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Dream HEART vol.604 「菊乃井」の三代目 村田吉弘さん 著書『ほんまに「おいしい」って何やろ?』

2024年10月26日

今週ゲストにお迎えしたのは、京都の老舗料亭「菊乃井」の三代目、村田吉弘さんです。


村田さんは、1951年、京都のお生まれです。

立命館大学在学中に、フランス料理研究のためフランスに渡られ、大学を卒業後、日本料理の道に進まれました。

1993年、父親のあとを継いで、「菊乃井」の三代目主人に。

現在、「菊乃井 本店」、「露庵菊乃井」、「赤坂 菊乃井」を統括されていらっしゃいますが、「ミシュランガイド」で、現在まで、京都、東京で併せて7つの星を獲得し続けていらっしゃいます。

2017年には、お弁当や甘味を供する「無碍山房(むげさんぼう・サロン・ド・ムゲ)」を開店。

海外での日本料理の普及活動、地域の食育活動など、料理人の育成、地位向上のために精力的に活動を行っていらっしゃいます。


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──日本料理を世界の料理に

茂木:村田さんと言えば、お仕事が素晴らしくて。もちろん菊乃井でのお仕事は当然なんですけれども、料理界全体のことを考えて色んなことをされていらっしゃいますよね。

村田:日本料理が中心ですけども、一度、日本料理が斜陽になってきましたから、「これは何とかせないかんな」ということで、日本料理を世界の料理にすることをライフワークにしてきました。

茂木:この今回のご著書『ほんまに「おいしい」って何やろ?』の中には、広島のサミットで料理をされたことのエピソードが書かれているんですけど、大変なお仕事でしたね。

村田:いや、もう来た時はね、ほんまに責任の重さと嬉しさで舞い上がっていましたけどね。

茂木:この広島サミットの料理がどのようなものだったかと言うと、「広島レモンを使った冷たいお味噌汁」、そして「牡蠣のお好み焼き」。
各国の首脳が本当に美味しいと言ってくださって、やっぱり味というのは、それだけ色んな国の人に通じるものがある、と。

村田:はい、そうですね。

茂木:その村田さんが、今回のご著書の読みどころとしては…若い時は無茶をされていましたね(笑)。

村田:むちゃくちゃですね。

茂木:(笑)。特に、フランスに渡られた時のこと、これはすごいですね。

村田:せやから、今、うちの息子やらがそれやったら、僕はもうほんまに心配で寝られんようになりますね。

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茂木:当時、学生向けのチケットで、半年間の有効期限のものがあって。

村田:そうです。

茂木:それで、1泊目しか宿が取れていない、と。どうされたんですか?

村田:まぁ行ったら何とかなるやろ、ということで、リュックを担いで行ったんですけどね。「どうするかなぁ」と言うて、とりあえずシャンゼリゼ通りを歩いていたら、JALがあったんです。そこに入って、「JALに乗ってきたわけではないんですけども、どっか泊まるとこを紹介してもらえませんか?」と言って(笑)。

茂木:それで飛び込んだ安宿の向かいの部屋に、とんでもない方が住んでらっしゃったそうで。

村田:そうなんですよ。向かいの部屋に、上柿元勝て、ハウステンボスの総料理長になった、上柿元がいたんですね。

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『ほんまに「おいしい」って何やろ?』より フランス修行留学時代


茂木:村田さんは、帰国後、ご実家のお仕事である日本料理の方に戻ってこられたんですよね。

村田:はい。フランスへ行ってね、「世界の三大料理は、フランス料理、中華料理、日本料理や」と聞いていたわけですよ。この3番目にはね、タイの人は「タイ料理」と言うたんですよ。ベトナム人は「ベトナム料理」と言うたんです。そやから、この3番目にはそこの人の国の料理が入んねんな、と。

