前回に引き続き明治神宮で行われたイベント「アースデイ いのちの森」のレポートです。

4月22日のアースデーに合わせて、毎年行われているこのイベントは「いのちの森プロジェクト」という大きなくくり一環で行われているものだそう。
ということで、プロジェクト全体の概要について事務局を務めるNPO法人 響の山下泰さんに伺いました。

◆いのちの森のプロジェクト
「いのちの森」のプロジェクトというのは4つありまして、一つは都内の緑化。もうひとつは日本全国の緑化。もうひとつはいきもの図鑑プロジェクト。そして今日行われている『アースデイいのちの森』という環境の祭典ですね。この4つで構成されています。
まず全国の緑化の話をしますと、我々は明治神宮の森の木々が落としたどんぐりの苗木を育てています。明治神宮の森のとしたどんぐりはですね誰も拾っちゃいけないんですけれども、我々だけは特別に明治神宮から許されていまして、それを採集して育てて苗木にするという活動をしています。これが今、一万本近く、明治神宮の中のどんぐり畑にあるんですけれども、そのどんぐりの苗木を持って、全国に植樹しに行くという活動をしています。
さらに都内も緑化したいということで、基本構想としては明治神宮から皇居までグリーンのベルトを作りたいということで、生物が行き来できるような道を作ろうという構想があります。実は2年前から2年間かけて、明治神宮で50年に1回の生き物の調査をしたんですね。総合調査と言いますけれども、植物、哺乳類それから微生物、虫、鳥、もちろん木もですね、全部調べたんですけれども、その時に絶滅危惧種や新種が発見されました。皇居も絶滅危惧種や新種がいるということで、その二つのエリアを緑の道で繋げれば生き物の行き来もできるだろうという考え方で活動をしています。


このどんぐりの苗木は、興味のある人が「里親」になるシステムもあります。里親になった人は苗木を1年間預かって、大事に育てます。そして翌年のアースデーのイベントの時に、持ってきてもらうというもの。将来的には、育てた苗木を、里親の方々も一緒に植樹するツアーを実施したい、と山下さんは話しています。

さて、いのちの森プロジェクトで進めている企画は他にもあります。その一つが、「いきもの図鑑」を作ろう! という企画です。この「企画を担当している大木秀晃さんにお話しを伺いました。

◆いきもの図鑑
「いきもの図鑑」のプロジェクトは、元々は明治神宮の生物調査がきっかけになってまして、調査書を見せてもらったときに、たくさんの生き物がそこに写っていたので、これをもっといろんな人が参加できるような仕組みにできないかなということを考えました。そこで、参加型のワークショップで明治神宮の生き物を集めていってそれを図鑑にしていこうというプロジェクトです。
明治神宮の中で活動しているNPO響の方たちにガイドしてもらいながら、スマートフォンを子どもたちに持ってもらって、そこの説明をしながら一緒に撮影をしていくというワークショップになります。スマートフォンで撮影して拡大すると、肉眼では見えないような、たとえばカマキリの毛まで見ることができたりします。
いきものを見つけるのは子どもの方が早いですね。森に入ったときって、みんな最初「生き物いないじゃん!」って言うんですよ。だけど足元にあるのも、見えてる景色が全部生き物だから、最初そういう風に思わないんですけど、写真を撮り始めるとその解像度がどんどん上がっていって、「あ、ここにもいる!ここにもいる!」って、子どもの方が切り替えは早いですね。
最初にきっかけとなった調査書というのは専門家が作っているものなので、それとは全く別で、みんなが撮った写真を集めて図鑑にしていくというようなプロジェクトですね。基本的にはそれらの写真はウェブにアップされていきますが、できれば季節ごと、もしくは半年ぐらい置きに冊子にしていけたらなと思っています。



今回ご紹介したお話し、いかがだったでしょうか。興味を持たれた方はぜひ「明治神宮いのちの森 いきもの図鑑プロジェクト」のサイトをチェックしてみてください!
http://ikimono-zukan.jp/

