- 2015.02.22
「炭」のお話 1
今週は、私たち日本人が、古くから生活に取り入れて来た森の恵み・・・「炭」のお話です。
今回は90年以上続く炭を扱うお店、京都市中京区「釜座通」にある「今井燃料」というお店に伺いました。
そもそも釜座通は、鋳物職人の工房がたくさんあった通りだと言われています。
そんな釜座通で、古くから燃料を扱っているのが「今井燃料」。
燃料、といっても灯油やガソリンではなく、「炭」を専門に扱っているお店です。
ご主人の今井健二さんにお話を伺いました。

◆今井燃料
大正七年に創業しているので、96〜97年になります。私の祖父が若いときに丹波にいたんですが、そこから商売しにこちらに出てきて、私は三代目です。いま扱っているのは主に薪ですね。炭ももちろんあります。
以前は、いまみたいにいろんなところの炭を仕入れていたわけではありません。昔は京都でもたくさん炭をつくっていたんですが、いまはほとんどつくっていません。需要もいまよりはるかに多かったですね。普段の暖房とか、もちろん煮炊きも全部薪でしたから、需要はたくさんありました。それから染屋さん。染料を沸かして色を付けるんですが、その燃料としての需要もありました。染屋さんはこのへんはかなり多かったので、たくさん売っていたと思いますね。
それがだんだんと石油やプロパンガスに替わっていって、薪や炭は一時は極端に減ってしまいました。それで炭の産地が大変だという認識があったので、役に立ちたいなという思いがあったのと、化石燃料をやめようと思ったんです。炭の専門店になったのは6〜7年前です。
炭は、元々森の中にあった木。木には、空気中のCO2が固められています。だから炭を燃やしても、化石燃料のように空気中のCO2を増やすことにならない「カーボンニュートラル」と言われる概念です。
環境問題に関心の強かった今井健二さんは、灯油などの販売をやめ、炭だけを扱うお店に ある意味「原点回帰」。化石燃料にはない、炭の魅力を知ってもらおうとご商売を続けています。

◆手間を楽しむ
炭は、たとえば暖房でしたら、手をかざすと手の平から血管を通って体が温まってくるわけです。急には温まったり、ものが簡単に焼けたりということはないんですが、そのプロセスを含めた時間のゆとりを提供したいというのがあります。火鉢で炭をじっと見ていても飽きないんですよね。そういう時って、頭のなかを空っぽにできて、リフレッシュできると思ってます。それに炭火は遠赤外線や近赤外線など、いろんなものが出るんですが、料理がおいしくなるというのはみなさんご承知のとおりなんです。
やはり邪魔臭いのは邪魔臭いんですよ、正直言って。たとえば炭に火が移るまでには20分くらいかかるんですよね。すぐには自分の思い通りにならないというのがあるんですが、それまでの間のプロセスを楽しむ。
この炭は黒炭といって、火力的には備長炭よりかなり弱いんですが、その分お餅はすごくおいしく焼けます。お正月ごろのお餅とか、たとえばじっと見ているわけですから、だんだん膨らんでくるのが見えますよね。で、ぶわっと膨らんでくる瞬間をじっと見ているわけですから、見ていても面白いですし、焦げ目の香ばしさが全然ちがうと思います。だからちょっと乾燥した香ばしさじゃなくて、パリっとした、よくおかきなんか焼きますが、それに近い感覚なんでしょうです。そういう香ばしいところが美味しいと思いますね。砂糖醤油をちょっとお湯でうすめたもので食べるんですが、それが僕はすごく好きで。正月に必ず食べ過ぎてしまうんでちょっと困ってるんですけど(笑)
炭を使った日本の古くからの暖房器具といえば、「火鉢」ですが、この火鉢には、体を温めるだけではない、別の効果もあると今井さんは話します。
◆火をみんなで囲む
やはり火があるとみんなが近くによってくるんですよ。それでみんなで手をかざして、周りを囲んでお餅を見てるとか、そういうコミュニケーションの場にもなれると思いますね。そういうときは普段しゃべらないこともしゃべったりするじゃないですか。僕らは小さい頃はそういう環境だったので、冬の間は火鉢に集まって、そういう団欒はありましたね。そこで僕の場合は、三世代同居でしたから、おじいさんから色んな面白い昔の話を聞いたりする場でもあったし、そういうコミュニケーションのツールとしてはすごくいいものだと思います。
いまは簡単にボタンを押したらすぐに料理ができてきて、すぐ食べられてありがたみがなかなかわかりませんが、長いことかかるんだなというのを実際にみて、待っている間にいろんな話をしたり、そういうコミュニケーションのいいツールにはなると思いますね。
今井さんも子どもの頃は火鉢で暖まっていたそう。火鉢をまたいでオマタを温める「また火鉢」という悪ふざけをして、親に怒られたと笑って話してました。
当時は、ご飯を炊くのは薪、焼きものは七輪。こたつは炭の熱を使ったもの。生活に必要なエネルギーはほとんど、薪や炭だったと言います。
そして現在。かつての炭のある暮らしに魅力を感じる若い世代が、増えているんです。
◆スローライフとしての炭
火鉢を使う若い人がすごく増えましたね。お年寄りの方は昔を懐かしんで使われる方もいらっしゃいますが、やっぱり邪魔臭いというイメージを持ってる方が多いんです。若い方は、メインが30〜40代くらいですが、知らなかったけれどもやってみたいという方がたくさんいらっしゃいますね。火鉢に関してはここ3〜4年位で急に増えたように思います。
まあスローライフですよね。その入門編として、火鉢が注目されているのかなと思ってます。それと単純に炭で焼いたらおいしいので、備長炭なんかはそれこそ若い方のほうが多いですね。ほとんどそうです。
また、京都には京町家がたくさんあるので、それに合わせて炭を使いたいという方もたくさんいらっしゃると思います。

