今週も引き続き、ノンフィクション作家・北尾トロさんのお話です。
猟犬と猟師ってどんな関係なのか。北尾トロさんが長野県で数年間にわたり
取材してきたエピソードをいろいろと伺ってきましたが、
最後は、生き物の命を頂く行為・・・“猟”そのものについてのお話です。



解体をここまで丁寧にやる人は僕も見たことがなかったし、
誰に聞いても船木さんは丁寧だねって。
だって食べるの好きなんじゃないんですよ。
年取ったオス肉を「かたいよ、まずいよ」」とか言いながら
何時間もやっているんです。
それは一応、全部無駄なく使いきるという信念というか、
猟師はそれをしなくちゃいけないというのがあるから。
皮にイノシシの分厚い脂肪を残さないようにやるわけですけど、
その脂肪は固いんですよ。これは鎧と言うんだよと。
鎧を着ているみたいに固いやつだから。
これは溶けないよと。北尾さん後であげるからと。




とにかく丁寧に丁寧にやっていると、犬も早くおやつが欲しい、
僕たちも食べたいと吠えたりするんです。
そうするとイノシシの足首、蹄の部分の骨を、
おやつあげておいてと4本渡されて。
バリバリバリバリと凄い音で10分、15分で何にもないんです。
毛の1本もなく全部食べちゃう。あんなの全然バリバリ食べちゃうよと。



骨も犬が食べてくれるなら何も残らないですねと言うと、そうだよと。
ただ毛皮だけはなかなか劇薬を使わないとなめしたりできないので
自分ではできないんだけどほかは無駄にしない。
あれはすごいですよね。見ていて面白いです。
例えば肋骨とか、スペアリブですよね。
そこを一本一本うまく外していくんですけど、こういう風にやるのかと。
親犬を目の前にした子犬みたいなもので、
俺は解体するのは鳥なんだけどと思いながら。




本当にお肉もおいしいし、猪っておいしいなと思うんだけど。
ジビエが人気はあるけれども、これから先も普及させていくためには、
やっぱり家畜では無いから一頭一頭が個体によって
肉質も違えば差があって当たり前なんだと
消費者の人たちに分かってもらわないと、
均等なものを求められても困っちゃうと。
獲れる時期とか。天然ものだからまだ多少の違いは
ありますよって事はわかってくれってみんな言うんです。
それぐらい違うんですね。
でもしょうがないよね獲れちゃったものは
ちゃんと食べて供養をしないといけないので。
だから僕もがんばって食べましたよ。
家族は誰も食べなかったけど。
毎日毎日それを食べて。


そこまでが狩猟なのかもしれないですね

僕も自分でカモなどととって自分で解体するんですけど、
全部解体をして出汁をとってお肉も食べてそれでやって終わりというか。
そんな感じですね。




川で鴨を撃ったりすると、川には流れがあるじゃないですか。
そうすると今いる場所にめがけて泳いでいっても
流されて全然違う場所に行っちゃいますよね。
それを先読みして。ゴールデンレトリバーとかはそれができるわけですよね。
それだけの知能があるから、ただそれをやったことがない。
なのでいちど体験させれば多分できると言うことで、
本当に電話口からももうウキウキしている。
だから船木さんは一級建築士だし社長さんだし、
地元の名士でもあるんだけど、たぶん船木さんがもしお葬式で
お亡くなりになったらただの犬好き、
犬バカとして送られていくんだなとわかる。
それは本人にとっても幸せだし、
犬との深い関係は何十年もやってきた人として天国に行くんだろうなと言う。
失礼な想像ですけど。
自分がそういう風に倒れて何とか馬鹿と言われてみたいじゃないですか。
僕が見つめてきた船木さんは、本当に犬バカでしたよね。
犬ファーストの人で。長野県というそれをするのに適した土地に生まれ育って、
周りにすぐ山があって、そういうところで
自分の好きなことをやってきた人生なんだから、
本当に幸せな人だなと。


面白かったです、また長野で面白いお話があったら聞かせてください、
北尾トロさんにお話を伺いましたありがとうございました




★集英社からこの春に発売された北尾トロさんの書籍
『犬と歩けばワンダフル  密着! 猟犬猟師の春夏秋冬』。

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Sunday Morning / Maroon5
・お犬様 feat. 尼ンダ / レキシ