【今週の番組内でのオンエア曲】
・レター / ハナレグミ
・Crazy Love / Michael Buble
今回は、去年もこの初夏の時期にお届けした、東京のまんなかにある、大きな森、明治神宮の森のレポートです。
毎年、この明治神宮の豊かな森を舞台に、「アースデイ いのちの森」というイベントが開かれています。東京の真ん中で、森と向き合い、木と触れ合いながら、自然とともに生きることを考える場づくりとして 毎年行われているもの。今年も、たくさんの子どもたち、親御さんたちが様々な体験を楽しんでいました。

東京にお住まいの方、行ったことがある方はご存知かと思いますが、明治神宮は広さは70万平方メートル。東京ドーム15個分!という、広大な面積の森なんです。
そして先月、この明治神宮の森を会場に行われたのが、「アースデイ いのちの森」。
市民団体「いのちの森」が、明治神宮の特別許可をもらって実施しているものです。会場では、森に触れることのできる様々なワークショップが行われたのですが、その一つが、野鳥の会の方のガイドによる森の散策でした。

◆歩いて探そう!代々木の杜に棲む生き物たち
この穴はモグラの穴です。モグラのごはんはこのミミズです。モグラは穴を掘りながらミミズを探してるんじゃないんです。トンネルをつくって、トンネルにミミズが来るの。そうするとここにいるモグラがパキって噛みついて食べるの。
ミミズをまず頭から食べるの。そうやってしごきながら食べると、ミミズのおなかの中に入っている泥がこっち側に来るわけ。で、反対側からこうやって食べると泥を食べなくて済む。すごいでしょ?


杉の葉っぱ握ると痛いものとあんまり痛くないものがあるんです。明治神宮の杉はあんまり痛くない葉っぱなんですけれども、本来、太平洋側にある杉のは握ると痛い杉が多いんです。千葉の山武杉なんかはかなり痛い。
握って痛くない杉は新潟だとか秋田だとかに多いそうです。そういうふうに、地方によって個性があります。何でそういう杉がここにあるかっていうと日本全国から運んできた木を植えた人工の森だからです。

上を見てみると、クスノキがステンドグラスのようになっています。よく見てみると、葉っぱが重なってないでしょ?ちょうど切れ目で葉っぱ止まってる。それは、重なってると下の方は日が当たらなくて枯れちゃうから、そうならないように途中で止まるの。さっきクスノキの葉っぱの匂いを嗅いでみたよね?これはガスが出てるから。このガスが、「あ!葉っぱが近づいてきてるな」と思ってそこで止まるの。においで木はコミュニケーション取ってるんだよ。木は言葉しゃべれないから、動けないからガスでしゃべってるんです。


参加されたお子さんたちはいろんな自然を楽しんでいました。
そして、このガイドをされた日本野鳥の会東京の金森光伸さんと糸嶺篤人さんにお話をうかがいました。

◆日本野鳥の会東京金森さんのお話
明治神宮は23区の中ではかなり自然が豊かな森です。夏鳥できれいな声で鳴く鳥、キビタキが繁殖してるみたいなんですよ。わざわざ南の方から春にやってきて繁殖できるというのは、それだけの豊かな森だということなんです。夏鳥が繁殖できるというのは、いろんな虫とか木があって、それだけ豊かで安心できる環境だということなんですよね。
ちょうどゴールデンウィークの頃は夏鳥が高尾山の辺りの山に繁殖のために渡る途中の中継地になるんですよ。だからオオルリとかキビタキとかサンコウチョウなんかもここ数年見られるんですよ。貴重な夏鳥がやってきます。