今井燃料のご主人、今井健二さんのお話、いかがだったでしょうか。
若い世代で炭のある生活を楽しむ人が増えている、というお話もありましたが、炭を扱うお店は減っています。かつて京都には400軒ちかい燃料店があったのですが、今では70店程度。
炭専門のお店は今井さんのお店も含め数軒にとどまるということです。
今井燃料では、炭の情報発信、ウェブでの販売も行っています。ぜひチェックしてみてください。
http://www.i-sumi.com/
来週も、今井燃料 今井さんのお話をお届けします。
【今週の番組内でのオンエア曲】
・Yellow / Coldplay
・Happy Pills / Norah Jones
今回は90年以上続く炭を扱うお店、京都市中京区「釜座通」にある「今井燃料」というお店に伺いました。
そもそも釜座通は、鋳物職人の工房がたくさんあった通りだと言われています。
そんな釜座通で、古くから燃料を扱っているのが「今井燃料」。
燃料、といっても灯油やガソリンではなく、「炭」を専門に扱っているお店です。
ご主人の今井健二さんにお話を伺いました。

◆今井燃料
大正七年に創業しているので、96〜97年になります。私の祖父が若いときに丹波にいたんですが、そこから商売しにこちらに出てきて、私は三代目です。いま扱っているのは主に薪ですね。炭ももちろんあります。
以前は、いまみたいにいろんなところの炭を仕入れていたわけではありません。昔は京都でもたくさん炭をつくっていたんですが、いまはほとんどつくっていません。需要もいまよりはるかに多かったですね。普段の暖房とか、もちろん煮炊きも全部薪でしたから、需要はたくさんありました。それから染屋さん。染料を沸かして色を付けるんですが、その燃料としての需要もありました。染屋さんはこのへんはかなり多かったので、たくさん売っていたと思いますね。
それがだんだんと石油やプロパンガスに替わっていって、薪や炭は一時は極端に減ってしまいました。それで炭の産地が大変だという認識があったので、役に立ちたいなという思いがあったのと、化石燃料をやめようと思ったんです。炭の専門店になったのは6〜7年前です。
炭は、元々森の中にあった木。木には、空気中のCO2が固められています。だから炭を燃やしても、化石燃料のように空気中のCO2を増やすことにならない「カーボンニュートラル」と言われる概念です。
環境問題に関心の強かった今井健二さんは、灯油などの販売をやめ、炭だけを扱うお店に ある意味「原点回帰」。化石燃料にはない、炭の魅力を知ってもらおうとご商売を続けています。