     ポッドキャストを聴く  
今週も引き続き、
ノンフィクション作家で、狩猟免許を持つ猟師さんでもある
北尾トロさんのお話です。
長野県で猟犬とともに猟をする「船木さん」のエピソードをいろいろ伺っていますが、
きょうは、北尾さんが数年間、その猟に同行して感じたという
「猟犬の能力のすごさ」のお話です。
実はあなたが飼っているペットのワンちゃんも
猟犬の血を引いていて、すごいポテンシャルを秘めてるかも・・・そんなお話です。



北尾さんの著書『犬と歩けばワンダフル  密着! 猟犬猟師の春夏秋冬』。
では、長野県で猟犬とともに猟を続ける船木さんを数年にわたり取材。
猟犬と猟師の知られざる世界を伝えてくださっていますが、
船木さんが猟犬たちを連れて山へ行くのに
何度も同行されているということですが、猟犬の賢さを感じる時はどんな時ですか?


例えば、狩猟シーズンに山へ行って猟をするのは
当たり前なんですが、それ以外のシーズンも、
ちょくちょく山には行くわけです。
犬をのびのび走らせたいという目的で。
自分たちが管理する山があって、そこだったら平気じゃないですか。
そういうところに連れて行くんですけど、
そういうときには例えば夏も猪はいるわけですよ。
だからイノシシの匂いをかぎつけられるわけじゃないですか。
追いかけたってよさそうなものなのに一切それをしないんですね。


今日は狩猟じゃないというのがわかっている。
なぜなのかと言われると不思議なんだけど、
例えば、船木さんの中から出るエネルギーというか、
やる気みたいなものが出ていないとか、
一番の違いは銃を持っていないということですけど、
それ以外には、例えば船木さんは秋になると
マツタケ狩りに燃えるわけでエネルギーは出ているけど、
そういう時も犬たちはさっさとくっついていくけど
全く船木さんのそばから離れようとしない。不思議でしょ。


不思議ですね。だってリードは外しているんですもんね。



だから銃がないことと、それから無線機がない。
その辺かなとも思うんだけど、本当にいちいち賢いんですよね。
山の奥に行って戻って来いよと呼びますよね。
そうすると戻ってくるんですけど、
その時に、あまり賢くない犬だと自分の匂いをたどって戻ってくる。
だけど賢い猟犬はそうじゃなくて、最短距離で戻ってくる。
だから、僕の目の前から上に上がっていった犬が、
どこにいるかわからない、すると僕の後からヌッと現れたりするんです。


行った時と違う道から出てくるんですか?

そうです。匂いと声のする邦楽とか全てをキャッチして。
耳も良いから。そして無駄なく効率よく戻ってくることができる。
それはすごいよね。


我が家の犬は絶対無理だなと思っちゃいました。

できると思いますがその能力を発揮する機会がないから
使っていないだけで、実はすごいんじゃないですか。


戻ってこないということはないんですね!



船木さんの犬に関してはそうですね。
だから全然心配しないんです。
無線機がキャッチできる範囲って法律で定められているから、
遠くに行っちゃうと地図から消えちゃうんです。
そうすると僕らもおろおろして、どこに行っちゃったんだろうと。
でも船木さんは「遅かれ早かれ戻ってくるから飯でも食うか」
という感じなんです。
だから絶対的な信頼感というか。
ただ、ひとつだけ心配しているのは、
すべての人が猟師に対して理解があるわけでもないし、
犬が好きなわけでもない。
だから、もし何かを追いかけてどこかの集落に獲物が逃げ込んで、
それを追いかけていた時に、リードをつけていないたくましい犬が、
集落をうろつくことになって、
そこにたまたまその家が鶏を飼っていました。
そこでガブっなんてことになったら大事件になる。
そしたら猟師の免許剥奪される!というのかと思ったらそうじゃないんです。
「犬が保健所に連れていかれる」と。
そんなことはできない。だからいつもと違う、
戻ってこない感じでもいろいろ種類あるらしく、
これはいつもと違うと思うと船木さんは必死で探すんです。
集落を。
それで、ここの集落もいない、ここもいないとなるともう安心だと。
車で待ってようか、寝てていいよと。
そうすると戻ってくるんです。車の匂いがわかっているから。
車は移動しても平気です。すごいよね。
でもそんな感じで、犬の賢さには本当に驚かされるというか、
人間の知能とはまた別の生き抜く力とか、備わっていると思います。



猟の成果というのは、、、?