◆日本野鳥の会東京糸嶺さんのお話
子供たちには、緑の中で自由に動いてもらって、その中で「ここにこんな虫がいるよ。」「こんな花が咲いているよ。」っていうのをちょっと示してあげるだけでいいのかなって思ってるんですね。それは普段の観察会でもそうなんですけれども、普通はなかなかそういったことに気が付かないんですよ。鳥なんかその最たるもので、東京の街中にも結構いろんな鳥がいるんですけれども、自分の家の周りはスズメとカラスしかいないと思っている。でも普段からちゃんと見ていると、「あれ?スズメじゃないぞ。」っていう鳥がわかるようになりますね。
野鳥の場合は羽があるので、街の真ん中にも来てくれるそういう野生動物です。ですから、野生の生き物と付き合う入門編としては適してるんだろうなと思いますし、例えば明治神宮の森は間もなく百年になる森ですけれども、昔はもっと草原の鳥がいっぱいいたのに今本当の深い森の鳥ばっかりになってきてるんですね。
例えば二十年ちょっと前にはキジがいっぱいいて、観察会やる度に「ケーン、ケーン」という声が聞こえていたのに、ここもう二十年くらいは全く一羽もいないです。その代わりタカの仲間がどんどん入るようになって、逆にタカが来てしまったことでカモの仲間が減っています。ムクドリだとかカワラバトもいっぱいいましたが、あれがもう本当に中入ってこなくなっちゃいまして。そういう変化もあります。


今回のお話いかがだったでしょうか。来週も引き続き「アースデイいのちの森」のレポートをお届けします。

【今週の番組内でのオンエア曲】
・1234 / Feist
・Heartbeat / TAHITI 80
今週も引き続き、科学界のインディ・ジョーンズ、辺境生物学者・長沼毅さんのインタビューをお届けします。
砂漠、深海の海底火山、南極、北極など、生命が「生きにくい場所」…辺境を冒険する研究者・長沼毅さん。
生命の生きられる限界、生命のルーツを探るこの方は「日本の森」について、どんな考えを持っているのでしょうか。
私たち日本人が、森と共存するために必要なことは何か、お話を伺いました。

◆森を維持するためには
日本に限って言えば原生林はほとんど残ってないですよね。我々が自然の森だとおもっているものはほとんどが二次林で人間の手が入ってる森です。その人間の手が入った森、里山でもいいんですけども、この森はやはり人間の手が入り続けないと荒れていく。放っておけば、何百年後にはまた元に戻るんですけども、やはりそうも言ってられないから我々が森と共存するためには、適切に手を入れ続けることが大事ですが、まあ実際には難しいですよ。
だって日本人の多くは都会に住んでるわけですし、森のそばには少数の人しか住んでない。しかも高齢者の方々ばかりという中で、どうやって里山を維持するんだということです。だから里山に人の手が入る仕組みを考えた方が良いです。
やはりボランティアじゃ長続きしないんで、里山に手を入れることによってある程度利益が上がってきて、活動が維持できるような仕組み、これをやらなきゃならない。そうすると林業の復興が一番いいと思ってます。
海外から安い木材が入ってきて、国産の高い木材なんか誰が買うんだっていうかもしれないけども、またそういったものを補助金で安くすると国際的になんか違反だって言われちゃうんですね。でも、そういったところは何とか知恵を絞って補助金や税金を投入してでもいいから、我々の国産材を使っていくことによって林業を復興する。それしか森の維持はできないと思います。
私自身も東北で、チェーンソー持って山に木を伐りに入ってますけども、それで感じた事は、これは本当に大変な作業だということ。いま、私は岡山県の限界集落を維持するために、チェーンソーで伐採作業をやらせてもらってますけども、ああいうところが日本中に千数百か所あるんだそうです。もうちょっとやそっとのボランティアじゃ守り切れないんですよ。だから利益が上がって活動を維持できる仕組み、林業の再興はその辺が重要だと思います。


この番組でも以前、「東京チェーンソーズ」という林業をカッコいい職業にしようと取り組む集団を紹介していますが、長沼さんも、自らチェーンソーを手に取り、その魅力に気づいたといいます。