◆手間を楽しむ
炭は、たとえば暖房でしたら、手をかざすと手の平から血管を通って体が温まってくるわけです。急には温まったり、ものが簡単に焼けたりということはないんですが、そのプロセスを含めた時間のゆとりを提供したいというのがあります。火鉢で炭をじっと見ていても飽きないんですよね。そういう時って、頭のなかを空っぽにできて、リフレッシュできると思ってます。それに炭火は遠赤外線や近赤外線など、いろんなものが出るんですが、料理がおいしくなるというのはみなさんご承知のとおりなんです。
やはり邪魔臭いのは邪魔臭いんですよ、正直言って。たとえば炭に火が移るまでには20分くらいかかるんですよね。すぐには自分の思い通りにならないというのがあるんですが、それまでの間のプロセスを楽しむ。
この炭は黒炭といって、火力的には備長炭よりかなり弱いんですが、その分お餅はすごくおいしく焼けます。お正月ごろのお餅とか、たとえばじっと見ているわけですから、だんだん膨らんでくるのが見えますよね。で、ぶわっと膨らんでくる瞬間をじっと見ているわけですから、見ていても面白いですし、焦げ目の香ばしさが全然ちがうと思います。だからちょっと乾燥した香ばしさじゃなくて、パリっとした、よくおかきなんか焼きますが、それに近い感覚なんでしょうです。そういう香ばしいところが美味しいと思いますね。砂糖醤油をちょっとお湯でうすめたもので食べるんですが、それが僕はすごく好きで。正月に必ず食べ過ぎてしまうんでちょっと困ってるんですけど(笑)
炭を使った日本の古くからの暖房器具といえば、「火鉢」ですが、この火鉢には、体を温めるだけではない、別の効果もあると今井さんは話します。
◆火をみんなで囲む
やはり火があるとみんなが近くによってくるんですよ。それでみんなで手をかざして、周りを囲んでお餅を見てるとか、そういうコミュニケーションの場にもなれると思いますね。そういうときは普段しゃべらないこともしゃべったりするじゃないですか。僕らは小さい頃はそういう環境だったので、冬の間は火鉢に集まって、そういう団欒はありましたね。そこで僕の場合は、三世代同居でしたから、おじいさんから色んな面白い昔の話を聞いたりする場でもあったし、そういうコミュニケーションのツールとしてはすごくいいものだと思います。
いまは簡単にボタンを押したらすぐに料理ができてきて、すぐ食べられてありがたみがなかなかわかりませんが、長いことかかるんだなというのを実際にみて、待っている間にいろんな話をしたり、そういうコミュニケーションのいいツールにはなると思いますね。
今井さんも子どもの頃は火鉢で暖まっていたそう。火鉢をまたいでオマタを温める「また火鉢」という悪ふざけをして、親に怒られたと笑って話してました。
当時は、ご飯を炊くのは薪、焼きものは七輪。こたつは炭の熱を使ったもの。生活に必要なエネルギーはほとんど、薪や炭だったと言います。
そして現在。かつての炭のある暮らしに魅力を感じる若い世代が、増えているんです。
◆スローライフとしての炭
火鉢を使う若い人がすごく増えましたね。お年寄りの方は昔を懐かしんで使われる方もいらっしゃいますが、やっぱり邪魔臭いというイメージを持ってる方が多いんです。若い方は、メインが30〜40代くらいですが、知らなかったけれどもやってみたいという方がたくさんいらっしゃいますね。火鉢に関してはここ3〜4年位で急に増えたように思います。
まあスローライフですよね。その入門編として、火鉢が注目されているのかなと思ってます。それと単純に炭で焼いたらおいしいので、備長炭なんかはそれこそ若い方のほうが多いですね。ほとんどそうです。
また、京都には京町家がたくさんあるので、それに合わせて炭を使いたいという方もたくさんいらっしゃると思います。

今井燃料のご主人、今井健二さんのお話、いかがだったでしょうか。
若い世代で炭のある生活を楽しむ人が増えている、というお話もありましたが、炭を扱うお店は減っています。かつて京都には400軒ちかい燃料店があったのですが、今では70店程度。
炭専門のお店は今井さんのお店も含め数軒にとどまるということです。
今井燃料では、炭の情報発信、ウェブでの販売も行っています。ぜひチェックしてみてください。
http://www.i-sumi.com/
来週も、今井燃料 今井さんのお話をお届けします。
【今週の番組内でのオンエア曲】
・Yellow / Coldplay
・Happy Pills / Norah Jones