考えています。

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川上:調査して改めて西之島の凄さは
変化への鳥の適応力がすごい
。カツオドリは噴火前から草の上に巣を作っていた。
巣材にも使うし。しかも断熱材になるんだと思う。
地面から直接熱が伝わらないので
草のあるところを好んで椅子を作っていた。
が、噴火で草がなくなってしまった。
巣作りを止める、他の島へ行く選択肢もあるが、
巣材を使わずに小石をたくさん集めて
巣を作るカツオドリがいたり、漂流物・海に浮いている物を拾ってきて、
人が捨てたプラスティックなどで巣を作ってなんとか頑張っている。
場合によっては一切巣の材料を使わず
直接卵を産んで子育てしているのもいる。
ここまで行動を変えられるんだなとびっくりした。
高橋:新たな進化の過程を見ているような?
川上:生物によってはどうしても
決まった行動しかできないものもいるが、鳥は自由自在な部分がある。
好みもあるのでこれが一番!というのもあるが、
それがダメならこれでどうだ、という感じで別の行動をしている。
西島の変化があったからこそ見ることができた。
鳥たち本人には申し訳ないが、
そういう変化で彼らは大変でも研究者にとってはチャンス。
これを自然の実験と呼ぶ。我々が島を焼き尽くしたり
埋めてしまったら怒られるのでそういう実験はできないが、
自然にそれが起きた時にどういう変化をするのか
きちんとモニタリングして記録することで新しいことがわかってくる。
カツオドリは実はこんな行動ができる、
というのがわかってきた。
高橋:でも鳥がいるなら糞が出て新しい生き物が・・・鳥以外の生き物は?
川上:実はいまはほとんどいない。
いたのが海鳥なのが面白い。
普通の陸上の生物は陸上で食べ物を食べたりしなきゃいけない。
そうすると他に生物がいないと生きていけない。
例えば植物が定着するには肥料になる養分、
淡水の水がないといけないが、
実は海鳥は食べ物は海で魚などを食べている。
陸上に生物がいなくてもそこに巣を作ってしまえばいいだけなので
生きていくことができる。
そうすると全く他の生物がいない不毛の地に
彼らは最初に住み始めることができる。
例えば偶然そこに蜘蛛がやってくることもあるだろうが、
蜘蛛はほかの小さい昆虫を食べるのでそれがいないと生きていけない。
植物を食べるカメムシの仲間も植物がないと生きていけない。
ハエなども動物の死体がないと生きていけない。
他の陸上の生物に依存している。
ところが海鳥は陸上の生物に依存せず陸上で生きていける珍しい生物。
だから海鳥がいることで生物のいる環境が出来上がり、
鳥の糞によって養分が持ち込まれる。
彼ら自身が死んだ体自体が有機物で分解されて
島の土の中に養分を持ち込む。
海鳥は移動性が強いので体に種をくっつけて
他の島からやってくることがある。
そうすると植物を運んでくることもできるので、
いろんな形で鳥がきっかけになって
西島に生物が住み始めるのではないかと考えている。
高橋:それを見ていけるのはすごいですね
川上:そうですね。
このプロセスはいままで世界の誰も見たことがないような
プロセスだったと思う。
高橋:そんななか西島でハエが見つかったと伺いました。
川上:調査後の発表でしたが、実はこのハエはシラミバエ。
これは鳥に寄生するハエ。
ふつうハエはバナナ置きっぱなしにするとよってくる印象があるが、
そうじゃなく鳥の体の上に住んでいる。
さきほどの植物の種子と同じで、
これも海鳥がいたから見つかったと言える。
高橋:自の生態系ができるなら、ガラパゴスとの比較は?
川上:ガラパゴスはいろんな生物が進化したことで有名。
象亀やイグアナ。それらが一体どうやって進化してきたか、
定着したかはよくわかっていない。何しろ誰も見ていない。
推測はできる。DNAを調べれば近縁種が南米にいるから
おそらくそこからきたと推測はできても、
それをちゃんと見た人はいない。
でも西之島は本当に新しい島ができたばかりなので、
ここで何が起こるのかを見ることができる場所。
例えばある種類がそこにいたということを見た時に、
それがいたことはわかっても途中で他の種類が
やってきて絶滅していなくなったということがあっても、
それはあとに残らない。
島という狭い環境でどうやって生物がどういう順番でやってきて、
なにが定着できて、なにが定着できずにいなくなったか、
どういう種類がいたから次のことが起きたかなどは、
途中の段階を見なければわからない。
その結果が見られるのがガラパゴス。
結果に至るプロセスを見られるのが西之島。
ここでこれから何が起こるのかみんなワクワクしている。
>>>>>>>>>>>>>>
高橋:川上さん、鳥に関する面白い本の日本語版を監修されたばかり。
タイトルは『鳥になるのはどんな感じ?見るだけでは物足りないあなたのための鳥類学入門』「鳥の生活や行動などをイラストでわかりやすく解説した本です。

一般の人にも楽しめる内容になっているので、ぜひ多くの方に
ご覧いただけると嬉しいです。」とのことです。羊土社から出ています。
鳥のすごさをさらに知りたい人、ぜひお手に取ってみて。
【今週の番組内でのオンエア曲】
・バラの花/くるり
・gone feat.曽我部恵一/あらかじめ決められた恋人たちへ