◆チェーンソーを使えてこそ一人前の男
私はそれまでチェーンソーを扱った経験は無かったですけども、そのボランティアをやらせてもらって、初めて教わって使えるようになりました。チェーンソーは普通にホームセンターで売ってて、特に何の教習もなくて使えちゃうんですよ、法律的には。それは危険を伴うということも知りました。ですから、しっかりと研修を受けて安全に使えるようにしましたけども、狙った方向に木を倒す。これはね、なんていうんだろう、「やった」感ありますね。チェーンソーを使えて初めて一人前の男!と言う気がしましたね。
でも狙ったところに高さ20メートルの木の先端が30センチと違わずピタッと落ちる快感もあったけども、その次の日は180度違う方向に倒れたので、いやー怖いですね。
多くの人はできないかもしれないけれども是非、伐採を体験してほしいし、その体験によって自分自身が成長することによってまた山が守られるっていうことなんですね。
そういった意味で一石二鳥という言葉は軽すぎるけれども、ぜひそういったことで伐倒体験、自分の成長と森の維持管理、そういったものが全部まとまってできたらいいなと思います。


先々週から長沼産に色んなお話を伺ってきましたが、最後にこんな質問をぶつけてみました。
宇宙の、どこか別の星にも、“森”はあるのでしょうか?

◆宇宙にある森
まあ宇宙のどこかには地球のような星がある。これはほぼ間違いないでしょう。地球のような星があったら、そこにもやっぱり生命が発生して、まあ陸地があればおそらく森はできるでしょう。ただし地球っぽい星だからと言って、すべて陸地があるかっていうとこれは疑問です。地球みたいに表面の三割が陸というのは、どちらかというと珍しいケースかもしれません。よくありがちなのは全部海っていう海惑星ですね。
海惑星に森はないのかというと、おそらく海中の森があると思う。海中の森というと、ワカメとか昆布のようなものを想像するかもしれませんが、もしかしたら地球のガシッとした森林のようなものが海中に立ってるかもしれませんね。いまのところ、太陽系には、表面に水がむき出しの海は地球にしかないんですけども、氷が表面を覆ってる星がある。その氷の下に海があるっていう星がね十何個か想定されてるんですよ。そのなかで一番有力候補は木星の第二衛星「エウロパ」です。
エウロパは表面は氷で覆われていますがその下には海があると言われています。でもこの海の中に太陽光線は入っていかないんですよ。だから普通の植物的な森はない。だけども海底火山があるので、海底火山から供給されるエネルギーで生命が存在し得て、その生命体が森のようなものを作ってる可能性はあります。つまり太陽の光に養われている森林が地球であれば、エウロパの森林はエウロパ内部のエネルギー、火山エネルギーによって支えられている氷の下の森という、なんともエキゾチックな森があるかもしれません。


科学界のインディ・ジョーンズ、長沼毅さんのお話いかがだったでしょうか。
今回のお話はポッドキャストでも詳しくご紹介しています。こちらもぜひお聞きください!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Better When I`m Dancin` / Meghan Trainor
・白波トップウォーター / サカナクション
前回に引き続き科学界のインディ・ジョーンズこと、辺境生物学者・長沼毅さんのインタビューをお届けします。
深海、砂漠、北極に南極はじめ、生命の乏しい極限の環境…つまり「辺境」の生物から、様々なことを発見してきた長沼さん。
きょうはそんな長沼さんが、辺境とは正反対の場所、生命が溢れる「森」について語ってくれます。

