- 2019.02.24
写真家 石川直樹さんインタビュー4
世界をフィールドに活動を続ける写真家・石川直樹さんのインタビューも、今回でラストとなります。世界各地の自然、その自然と人類の関わりなどをファインダーを通して伝えてきた石川さん。最後は、これまでの旅で特に印象的だった「森」について伺いました。

森というと、日本だと屋久島を思い出しますが、屋久島の屋久杉よりも太い「カウリ」という木がニュージーランドの原生林にあります。そこはニュージーランドの北の島で、マオリという先住民が大切にしている原生林の森なのですが、いまでも思い出深いですね。マオリの森もあちこちに小川があり、豊かな森なんです。
~写真を見ると奄美の森のようですね。日本の森とは違いますか?
植生は少し似ているかもしれないですが、密度、広さや流れた時間でいうと、その森は深くて濃くて密な感じがしました。そこにある木でカヌーを作って、それで海に漕ぎ出していったポリネシアの人たちがいたんです。ですから森が海とすごくダイレクトに繋がっている聖地みたいな森でした。
イースター島とニュージーとハワイをつなぐ広大な三角形をポリネシアン・トライアングルといいますが、ヨーロッパの三倍くらいもある大きな海域です。でも、ヨーロッパはたくさんの言語に分かれているのですが、ポリネシアン・トライアングルはポリネシア語でつながっています。海は隔てるものではなくつなげるもので、島々に同じ言葉を話す人が広大な地域に拡散したんですね。そこではカヌーが重要な役割を果たします。島から島へ渡るためには船が必要。船を作る森はいくつかありますが、その中でもニュージーランドの森はとても深くて、大きな木があり、そこからが全てではないですが、カヌーの故郷みたいな場所でもあるんですね。
~ニュージーランドからイースター島なんてすごい距離ですね。
そうです。ものすごい距離です。その間には島が点在しているのですが、島の岸辺から次の島は見えない。その中で海に漕ぎ出していった人たちがいるというのはすごいですね。隣の島が見えているなら行く気もしますが、それがわからない、地図もないのに漕ぎ出した人がいる。それは冒険心でしか無いと思いますね。GPSもないので、星を見て海を渡ったんです。その星の航海術を学生時代にフィールドワークしていたので、その興味から広がってニュージーランドの森に行ったりポリネシアに行ったりしました。
~星の航海術は星だけを見るのですか?
海図もコンパスも使わず、スターコンパスの技術を駆使したり、星が見えない時は雲の動き、海の色、匂い、鳥の動き、太陽などあらゆる自然現象を頼りに、自分の位置と行くべき方角を導き出す伝統的な航海術があのあたりの海域にはあったんです。当時の人達は感覚が僕たちと違うんですね。空間認識の方法も、僕たちは駅の看板があるからこういうところだと把握しますが、海の上に看板はないですから、五感を総動員して周りの状況を把握していたんです。それは今とは比べ物にならないほど鋭く、研ぎ澄まされていたのではないかと、そこかしこの島では感じました。
~見えないけどあるかもしれない島に行く好奇心はどんなものだったのでしょうか。
島の中で村同士の闘いがあって追い出されやむを得ず出た人もいれば、台風などの災害で食料がなくなり島を移らないければいけないなど、やむを得ない人もいたでしょうが、そこには冒険心も含まれていたと思います。あの大きな雲の下に島があるという伝説などをもとに、何人もが海に漕ぎ出し、島があるとわかったら情報を持って戻ってくる。それを繰り返して人類は拡散していったんだと思います。その過程で遭難した人はたくさんいますが、そうやって尺取り虫のように行っては戻り、行っては戻りしながら情報を共有して、ポリネシアの広大な海域に人類は拡散していったんでしょうね。
私達は星空を見て美しいと思いますが、それ以上に昔の人達はそれを情報に変換していたんです。方角やいる位置を導き出せた。そういう技術は奇跡的なものだと思います。
~今後はどんなところにいらっしゃるのですか?