茂木:なるほど。

村田:そやから、日本料理なんて誰も知らないんです。日本がどこにあるかも、経済発展の前ですから、知らんのですよ。

茂木:いや、でも村田さんは文化功労者になられて、これは、「𠮷兆」を創業された湯木貞一さん以来ということなんだと思うんですよね。

村田:そうですね。

茂木:湯木貞一さんと言えば、日本料理の世界では伝説の方で、いわゆる「松花堂弁当」を始められた方ですが、湯木貞一さんに続くというてことですね。

村田:そんな、それは烏滸がましいと思いますけど(笑)。もう、あれぐらい文化性の高い先輩に続いて貰えるということは、ほんまに気恥ずかしいような感じですけど。

茂木:本当に素晴らしいなと思います。

──料理の愛情

茂木:それで、「菊乃井」と言うと、どうしても敷居が高いと思われてしまう方もいらっしゃると思うんですけど、リスナーの方が、菊乃井にしろ、その支店にしろ、行ってみたいなと思ったら、どうすれば良いですか?

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村田:いや、敷居は全然高くないですよ。

茂木:いやいや(笑)。

村田:本当にね、京都の人は「料亭」と言わないんです。「料理屋」なんですけどね。何かの時には必ず料理屋に行くんです。

茂木:本当に、生活の中に溶け込んでいるんですね。

村田:そうなんです。そやから、「おばあちゃんの法事が回ってくるさかいに、菊乃井さん予約してほしいな」みたいな感じなんですよ。

茂木:「菊乃井さん」と言うんですね。

村田:はい、「さん」付けで呼んでくれはるんですよ。それで、「おじいちゃんの88の米寿のお祝いに、兄弟皆でおじいちゃんを菊乃井さんに招待しようか」みたいな話があるんですよ。
そやから、そういう使い方が本来の使い方ですよね。

茂木:本当にそれを聞くと、嬉しいな、と思って。そういう感じで菊乃井さんと出会ったら、それは最高の出会い方ですよね。

村田:そういうのが、ほんまの料理屋のあり方ですけどね。

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『ほんまに「おいしい」って何やろ?』より 菊乃井お部屋(撮影・畑中勝如)


茂木:だから『ほんまに「おいしい」って何やろ?』というこのタイトルは、本当にいいタイトルだなと思って。この本には「ほんま」のことが書かれていますね。

村田:そうなんです。せやから、もうついつい極端なことを言うてしもてますから(笑)。

茂木:(笑)。放送ではちょっと言えないような、とても素敵なことも仰っているので(笑)。

村田:読んで、店に来て頂くのが一番です(笑)。

茂木:そうですね(笑)。ぜひ、皆さん、お読み頂けたらなと思います。
お話を伺っているだけでも、村田さんの料理への愛というか…何なんですかね? ものすごく変な質問になってしまうんですけど、料理で一番大事なことというのは、何ですか?

村田:単純に言うとね、やっぱり「愛情」ですよね。素材に対する愛情もそうですけども、その食べ手側のお客さんに対する愛情。それからね、自分のために料理作る人が多いですけども、「俺の料理が食べられへんのやったら帰ってくれ」みたいな料理人は、もう絶対駄目ですね。

茂木:「料理は人だ」とよく言いますけど、本当に村田さんのお話を伺っていると、お客さんが喜んでくださるということが…。

村田:そうですよ。小学生の子供と、90歳ぐらいのおばあちゃんが、同じものが好きなわけがないじゃないですか。来られたら、その子にはその子に合う料理を作り、おばあちゃんにはおばあちゃんに合う料理を作る、というのが、料理人ですよね。

茂木:すごく幸せな気持ちになりますね。ますます大ファンになってしまいました!

村田:ありがとうございます(笑)。

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■プレゼントのお知らせ

今週は、図書カード3,000円分を3名さまにプレゼントします!

ご希望の方は、お名前やご住所、電話番号など、必要事項を明記の上、メッセージフォームより、ご応募ください。

私、茂木に聞きたい事や相談したい事など、メッセージを添えていただけると嬉しいです。

尚、当選者の発表は、商品の発送をもってかえさせていただきます。
たくさんのご応募、お待ちしております。



菊乃井 公式サイト


●「ほんまに「おいしい」って何やろ?」 / 村田 吉弘 (著)
(Amazon)


集英社 公式サイト

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