今週は、帰省される方や、どこか田園風景のあるところへお出かけになる方が、見かけるかも知れない、ある風景に関するお話。
「屋敷林」です。

みなさんも、意識せずにきっと見たことがあると思います。田舎の、田んぼが広がる風景の中に、民家がぽつんぽつんとあって、その民家の背後に、まるでお家を守るように、こんもりした森があったりします。ちょっと、海に浮かぶ小さな島みたいにも見えますが、あれが、屋敷林です。
今回お話を伺ったのは、その屋敷林を研究している方。東北工業大学の講師で、工学博士の不破正仁さん。
不破さんの研究分野は、難しい言葉でいうと「農村の景観史」。農村の今の風景・景観が、かつてはどういう姿をしていたのか、それがどう変化していったのかを追いかける研究だそうです。
その研究の対象として、不破さんがずっと見続けているのが屋敷林なんです。

◆屋敷林とは
屋敷林というのは屋敷の敷地内にある樹木のことをいいます。私の研究の中で使っている定義としては、屋敷およびその周辺において、特定の機能を担うべく植えられた樹木とその集合体という風にしています。つまり屋敷林は敷地の中に勝手に生えてきたものではないということです。人が利用するために、利用したい場所に植えたということがあります。屋敷の中にある樹木で当時の生活や生業に密着した樹木資源であったということがいえると思います。
日本で最も有名な地域でいくと、島根県の斐川平野、富山県の砺波平野、そして宮城県の仙台平野。特にこの三地域は、平野部で、なおかつ農家がそれぞれ各々離れて立地しているので、一軒一軒が持っている屋敷林が比較的発達しています。それに残存度が高いので、その特徴が見えやすいということがあって、その三地域で調査を試みたんです。
仙台周辺では「いぐね」という呼び方をしていますが、その特徴はコの字型に樹木を配すことです。岩手や宮城の北西にある山から吹きおろしてくる季節風を防ぐために北西側に樹林帯を設けるということは各地で報告されていますけれども、東側にもあります。東側のものは、広葉樹のけやきなんかが多いということもわかってきました。これは、朝日を遮り過ぎない為にけやきが設けられるんですね。けやきは冬に葉が落ちますよね。ですので東から光が入ってきたときに邪魔をしない。冬の暖をとるための工夫だということがいえます。
屋敷林の機能の中で果樹採取、柿や栗なんかもありますし、大きな樹木は建材になってきました。また、杉や松なんかは落ち葉が良く燃えるので、薪として用いられたということがあります。あとは目隠しですね。生垣なんかもそのひとつに入ると思います。
あともう一つ屋敷の中で設けられる樹木は、杉などの針葉樹のほかに、クスノキや、地域によってはシイノキがあるんですけれども、これらの大きくなった樹木のそばには、祠(ほこら)が置いてあることがあるんですね。氏神様といったり、お稲荷さんといったりして、屋敷の神様「屋敷神」というものが置かれることがあります。私は大木と祠のセットと言ってるんですけども、そういったものも重要な機能で、そこにセットになった樹木は、いわゆるご神木として屋敷の中に存在している。
研究の中で、例えば仙台市では、伊達政宗が条例を出していて、その時に記録が残っているものとして「家に植えられている樹木をむやみに切ってはいけない。」というような条例がだされていたり、逆にそれを利用しなさいという推奨が出されていたして、江戸時代にはすでに屋敷林の存在が認められるような記述があったということがわかっています。山形県の米沢なんかにも同じような条例があって、各地にそういう条例があるというのはおもしろいなと思ってるんですが、そういったことから推定して、1600年代から屋敷林が家の中に設けられていたんじゃないかということが論じられています。


ということで、仙台平野の屋敷林、イグネ(居久根)は、民家の北側・西側・東側に植えられています。つまり門は南を向いています。
一方、富山の砺波平野の屋敷林は「かいにょ」と呼ばれるものです。垣根がなまって「かいにょ」といいますが、この地域は南側の山から吹き下ろす風と、西からの雨と雪を防ぐために、南側・西側に屋敷林があり、家は東向きになっています。
「屋敷神」というのもおもしろいですね。祠には、お稲荷さんがまつられることが多いのだそう。お稲荷さんは稲という字があるだけに、豊作や商売繁盛を願っているわけです。
さらに屋敷林には、こんな力もあることが分かってきています。