北海道の知床半島に毎月通っているのですが、そこにロシアの沿岸でアムール川の水が凍ってできた流氷が流れ着くんです。海は塩水だから凍らない。真水が凍って流れ着くわけですね。その流氷を知床で観ていたら、スタート地点が観たくなりましたので、スタート地点を見に行きます。
石川直樹さんのお話、いかがでしょうか。石川直樹写真集『この星の光の地図を写す』を始めとした石川さんの作品、そして写真展についてはオフィシャルサイトをぜひご覧ください。
http://www.straightree.com/
【今週の番組内でのオンエア曲】
・Baumkuchen (featuring ohashiTrio) / 大橋トリオ
・Don't Stop Believin' / Journey

森というと、日本だと屋久島を思い出しますが、屋久島の屋久杉よりも太い「カウリ」という木がニュージーランドの原生林にあります。そこはニュージーランドの北の島で、マオリという先住民が大切にしている原生林の森なのですが、いまでも思い出深いですね。マオリの森もあちこちに小川があり、豊かな森なんです。
~写真を見ると奄美の森のようですね。日本の森とは違いますか?
植生は少し似ているかもしれないですが、密度、広さや流れた時間でいうと、その森は深くて濃くて密な感じがしました。そこにある木でカヌーを作って、それで海に漕ぎ出していったポリネシアの人たちがいたんです。ですから森が海とすごくダイレクトに繋がっている聖地みたいな森でした。
イースター島とニュージーとハワイをつなぐ広大な三角形をポリネシアン・トライアングルといいますが、ヨーロッパの三倍くらいもある大きな海域です。でも、ヨーロッパはたくさんの言語に分かれているのですが、ポリネシアン・トライアングルはポリネシア語でつながっています。海は隔てるものではなくつなげるもので、島々に同じ言葉を話す人が広大な地域に拡散したんですね。そこではカヌーが重要な役割を果たします。島から島へ渡るためには船が必要。船を作る森はいくつかありますが、その中でもニュージーランドの森はとても深くて、大きな木があり、そこからが全てではないですが、カヌーの故郷みたいな場所でもあるんですね。
~ニュージーランドからイースター島なんてすごい距離ですね。
そうです。ものすごい距離です。その間には島が点在しているのですが、島の岸辺から次の島は見えない。その中で海に漕ぎ出していった人たちがいるというのはすごいですね。隣の島が見えているなら行く気もしますが、それがわからない、地図もないのに漕ぎ出した人がいる。それは冒険心でしか無いと思いますね。GPSもないので、星を見て海を渡ったんです。その星の航海術を学生時代にフィールドワークしていたので、その興味から広がってニュージーランドの森に行ったりポリネシアに行ったりしました。
~星の航海術は星だけを見るのですか?
海図もコンパスも使わず、スターコンパスの技術を駆使したり、星が見えない時は雲の動き、海の色、匂い、鳥の動き、太陽などあらゆる自然現象を頼りに、自分の位置と行くべき方角を導き出す伝統的な航海術があのあたりの海域にはあったんです。当時の人達は感覚が僕たちと違うんですね。空間認識の方法も、僕たちは駅の看板があるからこういうところだと把握しますが、海の上に看板はないですから、五感を総動員して周りの状況を把握していたんです。それは今とは比べ物にならないほど鋭く、研ぎ澄まされていたのではないかと、そこかしこの島では感じました。
~見えないけどあるかもしれない島に行く好奇心はどんなものだったのでしょうか。
島の中で村同士の闘いがあって追い出されやむを得ず出た人もいれば、台風などの災害で食料がなくなり島を移らないければいけないなど、やむを得ない人もいたでしょうが、そこには冒険心も含まれていたと思います。あの大きな雲の下に島があるという伝説などをもとに、何人もが海に漕ぎ出し、島があるとわかったら情報を持って戻ってくる。それを繰り返して人類は拡散していったんだと思います。その過程で遭難した人はたくさんいますが、そうやって尺取り虫のように行っては戻り、行っては戻りしながら情報を共有して、ポリネシアの広大な海域に人類は拡散していったんでしょうね。
私達は星空を見て美しいと思いますが、それ以上に昔の人達はそれを情報に変換していたんです。方角やいる位置を導き出せた。そういう技術は奇跡的なものだと思います。
~今後はどんなところにいらっしゃるのですか?
北海道の知床半島に毎月通っているのですが、そこにロシアの沿岸でアムール川の水が凍ってできた流氷が流れ着くんです。海は塩水だから凍らない。真水が凍って流れ着くわけですね。その流氷を知床で観ていたら、スタート地点が観たくなりましたので、スタート地点を見に行きます。
石川直樹さんのお話、いかがでしょうか。石川直樹写真集『この星の光の地図を写す』を始めとした石川さんの作品、そして写真展についてはオフィシャルサイトをぜひご覧ください。
http://www.straightree.com/
【今週の番組内でのオンエア曲】
・Baumkuchen (featuring ohashiTrio) / 大橋トリオ
・Don't Stop Believin' / Journey