◆アフリカ ルウェンゾリの地衣類
アフリカでいちばん高い山はキリマンジャロです。二番目がケニア山で三番目はルウェンゾリというんですが、これはウガンダとコンゴの国境沿いで、標高5100m程です。そこのてっぺんに行く途中にジャングルがあって、そこは森林限界ギリギリのところなんですけども、そこはアフリカ大陸のど真ん中、赤道直下です。東アフリカと西アフリカの境界なんです。アフリカの真ん中に高い山脈があって、その一部を成してるのがルウェンゾリです。その山脈を境にしてコンゴ側は雨がいっぱい降ります。反対の東側の方は雨が少なくて、いわゆるサバンナになっています。
元々はそこには山なんかなかったんだけども、今から数百万年前に地球の内部からマントルが上がってきて、アフリカの真ん中に高い山ができました。それによってジャングルだったところがサバンナ化して、サルがジャングルから外に出たというのが人間の進化に重要な影響を及ぼしたっていう説もあるんですね。
いずれにしても、今のルウェンゾリ山の周りのジャングルは未だにチンパンジー、ボノボあるいはゴリラ、そういった我々の仲間たちの生息地なんです。だからネアンデルタール人はみんな絶滅しましたけども、今生きてる生き物で一番我々に近いのはチンパンジー、ボノボ、ゴリラなんですよね。だから我々の事を知りたければチンパンジー、ボノボ、ゴリラの事を知るべきであって、そこはルウェンゾリの麓の森なんですよ。
面白かったのは、そこに生えてる木々の枝から何か草のようなものが無数に垂れ下がっている。細長い繊維が絡まったものがぶら下がっていて、何だろうと思ったら地衣類なんですよ。ああいうところは本当に生き物が豊富で、地衣類でさえもうっかり育っちゃうんですね。地衣類は普通は他の生き物がいられないような過酷な環境、あるいはビルの外壁にへばりつくんだけども、ジャングルみたいに生命力の溢れかえってる世界では地衣類さえも生命力を発揮しまくって垂れ下がっちゃうんだ!っていう感じです。
それをまたね、動物が食べるんですね。びっくりしましたよ。まさか地衣類がジャングルであんなに大量に存在して、動物たちの食料になってるなんて想像もしなかった。本当に生きていくのが大変なところでかつかつに生きてると思いきや、生命力が溢れかえってる世界ではもう誰よりも生命力を発揮してますね。

ルウェンゾリの山の東側はサバンナになっていて、木なんて生えないはずですが、幸いなことにルウェンゾリは赤道直下とはいえ標高5100mもあるので、頂上には氷河があるんですよ。赤道直下の氷河、万年雪ですね。夏の間にはその雪や氷が溶けて、水が下って行ってビクトリア湖という大きい湖に入る。それはやがてナイル川になるんですけども、ナイル川の源流の雪溶け水が山を下ってきたところにジャングルができる。コンゴ側はもちろん雨がいっぱい降るんでほっといてもジャングルですが、東側はサバンナの中にまさかこんなジャングルがあるんだと思いました。つまり普通だったらそこにジャングルはないんだけども、ちょっとした水さえあればジャングルは生息し得るんだなと思った。本当に植物って条件さえ合えば一気にワーッと増えるでしょ。ものすごいことですよね。
しかも彼らは自分の身体を作る原料は空気中の二酸化炭素なんですよね。本当に無から有を生み出してどんどんはびこっていくっていう様子。生命力への驚きっていうよりも恐怖感さえ覚えるんだけども、まさにその恐怖感に近いものをルウェンゾリの麓のジャングルで感じましたね。


この番組でも、こういう植物のスゴサは色々紹介してきましたよね。例えばお米一粒を撒けば、秋には1600粒のお米粒ができる。そんなことができるのは植物の光合成の力だけ。そして、長沼さんが日本の森の中で、印象的なものを教えてもらいました。

◆緑のダム
三月に屋久島に行ったんですよ。屋久島は高い山がありますね。九州の高い山ベスト8が全部屋久島にあって、高い山から海沿いまで短い川が急な斜面を下っていく。そこに水力発電所があるんですね。屋久島電工っていう会社が持ってる水力発電所で、発電したものを売ってるんですよ、昔から。いま、電力自由化なんて言ってますけども、電力自由化をずっと昔から実現してたのが屋久島なんですね。
それを支えてるのが屋久島の高い山であり、高い山に生えている木々が保水力を維持してる。その保水力が無いと、降った雨はそのまま海にダーッと流れちゃうので、保水力を維持するからこそ、ずっと川が絶えず水を流して水力発電ができてるってことだったんですね。緑のダムっていうか、保水力は屋久島の木々が、森林が担ってます。