◆屋敷林は火事も防ぐ?
火事や火災を防ぐための樹木というのがあったと聞いています。特に埼玉県と茨城県に多いです。モチノキという樹木が火事を防ぐという言い伝えがある樹木で、これが実際に蔵のそばに設けられていたりするんです。蔵に入りやすいように、蔵の一階部分だけは葉っぱがないような状態で剪定されています。言い伝えでは、その樹木があったことによって延焼が防げたとか、樹木は燃えたけど蔵は助かったというような話を聞いています。
モチノキは常緑樹で、樹木内に水を多く含むっていうことがいわれています。モチノキの耐火性能なんかを調べてる研究者もいて、実際に他の樹木よりも燃えづらいという結果が出ているということもあります。

ちなみに屋敷林から採れる食べ物は、柿など実のなる木だけではありません。下草から、フキ・ミョウガ・三つ葉なども採れて、それをおひたしにするとか。
食べ物・燃料・冷暖房・家を建て直す木材。さらに季節を感じる役割。森自体が、生活に必要なモノ・エネルギーそのものになっているんですね。
この年末年始、地方へ出かける方は屋敷林、ぜひ観察してみてください。

年をまたいで来週も屋敷林のお話をお届けします!

【番組内でのオンエア曲】
・ADVENTURE OF A LIFETIME / Coldplay
・きらきら武士 feat.Deyonna / レキシ

先週に引き続き森の長城プロジェクトによる、「ポット苗育苗講習会」のレポートです。

AIU損害保険株式会社などの協力により 全国へ広がる森の長城プロジェクトは植樹、どんぐり拾い、さらに苗木づくりもボランティアの力で行われています。
会場となった葉県君津市の内山緑地建設の育苗施設では、まず、研究者の方による苗木の育て方の座学がありまして、そのあと、参加ボランティアのみなさんは、実際の「ポッド苗づくり」に挑戦しました。
これを教えてくれたのは、グリーンナーセリー前田の葛西さんです。

みなさんの前に苗箱がありますが、ここにどんぐりを蒔くんですけど、このどんぐりは必ず縦にならないように横に寝かせて蒔いてください。そして、1.5cm~2cm程度を目安として、あくまでもどんぐりが表に出てこないような量でかまいませんので、土をかぶせてください。
今日はこれで終わって水を打つんですけども、例えば寒いところですと、春先まで霜が降りることもあると思いますので、ここに敷き藁をして寒さからどんぐりを守ってあげる。暖かいとこだったらいいんですけども、寒いとこでやられる場合は被せ物をしたりして春先まで養生をしていただいて、春先に一本、二本芽が出てきたら、藁は取ってあげてください。


どんぐりは横に寝かせるんですね。そして大事なのは土のかぶせかたと土の量。
ポッドに5センチくらい土を入れて、その上にどんぐりを横に寝かせて蒔く。その上に1.5センチ~2センチほど土をかぶせるということですね。
続いてポット苗の達人・西野さんによる どんぐりの育て方のお話です。
ポイントは空隙(くうげき)、つまり空気の入るスキマということなんですが、どういうことなんでしょうか。


植物の根は空気を必要とします。ですので、土の粒子が大中小この三つで組み合わせをします。そうすると、空隙率が土が4、水が3、空気が3という風に基本は考えてください。その用土を作るために赤土をベースに鹿沼土、腐葉土、ピートモスなんかをブレンドをすることでその適度な空隙を作ることができます。
今からみなさんに実践してもらいますけども、植木鉢を植えたらトントンとやりますよね。そうすると真ん中が固くなって水の抜け、空気の入りが悪くなりますので、絶対にやらないでください。トントンすることで押されて、水やりをすると真ん中が固くなってるので水はポットのへりしか通らなくなる。そうすると真ん中に芯には水が入ってないということになります。そうすると空洞化して根っこのすくない苗木になってしまいます。


これはつまり、森の長城プロジェクト副理事長、宮脇昭さんがおっしゃる「ほっこらほっこら」と土を盛るということですね。この講習会、本当に学ぶことが多い!