船木さんの場合は年間に5、6頭獲れれば、
まぁいいやという感じなんです。
近年は獲物も減っているんです。
特に猪は、豚熱というウイルス性の病気があって
その影響でちょっと減っているみたい。
だからおかしいな、ここにいないなんてことがよくある。
あと船木さんがあまりガツガツしない猟師なので、
5頭を獲れれば良いかな、という。
イノシシ5頭にシカ1頭。本当にシカって猟師さんは獲りたがらない。
イノシシの方が猟としては高度で面白いんですよ。
シカはひたすら遠くへ遠くへ逃げるんですが、
イノシシは息をひそめたり刃向かったり、相手として手強いわけです。
その手強い相手をいかに追い詰めて、
ということなので猟師はシカを獲ったといっても誰も褒めてくれない。
僕は鹿肉大好きなので、
なんで?シカでいいじゃないですかと言うんだけど、
「シカなんかいつでも獲れる」という感じなんですよね。
それで、実際にシカがいても、船木さんは打ち損じるんですけどね。


「はずしちゃったよ、あはは」って悔しがりもしない。
それと、カモシカって撃っちゃいけないんです。
天然記念物です。でもいまは増えていてちょくちょくいるんです。
でもカモシカかどうか犬はわからないから
カモシカを追いかけて追い詰めちゃったりするんです。
でも撃ってはいけないし万一犬が飛びかかったりしたらダメだから、
「離れ離れろ」と。その辺のことを、
何百メートルも離れた無線機を通して
船木さんが「だめだ!」と言うんです。
船木さんはなぜカモシカだとわかるんですかと聞くと
「犬の鳴き方が違うんだ」と。
「イノシシの時だって相手のサイズによって違うだろ。
俺はオスかメスかも大体わかるよ」と。
それぐらいのアレがあるんですよ、
鳴き声ひとつにも情報があるんです。
うなり方とか、ぐうう~とうなったり、キャインと鳴いたりしたら
相手が強いから早く行かなくちゃ。
そんな感じて、犬と一緒にいるとだんだんと
僕もわからないなりには察しがつくようになりましたね。
3シーズンぐらいやっていると。
言われてみると、弱々しい声だな、自信なさそうだなとか、
いろんなことが見えてくるんです。




★集英社からこの春に発売された北尾トロさんの書籍
『犬と歩けばワンダフル  密着! 猟犬猟師の春夏秋冬』。
が発売中です。


【今週の番組内でのオンエア曲】
・サマー・ガール / HAIM
・Ordinary Joe / テリー・キャリアー

     ポッドキャストを聴く  
今週は、「猟犬と猟師」がテーマです。
猟師さんと一緒に、山や森に入り、狩猟・ハンティングをする犬¬=猟犬。
実は私たちがペットとして飼っている犬も、猟犬の血を引いてたりします。

でも、実際にこういうワンちゃんが「猟をする姿」を見たことがある人は・・・
どうでしょうか?

じゃあ自分の目で見てみよう!と、取材したのが
ノンフィクション作家・北尾トロさん。
舞台は信州・長野。そこで目の当たりにした猟犬と猟師の不思議な関係、
いろいろ教えてもらいました。



『犬と歩けばワンダフル  密着! 猟犬猟師の春夏秋冬』。
にも書いたのですが、
ここ数年取材しているのが猟師と猟犬、それが船木さん。
とにかく変わっている方で、最初に挨拶したとき犬が四頭いて
多すぎない?と思ったんですが、犬の説明をするときも、
すごい情熱的で犬のことばっかり喋るですよ。
犬が大好きなんです。僕が会ったときは70歳だったのかな。
70年の人生で69年は犬と一緒で、全部猟犬。
お父さんが狩猟をやっていて、本業は一級建築士の立派な社長さんなんだけど、
一切その話はしなくてずっと犬の話。
犬たちも船木さんのことが大好きだというのがひしひしと伝わってきますよ。
僕なんかに目もくれないんです。(笑) 




