- 2021.02.28
東京スリバチ学会皆川典久さん 2

さて今週もこの方。東京スリバチ学会・皆川会長のスリバチトーク・続きです。
「スリバチ地形」をはじめとした地形のでこぼこ。そこに目を向けると、実はその土地の歴史・文化、人々の営みまでが見えてくる・・・。
ということできょうは東京に限らず、日本のいろんな場所の地形にまで、話題を広げたいと思います。皆川会長が、あなたを二度と抜け出せないスリバチの奥底へひきずり込むことでしょう。
~先日阿蘇のカルデラを取材してきたんですが、スリバチで考えるとあそこも超巨大なスリバチですよね。
そうですね。スリバチ状ですよね。水が確かに集まりやすいし、広大なスリバチですね。陥没をしたああいう地形になるんですけれども、ああいう場所って非常に地下水が豊富でもあるんですね。スリバチ状の場所って雨が降ると集まりますよね。ですから降った雨が地下に溜まって、地下水になる。ですので熊本の街って水道がなくても地下水で生活ができるというの聞いたことがあるんですけれども、それほど地下水が豊かな場所なんですね。これは全国的な話で言うと、実は古くから栄えている街って地下水が豊かな場所が多いんですよ。ですから地形的には山に囲まれた窪地状、盆地状のところが多いです。代表的なのが京都です。京都が1200年以上も栄えられたというのは、まさに水であり、窪地、盆地だから。京都の街って、2メートル3メートル掘ると非常にきれいな水が得られる。それが街が永続的に発展できたポイントでもあるんですね。海沿いの町が発展するようになったというのはいわゆる近世、江戸時代以降なんですけれども、それ以前の街というのは、やはり盆地とか川の流れる谷間、水が豊かで、稲作も盛んでというところに村とか町ができたんですね。東京もあちこちに湧水があって、その湧水が昔は使われていたんですね。今は都会になっちゃってなかなか生活用水として使うというのはちょっと難しいんですけれども、先週ご紹介した神田川の源流の井の頭池、あれは湧水ですけれども、あの湧水を使った水道が神田上水なんですね。それぐらいきれいな水が湧いていたという事なんですよ。日本の文化ってやっぱり水がないと成り立たないんですけれども、やっぱりきれいな水が沸くようなところに文化が営まれてきたということなんでしょうね。

阿蘇山 草千里
~例えば阿蘇で言うと、火山とか地球の活動によって生まれた地形で、こういった地形もいろいろあると思うんですが、東京とか首都圏でも地球の活動で生まれた場所みたいなのはありますか。
本当に大きな意味で言うとその通り、地球の全体的な活動の中で生まれた地形なんですよ。関東と九州って割と同じような地形をしている。何かというと火山が多いですね。西日本、大阪とか京都ってあんまり火山がないんですね。だからあちらの方、西日本は火山灰の地形というよりも御影石が風化してできた土壌の土地。真砂土という地質の名前なんですけれども、西日本の真砂土の地下水というのは細かい花崗岩が磨いた水なのでお酒に適していると言われているんですね。灘のお酒とかってやっぱり美味しそうじゃないですか。その分布を調べると、花崗岩の場所の湧水を使っているとかですね、そういうことがわかってきたりするんですね。東日本の湧水も悪くは無いんですよ。決して悪くはないんだけど、やはり西日本の湧水と多分おそらくちょっと違うんではないかという感じはしますね。それでスリバチ状の地形というのは火山灰ならではの地形なんですけれども、そういう意味では西日本って意外と少ないんですね。東日本の方がスリバチ状の地形は多い。これは火山灰が積もってできたところにできる特徴的な地形なので東日本の方が多いんですよ。大体富士山よりも東側に日本の場合は火山が多いんですが、そういった火山灰が積もったところにスリバチ状の場所がたくさんある。
それで今までの地図ってやはり、地形の凹凸をあまり表現していなかったのが多いんですけれども、実は昨年ですね、なかなかコロナで出かけられなかったということもあって、誰もがそういう東京のでこぼこ地形がわかるような地図帳を作ろうということで『東京23区凸凹地図』という地図帳をつくりました。昭文社というもともとマップルという地図で有名な会社なんですけれども、そのマップルの地図に、地形の高低差を書き加えています。そうすると、例えばこの神社はやっぱり高台だったんだなとか、ここはくぼんでいるけれども川があったのかなというと、ちゃんとその答えが地図上に描かれている。23区すべて書かれています。
~自分のご自宅の近くも見られるので面白いですね!
この地図の目的はまさにその通りで、実は自分の住んでいる街にも必ず地形があるし、その凹凸地形に着目するとその街がより魅力的に見えてくる。あるいは色々と発見する手がかりが得られるんですね。歴史的な痕跡であったり、あるいは川の跡だったり神社であったり。
~ぜひ皆さんで凸凹を意識していただければと思います。楽しいお話ありがとうございました。
皆川さんのお話、いかがだったでしょうか。ポッドキャストでも詳しくご紹介しています。こちらもぜひお聞きください!
皆川さんの本
「東京23区凸凹地図」
「東京スリバチの達人 分水嶺東京北部編」
「東京スリバチの達人 分水嶺東京南部編」
いずれも昭文社から出ていますのでぜひチェックを。
【今週の番組内でのオンエア曲】
・Overjoyed / Stevie Wonder
・明日の風 / 山崎まさよし