講習会の最後は西野さんの挨拶で終了しました。

午前中の座学に続きまして午後の実習大変お疲れ様でした。かなりの企業秘密が入っておりますので持ち帰って他言しないようにお願いしたいと思います(笑)
植物も人間と一緒で、酸素が必要だということを念頭に置いてください。
また、人間が暑いと感じる環境は植物にとっても暑いんです。ムシムシするなと思ったら、植物にとってもそうなんです。やはり蒸れるところには病気がくるし、やはり水はけがいいということが非常に重要かなという風に思います。
みなさんで作った苗を、今度は被災地に持ち寄っていただいて、また植樹祭でお会いできればと思っておりますので、今後ともご協力よろしくお願いいたします。
ではこれで終わりたいと思います。よろしくお願いします。



ポット苗育苗講習会、いかがだったでしょうか。
森の長城プロジェクト、来年も森づくり活動は続きます。おおまかな年間の予定をご紹介すると、
来年3/27 福島県南相馬市の植樹祭
5/28 岩沼市・千年希望の丘植樹祭
8/6 岩手県山田町植樹祭
そのほか、夏には草取りツアーがあったり、8月から11月にかけては、どんぐり拾いのイベント、そして12月には、今回ご紹介したポッド苗づくりの講習会を
予定しています。
興味のある方はぜひ森の長城プロジェクトのサイトをチェックしてください!


【今週の番組内でのオンエア曲】
・Shake It Off / Taylor Swift
・Jamaica song / Booker T. & The MG's
今週は12月5日に、行われた森の長城プロジェクトの「ポッド苗育苗講習会」のレポートです。
AIU損害保険株式会社などの協力により 全国へ広がる森の長城プロジェクト、植樹、どんぐり拾い、さらに苗木づくりもボランティアの力で行われています。
今回行われた講習会の会場は千葉県君津市にある内山緑地建設の育苗施設です。研究者の方による苗木の育て方の座学や、育苗を体験する実地演習が行われました。


というわけで午前中に行われた座学の模様です。
教えてくださったのは、森の長城プロジェクトの副理事長、日本の森づくりの第一人者、宮脇昭さんの2人のお弟子さん。
まずは東京農業大学短期大学部教授 鈴木伸一さんのお話です。

◆潜在自然植生の重要性
樹林をつくっていくにあたって、どんな樹種を選定していけばいいのか。それのひとつのポイントとしては地域性のもの、その土地のものです。要するにその土地に潜在的に存在する自然っていうことなんですけれども、その土地の気候条件、立地条件だったら、どういう自然林が成り立つのかっていうのが潜在自然植生ですね。その土地にすごく適した植物なので、それを植えておけば失敗することが少ないということですね。植栽後の失敗が少ない。そして、その土地に合ってますので、密植をするとすごく成長が早いんですね。我々が考えているよりも比較的短い年月で樹林ができます。20年経つと、10mを超えるような樹林ができていくというような実例があります。
特に最近では遺伝子の問題があります。その土地の植物はそこでずっと暮らしてきて、遺伝的に他地域とは違う遺伝子を持っている。そこに他地域から苗木なりを生物を持ち込むと遺伝子の撹乱に繋がっていきます。最近では保全生物学、あるいは保全生態学っていうのがありますが、そういった中では、遺伝子かく乱というものを非常に厳しく批判をしている。そういった部分でも、その土地の植物を選んで植えていけば遺伝子撹乱も防げます。
そして必ずこういった潜在自然植生に基づいた植栽をするときには現地の調査をします。石巻の女川原発の周辺ですけれども、この黒く見えるところはみんなタブの木です。タブの木がたくさんあります。南の方、宮城までくるとシロダモなんかも段々出てきます。三陸海岸の南側というのは、多くの常緑樹の北限になっているなっていうことがわかります。ですから我々が植樹を行っている地域は落葉広葉樹林の地域ではないんだということがお分かりいただけるかなと思います。それをもとに、植栽適正種の一覧表を作っていきます。
で、これに基づいて苗木を作っていくということになるわけですね。昔は10種類程度しか植えなかったんですけど今はいろんな苗木が作られるようになって、非常に多くの苗木を植えています。30~40種くらい植えています。