最後は屋久島ということで、あの「屋久杉」のような樹齢数千年とも言われる巨樹・巨木について、科学者として何を想うか伺いました。

◆スローライフな生き物たち
巨木巨樹は屋久島のみならず世界中にあるわけですけども、時間を感じますよね。どんだけ長い時間を経てきたんだろうっていう。
ただその時間というものは二つあるんですよ。一つはニュートン時間。これは物理学的な時間で、私たちが時計で計ってるような時間。つまり私たちに一番馴染み深い時間です。もうひとつはベルグソン時間と言って、これは哲学者のベルグソンが言ったんですけども、我々の心の中で流れてる時間です。ニュートン時間とは違う。これみなさん経験ありますよね、楽しい時間は早く過ぎるとか。
心っていうのは人間固有かもしれないけども、多分それを拡大解釈すれば、一つ一つの生き物にそれぞれの時間があるわけ。だから屋久杉は人間でいえばもう何百年、あるいは数千年生きてきたんだけども、彼らにとっては意外と短いかもしれない。彼らにとってはもう本当瞬きをしている間に人間社会が目まぐるしく変化してきたとかね、そんなことかもしれませんよ。
私が辺境生物を研究して学んだことは、彼らはゆっくり生きるスローライフな生き物たちなんです。スローライフなものたちはなんとなく夢うつつの中で気が付いたら何千年経ってたなーって感じかもしれませんよ。


長沼毅さんのお話いかがだったでしょうか。
来週も引き続き長沼産のインタビューをお届けします!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・What You Thought You Need / Jack Johnson
・Like A Rolling Stone / Bob Dylan
今回はテレビでもおなじみ、広島大学教授で辺境生物学者・長沼毅さんのインタビューをお届けします。
人呼んで、科学界のインディ・ジョーンズ!世界の「辺境」と呼ばれる場所で、生命の謎を解き明かそうと活動を続ける長沼さんに「森」について色々と伺いたいと思います。
まずはこの「辺境生物学」とはどんなものか伺いました。

◆「辺境生物学」とは?
「辺境生物学」とはなかなか聞き慣れない言葉だと思ういますが、「辺境」というのは人間がアクセスしにくい場所、または生きるのが大変な場所という意味です。
具体的には、たとえば深海ですね。それから南極、北極、そして砂漠、火山、地底もありますね。そして高山もある。そういった場所は人間が行くのが大変なだけじゃなくて、そこにいる生き物でさえ生きて行くのが大変な場所です。生きて行くのさえ大変だから、そこにいる生命を調べれば、もしかしたら地球の生命の限界ってものがわかるんじゃないかということです。あるいはこんな厳しいとこでも生きていけるという可能性ですね。そういった生命の逞しさ、可能性というものを追求したくて、実際にそこに行って、彼らがどんな世界で生活しているのかを知ろうとしているわけですね。
潜水船に乗って深海に潜ってみると、普通はもう真っ暗で何も生物がいない世界かもしれないけども、場所によっては海底火山があって、そこは深海砂漠におけるまるで深海オアシスのようなところで、ものすごい大量の生物が密集しいる。そういう海底火山も行きましたし、あるいはラクダの背中に揺られて砂漠を旅しながら、生き物なんていそうにない砂漠にいる生き物に会いに行ったり、南極にも行きました。南極には昭和基地はじめ、日本の基地がいくつかありますけども、北極にも実は日本の基地があるんですよ。そういった日本の北極基地に行ってみたりね、そういったところで変わった生き物を見つけましたね。


ほんとにインディ・ジョーンズみたいな長沼さん、これまで海底火山にいる不思議な生き物はじめ、様々な生き物を採取、研究してきました。
そしていま現在、長沼さんが夢中になっている生き物が、これまたとっても不思議な生き物なんです!