船木さんが飼育しているのは紀州犬、日本の猟犬。
闘争心があって噛む力が強く、つまり山で鳥とかじゃなく
猪や鹿を捕まえるときに活躍する犬なんですね。
その犬たちを連れて山へ行って自分は銃を持って猟をするんです。
山でリードを離すと、自分たちがなんのために山に来たのか
犬たちは分かっていて、もうワクワクなんです。
「猟をするぞ」と。鹿や猪の匂いを嗅いでその足跡を追っていくのかと思ったら
そんなことは全然せず、空中に鼻をすっと持ち上げるんです。
空気、風から分かるというか。鼻がとにかく良いんです。
空気の中に漂うかすかな猪や鹿の匂いがわかるんですね。
本当に1、2秒クンクンとやって山に入っていくんです。


猟師さんは犬の首に無線機をつけているのでどこにいるのか分かるんです。
そしてこっちに行ったなというんで、なにかいそうだから行ってみようか、
という感じで猟が始まる。
スタートは犬から。ドッグファーストですから、あくまで。
犬の行く気にまかせて、山に入っても匂いが薄くなった、
やっぱりいなかったとなるとすぐに戻ってくるんです。



いよいよ獲物がいましたとなると本気モードに入る、スイッチが入る。
そのときは姿勢をぐっと低くして、
すごい脚力でダダダっとあっという間に見えなくなっちゃうんです。
また猟師さんもスイッチが入るから、70歳超えているのに、
一直線にまっすぐに登っていくんです。
普通は迂回しながら行くじゃないですか。
そうじゃなくまっすぐ登っていくんです。



狩猟スタイルはいくつかあるんですが、
船木さんの場合は犬が獲物を見つけて追いかけ、追い詰めます。
吠えたりして、イノシシがいたら足止めし、そこに船木さんが追いついて、仕留める。
犬がイノシシと戦う、犬が勝つんじゃなく、
犬はあくまでボス・お父ちゃんである船木さんが来るまで足止めさせるんです。
船木さんが仕留めると、船木さんは喜びますよね。
犬たちは、それを見たいんです。ご主人・船木さんを喜ばせたい、
船木さんにホメられたい、それでやるんです。
船木さんも獲物を捕ると犬を褒めちぎるんです。
よくやった!と。



それで船木さんは射撃があんまり上手じゃないんです。
何十年もやっているわりに上手じゃない。
それは上手になる気があんまりないからだとだんだん分かってきて。
つまり、いっぱい捕りたいわけじゃないんです。
ほどほどでいい。ただ、理想的な猟犬との猟をしたい。
理想の猟ができたときは本当に、銃を打つのは獲物から5メートルとか
そういう距離になって外しっこない。銃が上手い下手は関係なくて当たる。
そういう考えみたいなのね。犬と一緒に獲物を追い詰め獲物を仕留め、
喜びを分かち合い肉も分かち合う。完璧な猟ができれば、
射撃が下手でも絶対に当たるところから自分は打つことができる。
だから遠くから撃っている時点で失敗、
理想形じゃないという考え方なんです。



ある日電話がかかってきて、
飼っている犬同士の赤ちゃんができたと嬉しそうに電話をかけてきて、
僕は月1,2度ずつ訪ねていたが、しつけをするんですね。
最初に帰巣本能を身に着けさせる。
最初は母犬がそばにいないと、赤ちゃんは不安でしょうがない。
それを犬小屋から出して2m離すとすぐ戻る。
次の日は3m、次は4m.ある日は犬小屋が見えないところまで持っていく。
そうすると山で鹿を追いかけて遠くに行っちゃっても、
船木さんのもとに帰ってこられる。
帰巣本能がしっかり育っていないと、
迷い犬になってフラフラどこかいっちゃうから、
それの適性を確かめるところ。しつけというより適正を見る。
本にも書いたが一度日が暮れてしまって、4時半くらいでも真っ暗になる。
どんどん暗く足元も見えない。怖くて足がすくんだが、
生後半年の子犬たちがちょろちょろと来て僕を案内してくれた。
それも人間が歩きやすい道を、斜めに斜めに誘導しながら。
3mに一度くらい振り向くんです。「ちゃんと来てる?」みたいな感じで。
犬ってすごいなと。
本当に生まれたときから全然能力が違う。
人間にしか無い能力もあるけど、
山だとぜんぜん犬のほうが上だなと。