その土地に本来根付くべき植物・潜在自然植生!という言葉はもうおなじみですね。鈴木さんによれば、神社仏閣・昔から残っている民家の庭先などの古い大木などは、潜在自然植生の可能性が高いのだそうです。また、明治大正時代に薪や炭を取るためにアカマツなどが植えられた雑木林が、長い年月をかけて現在はタブの木やシイの木の森になっていることもあるそうなんです。これを「遷移(せんい)」といいます。年月をかけてその土地本来の自然が復元された・・・と言えるわけです。
ではもう一人の宮脇チルドレンのお話です。宮脇式の森づくりに37年にわたって協力、苗木づくりを続けているグリーンエルム代表で植生管理士の、西野浩行さん。西野さんは「ポット苗」と呼ばれる、小さなポットによる苗木づくりの極意を教えてくださいました。


◆森づくりを成功させる秘訣
ポット苗を使った森づくりを成功させるためには、マウンドの形状、形質、敷き藁、それからポット苗。この3つがいい状態にあって、それなりの植え方をしていただければ、ほぼ90%以上の確率で成功します。こういう風に根が充満した状態の苗木であれば、未経験者でもうまくいきます。
それと宮脇先生がよく言うのはランダムに植えなさいということ。最近、イオンさんの森づくりですと、1現場で50~70種ぐらいの種類を植えるわけですが、たくさんの種類を植えると生存競争になるわけなんですが、実は環境圧を分散させる効果もあって、競争しながら助け合ってるよという話なんです。我々は1平方メートルに3本ぐらい植えるんですが、なぜかというと、植物はこのように成長する段階で葉と葉が触れ合うようになるわけです。そうすると、そのままではもう一方は日陰になって光合成ができなくなって死んでしまうので、木が一気に伸びます。そうすると今度はまた別の木が、それに負けじと伸びるわけですね。競争しながら共存をしていく。これは宮脇先生がよく言う話なんですが、嫌なやつでも共存しなさいというのはそういうことなんです。このメカニズムは植物の持ってる生きようとする戦略ですね。それを上手く利用して森をつくるんです。
最後は、私の30年の集大成なんですが、水やりのとき、十分に水をやって、今度は早く乾かします。なるべく早く乾くような場所においてください。で、乾いたらまた水をやる。これを繰り返すことで植物の根が発根します。水が欲しいから根が動くんです。水が常にあると根を出す必要がない。だからいい根を作るためにはこのメカニズムを繰り返すんです。
そのあたりを気を付けてやってくれればいい苗ができると思いますのでよろしくお願いします。今度はぜひ植樹祭の現場で苗木を持ってきてみんなで植えましょう。


うーん、なるほど。森づくりには「ポット苗」「マウンド」「稲わら」という3つのポイントがあるんですね。ポット苗は、ポット内に根っこがみっちり充満するので成長が良いんだそうです。また、ポット苗になっていると、扱いが簡単なんですね。
そして盛り土のマウンド。水はけが良く酸素が入ったマウンドを作ると、雨が降っても水が下へ流れる。水はけが良い。乾きやすいんだそうです。
稲わらは、枯れ葉の代わりの役割を果たすもので、乾燥を防ぎ保湿効果があるんだそう。雑草も抑えるし、微生物を活性化して、稲わらを土にしてくれるそうです。
長年かけて蓄積されたノウハウ。勉強になりますね。
来週はこの講習会の続きです。どんぐりから苗にするまでの育て方ついてお届けします。
どうぞお楽しみに!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・I Will / The Beatles
・タイム・トラベル / スピッツ
今週は先週に引き続き、11月5日・津波防災の日に行われたシンポジウムの模様をお届けします。これは森の長城プロジェクトなど「津波から命を守る森づくり」を大きなテーマにしたもので、防災・減災はじめ、各専門家による講演が行われました。
今回はそのなかから、森林分子生態学という、植物をDNAレベルで研究する研究者、東北大学大学院 准教授の陶山佳久さんの講演の一部をお届けします。
津波から命を守る「森作り」や「植樹」について、植物の専門家・陶山さんは、どう考えているのでしょうか。

