- 2016.12.25
水中写真 中村征夫さんインタビュー2
今週も先週に引き続き、水中写真家・中村征夫さんのインタビュー、お届けします。
先週は、ロシアと中国の国境付近を流れるアムール川が、森の栄養をたっぷりオホーツク海にそそぐことで、知床の流氷は植物性プランクトンを育て、美しい緑色になっているというお話でした。
ちなみに、この森の養分をたっぷり含んだアムール川の流れは、日本の三陸沿岸流れ広がり、世界三大漁場と呼ばれる豊富な漁場を作っています。そしてこの、自然のメカニズム、日本では宮城県気仙沼の牡蠣漁師さんが長年続ける、「森は海の恋人」という森作り運動を通じて、よく知られています。
中村さんはやはり、その牡蠣漁師・畠山しげあつさんにも会っているんです。
〜森と川と海の繋がりというと、この番組でも気仙沼の漁師の森は海の恋人の畠山重篤さんにお話伺ってるんですが、中村さんもお会いになったんですね
色々お話して楽しかったですね。牡蠣棚の下にも潜らせてもらいました。意外と急峻な海なんですよ。森があって、森からすぐ海が急傾斜して深くなっているんです。囲まれた湾の中なんで、あんまり嵐が来ても大きな波を受けるようなこともあんまりないと思うんですけども、穏やかな湾なんですよ。そこに森の栄養がたくさん流れ込んでいるんじゃないかと思いますね。黄緑色の海なんですけども、これはまさに森の栄養が満ちてるんじゃないかなと思います。「水が清いと魚棲まず」ってよく言われるんだけども、きれいすぎると栄養が乏しいんですよ。だから生き物があんまり育たないと言われてます。だから適度に森からの栄養がコンスタントに流れてくることがベストなんですね。その為には森を整理しなくちゃいけないということだと思うんですね。
〜豊かな海ってちょっと黄緑色なんですね。
そうです。だからアイスアルジーも黄緑色でしょ?知床の海も全体に黄緑色ですよ。僕はかつて20年程前に奥尻島に行ったときには岩が丸裸でした。ウニが点々とあって、海藻がほとんど生えてない状況だったんです。漁師の方が言ってましたけども、子供の頃、あまりにも寒くて、お父ちゃんやおじいちゃんが森の木をみんな切って燃やして暖を取ったっていうんですね。そしたら、海から海藻が消えたって言うの。そうすると、海藻が消えるってことはウニも取れなくなった。アワビも取れなくなった。これはひょっとしたら森の木を切ったからじゃないかってことで、漁師たちがみんな何十年もかけて森に木を植えるようになりました。それで同じ場所に潜ったら数十年後には向こうが見えないくらい昆布が繁茂してました。
人間は豊かさを求めて自然界をだいぶめちゃくちゃにしてしまったけども、直すのもやっぱり人間の力かなというような気がしましたね。反省の念に立って振り返ってみるってことが如何に大事なことなのかなと思ったんです。
〜その他生き物はどうでしたか?
アイナメがちょうど産卵シーズンで、婚姻色といってオスは卵を守るときは黄色くなるんですが、その黄色いアイナメがいっぱいいましたね。それでふっとウニがあるなと思って、寄っていったらいきなり産卵が始まって、振り返ったら今度はヒトデが産卵してました。それで斜め前を見たらアワビが産卵しててビックリ仰天!アワビって殻に穴がいっぱいあいてるじゃないですか。あの殻何のために、酸素取り入れるためかな?とか色々思ったんだけどもあの穴から放精するんですね。
〜重篤さんのパワーすごいですね」
そうですね。だから大災害を受けた海だったんだけど、その後きっちりといろんな命が宿ってる。それを目の当たりに見せてもらったということですね。
〜海の中の森といえば、沖縄の西表島のマングローブの森もあります。マングローブの森も郁夫さんは水中から写真を撮っていらっしゃいますが、マングローブの森っていうのはどんな生き物がいるんですか?
マングローブというのは大事な空間なんですよね。汽水域。海水が混じり合うと真水が混じり合うところが広大に広がっていますね。マングローブというのは気根が網の目のように張り巡らされてるんだけれども、それが小動物の隠れ家になるわけです。身を守る場所なんですよ。
満潮になると海水が中流近くまで上ってきます。サメなんかも入ってきますし、川の生物、海の生き物が混ざり合ってる場所で、小魚を求めていろんな魚が食料を求めてやって来る。だからマングローブがあることによって小さな生き物たちが隠れる場所であるってことだから、ゆりかごの場所だという風にも言われてるんですね。
〜マングローブは命のゆりかごなんですね。まさに今みたいな小魚の隠れ場所だったとか、海が命の始まりだったなって感じるシーンとかってありましたか?