★集英社からこの春に発売された北尾トロさんの書籍
『犬と歩けばワンダフル  密着! 猟犬猟師の春夏秋冬』。

今週も、ノンフィクション作家・北尾トロさんがここ数年取材を続けている
信州長野の「猟犬と猟師さん」についてのお話でした。
次回もどうぞお楽しみください。



【今週の番組内でのオンエア曲】
・ミルクとシュガー duet with 上白石萌音/大橋トリオ
・ロアー ~最強ガール宣言!/ ケイティ・ペリー

     ポッドキャストを聴く  
今週は、猟師さんをめぐるお話です。
ゲストにお迎えするのはノンフィクション作家の北尾トロさん。
一時期移住していた長野県で狩猟免許を取得、
「猟師さん」になった北尾トロさんに
新米猟師として経験したさまざまなエピソード、
知られざる「猟師」の世界について伺います。


長野県に僕が移住したんですよ。松本市というところで。
知り合いの人から猟師さんに会ってみないかと言われたんです。
猟師さんにインタビューしない?と。
それは無理だよと最初はお断りしたんですね。
その理由は、素人が専門分野というか、
そういうことをやっている人のところにいきなり訪ねていって、
いくらライターだといってもわかるわけない、
聞いたって。
相手も面白くないから本当に良い所の話を
してくれるわけがないと思ったんですね。
だからそんなのはうっかり手を出すもんじゃないと思ってやめたんですけど、
そこからしばらくして、
ちょっと猟師さんって面白そうだなと思って、
どうしたら話が聞けるかと考えて、
自分がなれば良いじゃないかと。
自分が猟師になっちゃえばキャリアの差はあるけど
認めてくれるんじゃないかと。そこら辺が始まりですよね。


じゃあ、猟がしたくてというより
猟師さんにインタビューがしたくて、なんですね!


最初はライターとしての好奇心で
ちょっとやってみようと思っただけなんです。
銃なんてねえ。怖いじゃないですか。
それで調べると猟といってもいろんなやり方があるんです。
一番ハードなのが熊。
命がけの猟みたいなものもあれば鹿や猪や、
そして鳥撃ちというのがあるんです。
キジとかカモとか鳥を相手にする猟の場合空気銃という。
銃にも3種類あって、一番威力があるのがライフル。
映画なんかでも出てくるライフル銃。
それから散弾銃があって空気銃がある。空気銃は火薬を使わないんです。
空気を圧縮した、空気の力で弾を打つから火薬がいらないんですね。
じゃあ空気銃だったら良いんじゃないかと。
それで家族に相談をして、俺猟師になろうと思うと。
どう思う?と聞いたら、最初は笑われたんですけど説明して、
空気銃だったら家にあってもいい?と聞いたら、
しぶしぶだったんですけど、
「火薬がないなら良いんじゃないの、そんなにやりたいんだったら」と。
ただ「やる以上は取れよ」と言われて。
それから免許を取る講習を受けたり空気銃を所持しまして、
準備をするわけですけど、どこに行ってどういうことをすれば
どこへ行ってどういうことをすれば鳥が入るのかとか、
どうしていいかわからないので困っているときに、
やっぱりこれを教えてくれる人が欲しいなと思って
人づてに師匠を探したんです。
それがラーメン屋さんなんですけど、ラーメン屋の店主で、
噂であそこのラーメンは何か猟師が集まってワイワイやっている。
行くと鴨肉とか出してくると言うので行って、
習いたいんですけどと言ったら「いいよ」ということで弟子になったんです。
だから初年度は全く当たらない。


初めて打ったときどんな感じでしたか?