◆生物には地域性がある
植樹というのは未来に対しての責任が生じる行為といえます。なぜなら未来の環境に影響を及ぼすからです。木は生きて成長して将来の環境をつくります。花を咲かせれば花粉を飛ばし、種を作り、周りの自然環境にも影響を及ぼすのです。したがって植樹というのはより良い未来の環境を導くということがいえます。
そして、生物には地域性があります。なぜなら各地域には各地域それぞれの歴史・環境があり、その歴史の上でその場所にいるのが基本だからです。したがって地域性を無視した植樹は自然破壊にもなり得ます。例として、森の防潮堤に使われている代表種・タブノキ。これは非常に大きく成長する木で、東北地方の海岸の代表的な広葉樹、日本の代表的な常緑の広葉樹です。太平洋側は岩手県から、南側は台湾や中国本土にもある。これがタブノキという木の分布域です。このように広い範囲に分布するので、地域地域にそれぞれ違ったタブの木が存在するというわけです。
実際、全国からタブノキを集めて337個体のDNAを比べたところ、全体として3つのグループに分かれていることがわかりました。西、関東、東北ときっぱり別れる。もちろん多少のノイズはありますが、この3つのグループがどういった経緯で、どれくらいの年代で分かれてきたのかは解析することができます。これが分かれたのは少なくとも数万年前です。氷河時代の寒かった頃は東北地方にはありませんでした。房総半島とか紀伊半島の先、鹿児島にしか存在しない。寒かったからです。
みなさんは、森はずっとその場にあるような気になっているかもしれませんが、そんなことはありません。少なくとも1万年以上かけて今の分布域まで広がっている。動いているのであれば今も動かしてもいいじゃないかと思われるかもしれませんが、そんなことはないんです。分布域が動くのには数百世代以上がかかっています。毎世代毎世代、たくさんの種を作ってその中で環境に適したものが生き残って、それを繰り返し、トライアンドエラーが繰り返されて現在に至っているわけです。それぞれの地に生き残っている生物は、基本的に同じような歴史を持っていて、それが各地に根付いているんですね。そう考えると、それぞれの地にそれぞれの宝があると言ってもいいと思います。


陶山さんはこの「タブノキ」という樹木のDNAを全国的に調査。同じタブノキでも、東北と、それ以外では別のグループに分かれることを突き止めているんですが、この調査結果は、植樹や森づくりをする上で大きな意味があるんです。

◆未来により良い環境を残す
タブノキはこのように広い範囲に分布するので、地域地域にそれぞれ違ったタブノキが存在するのですが、全体として西・関東・東北の3つのグループに分かれることがわかりました。
植樹の際には、例えば苗木が足りないとか、経済的な問題でやむを得ず違う地域から移植されることがあります。いまはこのデータがあるので「それは違う地域のものですよ」と言うことができるが、このデータが無ければ、同じタブノキだからいいでしょと植えられてしまう。遺伝的に違うことがなぜ悪いのかを説明するために実際に植えて比較をしてみた。千年希望の丘で、同じ数だけ同じ場所に統計的に比較できるようにタブノキを植えました。一冬越えたあと、愛知県産・茨城県産の苗木は枯れていました。一方で、全く同じ条件でも、宮城県産のものは元気に育っているものがある。南三陸でも比較したのですが、宮城県のものはやはり成長が良い。樹高がわずか1年で他の地域のものとくらべて、10センチくらい差が出ちゃう。成長だけでなく、冬を越えた時に一番先端の芽「頂芽」がたくさん枯れてしまうということもわかりました。宮城県産でも50%くらい枯れてしまうのですが、愛知県産はわずか15%しか生き残りませんでした。宮城県産は冬の寒い状況に対応できているからこうなるのですが、これがわかっていたら他の地域の木を植樹はしないですよね。
まず地域には独自の遺伝的な系統があるということを覚えておいてください。地域環境に適応した個体によって、将来に確実な海岸林を成立が期待できるし、森の恵みを享受することができるわけです。つまり地域性種苗・地域の苗木は歴史という保険が利いているということなんです。
他地域産の種苗であっても問題なく成長することはもちろんあります。外来種でもよく成長し繁栄しているものもあります。でもそれは遺伝子攪乱を起こしてしまうので、成長しようがしまいが、他地域産のものを持ってくるのは良い事はありません。未来に責任の無い行為だということができると思います。
私は研究をしていて色々何をやればいいのかと思うことがあるが、今ははっきりとこうしたいという気持ちがあります。僕のできることは遺伝子を調べることなので、地域の遺伝資源を次代に残し、未来により良い環境を残すため、森の防潮堤にも貢献できればと思っています。


陶山佳久さんのお話しいかがだったでしょうか。ポッドキャストでも詳しくご紹介していますので、こちらもぜひお聞きください!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Brighter Than The Sun / Colbie Caillat
・Happy Tomorrow / Nina
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高橋万里恵
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