広い海の中なんだけども、死んでる魚っていうのはあまり見たことがないんです。何故かっていうと、恋をし、交尾したり交接したりして、卵を産んで家族を養い、そしてその場で死んでいく。死んでも他の魚にすぐに食べられたりして。だから死ぬ前から食べられていく世界なんですよね。
そういうのを見ると、僕らが住んでいるこの同じ地球なんだけども、全く別の世界という感じがしますね。あんなに魚がいるのに死んでる魚がいない。見ることがない。もう本当にちょっと油断しただけであっという間に食われてしまう世界。だから僕なんか海の中では恐ろしくて全く住むことができない。確かに命は海から生まれてるんだけれども、しかしそこは非常に危険なところでもあるということをつくづく感じますねいつも。
今回のお話いかがだったでしょうか。来週も引き続き中村征夫さんのお話をお届けします。
中村征夫さんのサイト→http://www.squall.co.jp/
「遙かなるグルクン 」中村 征夫

【今週の番組内でのオンエア曲】
・夢で逢えたら / 大瀧詠一
・Helpless / K.D. Lang
先週は、ロシアと中国の国境付近を流れるアムール川が、森の栄養をたっぷりオホーツク海にそそぐことで、知床の流氷は植物性プランクトンを育て、美しい緑色になっているというお話でした。
ちなみに、この森の養分をたっぷり含んだアムール川の流れは、日本の三陸沿岸流れ広がり、世界三大漁場と呼ばれる豊富な漁場を作っています。そしてこの、自然のメカニズム、日本では宮城県気仙沼の牡蠣漁師さんが長年続ける、「森は海の恋人」という森作り運動を通じて、よく知られています。
中村さんはやはり、その牡蠣漁師・畠山しげあつさんにも会っているんです。
〜森と川と海の繋がりというと、この番組でも気仙沼の漁師の森は海の恋人の畠山重篤さんにお話伺ってるんですが、中村さんもお会いになったんですね
色々お話して楽しかったですね。牡蠣棚の下にも潜らせてもらいました。意外と急峻な海なんですよ。森があって、森からすぐ海が急傾斜して深くなっているんです。囲まれた湾の中なんで、あんまり嵐が来ても大きな波を受けるようなこともあんまりないと思うんですけども、穏やかな湾なんですよ。そこに森の栄養がたくさん流れ込んでいるんじゃないかと思いますね。黄緑色の海なんですけども、これはまさに森の栄養が満ちてるんじゃないかなと思います。「水が清いと魚棲まず」ってよく言われるんだけども、きれいすぎると栄養が乏しいんですよ。だから生き物があんまり育たないと言われてます。だから適度に森からの栄養がコンスタントに流れてくることがベストなんですね。その為には森を整理しなくちゃいけないということだと思うんですね。
〜豊かな海ってちょっと黄緑色なんですね。
そうです。だからアイスアルジーも黄緑色でしょ?知床の海も全体に黄緑色ですよ。僕はかつて20年程前に奥尻島に行ったときには岩が丸裸でした。ウニが点々とあって、海藻がほとんど生えてない状況だったんです。漁師の方が言ってましたけども、子供の頃、あまりにも寒くて、お父ちゃんやおじいちゃんが森の木をみんな切って燃やして暖を取ったっていうんですね。そしたら、海から海藻が消えたって言うの。そうすると、海藻が消えるってことはウニも取れなくなった。アワビも取れなくなった。これはひょっとしたら森の木を切ったからじゃないかってことで、漁師たちがみんな何十年もかけて森に木を植えるようになりました。それで同じ場所に潜ったら数十年後には向こうが見えないくらい昆布が繁茂してました。
人間は豊かさを求めて自然界をだいぶめちゃくちゃにしてしまったけども、直すのもやっぱり人間の力かなというような気がしましたね。反省の念に立って振り返ってみるってことが如何に大事なことなのかなと思ったんです。
〜その他生き物はどうでしたか?
アイナメがちょうど産卵シーズンで、婚姻色といってオスは卵を守るときは黄色くなるんですが、その黄色いアイナメがいっぱいいましたね。それでふっとウニがあるなと思って、寄っていったらいきなり産卵が始まって、振り返ったら今度はヒトデが産卵してました。それで斜め前を見たらアワビが産卵しててビックリ仰天!アワビって殻に穴がいっぱいあいてるじゃないですか。あの殻何のために、酸素取り入れるためかな?とか色々思ったんだけどもあの穴から放精するんですね。
〜重篤さんのパワーすごいですね」
そうですね。だから大災害を受けた海だったんだけど、その後きっちりといろんな命が宿ってる。それを目の当たりに見せてもらったということですね。
〜海の中の森といえば、沖縄の西表島のマングローブの森もあります。マングローブの森も郁夫さんは水中から写真を撮っていらっしゃいますが、マングローブの森っていうのはどんな生き物がいるんですか?
マングローブというのは大事な空間なんですよね。汽水域。海水が混じり合うと真水が混じり合うところが広大に広がっていますね。マングローブというのは気根が網の目のように張り巡らされてるんだけれども、それが小動物の隠れ家になるわけです。身を守る場所なんですよ。
満潮になると海水が中流近くまで上ってきます。サメなんかも入ってきますし、川の生物、海の生き物が混ざり合ってる場所で、小魚を求めていろんな魚が食料を求めてやって来る。だからマングローブがあることによって小さな生き物たちが隠れる場所であるってことだから、ゆりかごの場所だという風にも言われてるんですね。
〜マングローブは命のゆりかごなんですね。まさに今みたいな小魚の隠れ場所だったとか、海が命の始まりだったなって感じるシーンとかってありましたか?
広い海の中なんだけども、死んでる魚っていうのはあまり見たことがないんです。何故かっていうと、恋をし、交尾したり交接したりして、卵を産んで家族を養い、そしてその場で死んでいく。死んでも他の魚にすぐに食べられたりして。だから死ぬ前から食べられていく世界なんですよね。
そういうのを見ると、僕らが住んでいるこの同じ地球なんだけども、全く別の世界という感じがしますね。あんなに魚がいるのに死んでる魚がいない。見ることがない。もう本当にちょっと油断しただけであっという間に食われてしまう世界。だから僕なんか海の中では恐ろしくて全く住むことができない。確かに命は海から生まれてるんだけれども、しかしそこは非常に危険なところでもあるということをつくづく感じますねいつも。
今回のお話いかがだったでしょうか。来週も引き続き中村征夫さんのお話をお届けします。
中村征夫さんのサイト→http://www.squall.co.jp/
「遙かなるグルクン 」中村 征夫

【今週の番組内でのオンエア曲】
・夢で逢えたら / 大瀧詠一
・Helpless / K.D. Lang