相手は生きているじゃないですか。
鳥の命を獲るということじゃないですか。
そんなことが自分にできるのかなと思って、自信がなかったんです。
それで、空気銃というのはスコープが付いていて、
それを覗くと遠くのものも近くに見える。
すると鳥がスコープに入りますよね。
羽がちょっと動いたとかさ、明らかに生きているわけじゃないですか。
自分が引き金を引いてこれが当たった場合、
あの命がなくなる。娘とかからも散々僕は言われていて、
「なんてひどいことをしようとしているんだ、鳥さんがかわいそうじゃないか」
と責められて。
理屈では、いやいや娘よじゃあスーパーで売っている鶏肉は最初から
あんなんじゃないよ。
羽が生えていて誰かが食べられる状態にしているから食べているんだよ、
みたいな話をして、命って何なのかなとか、
自分にとっても勉強になったんですけど、そんな話をして、
一応娘は「しょうがない、行ってこい」
みたいな感じになったんですけど、
いざ自分が銃を構えた時にこれは大変な世界に
一方足を踏み込もうとしているという感じがあって、
最初の一発を打つときは外れろと思ったんです。
手がブルブル震えているのがわかるんです。
よしよし、外れて良いんだという感じで打ちました。


とんでもないところに飛んでいったらしいです。
でも師匠が見ていて「何やってんの?」みたいな。
「絶対外れると思った、ブレブレだもん」と言われて。
そうですよねと。でも内心はほっとしました。
外れてほっとしたし、引き金を引くまで
相当躊躇するなと思っていたんですけど、意外といけちゃうんですよ、引き金。
打てるんだ、おっかないこと始めたなと思いました。
命って、例えば師匠がそれをやったらほぼ確実に当たるわけですよね。
こんな簡単に鳥の命を獲っちゃうんだなって思って、
1人でしょんぼりするわけですよ。
そうしたら師匠がそばで笑っていて、
「今さら何言ってんの」みたいな感じで。
「俺たちはかわいそうなことをするよ」。
例えば畑を荒らす猪であればまだ大義名分がある。
被害を減らすために駆除するという。
それだって残酷なことをするんですけど、
鴨は別に川で遊んでいるだけだと。
「だからこれは全然人に胸を張って言えるようなことではないよ。
その代わりにもし当たっちゃった場合に俺たちは決めていることがある。
それは可能な限り、鳥を回収して獲っちゃった命をほったらかしにしないで回収して、
全部食べる。これが猟師のルール。
全部食べる。できれば骨も、骨から出汁を取ったりして無駄にしない。
それで命をもらってちゃんと味わうと言うことを守ろうよ、君も守ってね。
だから命について猟をやっていると真剣に考えるようになるよ」と。
それで、良い人についたなあ思って、
猟師さんって信州の場合はプロとかはいなくて、
狩猟は趣味ですから。他に仕事を持ちながらの冬の楽しみ。
昔はそうやって、娯楽もないし車もないような時代は
集落ごとに猟師さんがいて、結婚式になると
「ちょっとキジを獲ってきてくれ」と頼まれて、
1ヵ月ぐらいかけていっぱい獲ってみんなで肉団子を作って骨まですりつぶして
お祝いの食事を作ったりとか。


そのかわり普段プラプラしている
変なおじさんみたいな感じで許されていたというそういう流れがあるので、
狩猟をしない人も漁師に理解があるし、
野生の肉、ジビエも全然抵抗ないし、
そんな感じで信州という場所は本当に昔からジビエが盛んなところなので、
そこで狩猟を始めたというのは僕にとって最高の環境だったですね。
ガツガツしないんだもん。僕の周りの人はね。



★集英社からこの春に発売された北尾トロさんの書籍
『犬と歩けばワンダフル  密着! 猟犬猟師の春夏秋冬』
その名の通り、猟犬と一緒に猟をする長野県の猟師さんを取材した本で、
来週以降、この番組でもそのお話をしていただきますが、
「猟犬」ってどんなものなのか、知らない世界のお話がたくさん書かれています。
次回もどうぞお楽しみください。




【今週の番組内でのオンエア曲】
・Stars/シンプリー・レッド
・夜来香/アン・サリー
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