◆陸上最強の生物
今は地衣類が私の興味の的ですね。地衣類は陸地にいます。海にはいません。陸地だったら、地球の陸地のほとんどどこにでもいるっていうすごい生き物です。東京の都心のビルの外壁にもいるし、その辺の街路樹の幹にもべちゃーっとへばりついてるし、あるいは南極北極の風が吹きすさぶようなとこの岩の表面にもべったりとへばりついてるすごい生き物ですよ。
この生き物の正体は二つの生物が合体したものです。一つは菌類。カビやキノコの仲間です。その菌類はカビと思ってもらっていいんですけども、カビが家の骨組みのようなものを作る。その家の骨組みのようなものの中に藻が入ってるんですね。藻は太陽の光を浴びて、光合成をしてでんぷんと酸素を作る。そのでんぷんと酸素が周りの家の骨組みを作ってくれてる菌類に提供される。お互いに持ちつ持たれつの共存関係というのかな。まあ今風に言えばwin-winの関係なんですよね。そのwin-winの関係でもって地球の陸地のありとあらゆる場所に進出できるのが地衣類なんです。多分地球の陸上で一番強い生き物だと思ってます。
ひとつ私が今夢見てるのは、将来人類が火星に進出するとき、いつまでもヘルメットや宇宙服を着てられないので、火星の環境を地球みたいにしてヘルメットを外そうじゃないかということなんです。火星の空気中に酸素を増やす時、光合成生物を送るんだけども、やはり火星の過酷な環境に適応できるのは地衣類しかいないんじゃないかと思ってますね。地衣類を送り込んで、火星の空気に酸素をどんどん増やしていくというのが私の地衣類を使った火星テラフォーミングの夢です。今アニメやコミックなんかでテラフォーマーズってありますけども、あれの背景にあるものですね。
やがて地球は人間が増えすぎて住みにくくなっちゃうから火星に移住するんだって話ですけども、その前に火星の環境を地球のようにしておこうというようなものをテラフォーミングといいます。


ちなみに地衣類は苔とはちょっと違います。苔は自分だけで光合成して生きてる。
でも地衣類は、「藻」は菌類の骨組みの中で守られながら光合成して、その栄養を、いわば「家賃」のように菌類に払うことで生きているんですね。見た目も苔と違い、もっとペタッとしてます。
菌類と藻が、お互いwin-winの関係を築いている地衣類。この生き物は、ある意味 地球上の生物の分かりやすい「お手本」だと長沼さんは話します。

◆1+1=3の関係
地衣類の共生関係は、言ってみれば1+1が2じゃなくて3になるような関係なんですね。単に2つのものが存在するんじゃないんですよ。2つのものが力を出し合うことによって、より大きなものが得られるってことですね。これを共生関係と言うんだけども、まさに地衣類はそのお手本ですね。
自然界には沢山の生き物がいる。それらの生き物の中にはもちろん1+1が2に留まるものもいるけど、中には1+1が3になるようなものもいっぱいいるわけですね。生態系ってものは単にいろんな種類のものが集まって成り立ってるのみならず、1+1が3になるようなパワーを発揮しているのが生態系であり、生態系というのは抽象的な概念ですけども、実際には森という実態がありますよね。森という実態は本当に1+1が3の世界が現実に存在するってことなんです。
そこを私たちが見ていかないと、単なる生き物の集団、集合体、1+1は2以上じゃなくなっちゃうわけです。なんとかその3の部分を見ていこうじゃないかと思ってます。


長沼さんのお話、いかがだったでしょうか。
来週も引き続き長沼さんにお話を伺っていきます。

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Breakout / Swing Out Sister
・呼びにきたよ / 地球三兄弟


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