Dream Heart(ドリームハート)

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REPORT 最新のオンエアレポート

Dream HEART vol.510 狂言師 野村裕基さん 舞台「ハムレット」

2023年01月07日

野村裕基さんは、1999年、東京都のお生まれで、
狂言師・野村萬斎さんのご長男でいらっしゃいます。

おじい様の野村万作さん、及びお父さま・野村萬斎さんを師事され、
3歳の時に、『靱猿』で初舞台後、子方として国内外で多数の舞台に出演。

狂言の修行を続け、『三番叟』『奈須与市語』
さらに昨年10月には最高秘曲『釣狐』を披き、
若手狂言師の一人としてご活躍中でいらっしゃいます。

そのほか、2021年には、連続ドラマ『ソロモンの偽証』で、
ドラマ初出演を飾り、話題を集めました。

そして、今年3月6日から、世田谷パブリックシアターで上演される、
野村萬斎さん演出・出演による舞台『ハムレット』で、主人公を務められます。


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──日本の古典芸能にやや近い『ハムレット』

茂木:いよいよ今回の舞台『ハムレット』なんですが、お父様の野村萬斎さんもハムレット役をやっていらっしゃるということで。今回、お父様は何の役をされるんですか?

野村:今回は、私がハムレットをやらせて頂くんですけれども、そのお父さんの役ですね。お父さんの役と、そのお父さんはデンマークの王様なんですけども死んでしまうんです。その弟…つまり王様の弟がまた王様になるんですが、その両方の王様をやるというのが父の役でして。
つまり僕(ハムレット)の父親役と僕の叔父の役をやるということです。

茂木:まるで、狂言の野村家みたいな、絢爛たる親戚筋という。お父様は文化庁の派遣でイギリスに行かれていて、イギリスともご縁が深いと思うんですけど、ご自身もイギリスに留学されていて。イギリスと言えば、シェイクスピア、『ハムレット』ですけども、どうですか?

野村:グローブ座も、生で見学させて頂いたりもしました。父もとても興味深く言ってることなんですけど、狂言とかで使われる、所謂“能舞台”と呼ばれる劇場の構造と、グローブ座はもの凄く近いんです。舞台の四隅に柱が立っている、というのもあって、やっぱり何かしら、狂言と能と近いものを感じるな、と私も肌で感じましたね。

茂木:そうなんですか!
世田谷パブリックシアターも本当に素晴らしい箱ですけれども、この3月の公演に向けて、お父様と朗読劇をされているんですよね。

野村:そうです。昨年、“朗読劇”と言いながらも、相当動きながらやったので(笑)、大体頭の中にもちろん台詞が入っている感じでやりました。本を読みながら、一度プレ公演のようなことをさせて頂きました。

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茂木:いかがですか? 狂言師として芸を極める、ということもありながら、一方では、お父様の萬斎さんも本当に数々の舞台、ドラマ、映画に出ていらっしゃいますけど、狂言とそれ以外のお仕事の関係というのは、どういうイメージでいらっしゃいますか?

野村:もちろん父も、狂言以外のことを幅広くやっていますし、最近は私自身もやらせて頂くんですけれども。その中で、他の演劇だったりとかそういったものをやることによって、逆に狂言を客観視することや、他の演劇を知ることで、逆に狂言を改めて考えることができるんじゃないかな、ということで、父はたぶん、今回のハムレットもそうですけど、他の芸能だったりとか芸術というものにも関心を持って貰おうという気持ちで、やらせて頂くという感じですかね。

茂木:今回の『ハムレット』ですが、まだまだこれから色々舞台を詰めて行かれると思うんですけど、見どころはどの辺りでしょう?

野村:私自身は、こういった、所謂“翻訳劇”というんですか、『ハムレット』のようなストレートプレイは初めてさせて頂くので、そういった意味でも相当プレッシャーもあるんですけれども。
やはり、他のキャスティングされている俳優さんの方々が、若村麻由美さんを始めとして、とても豪華でいらっしゃいますので、そういった方々の熟練の『ハムレット』をご覧頂くというのもそうなんですけど…。
その中で、父が演出も担当するんですけれども、ほとんど狂言しかやったことのない私が主演させて頂くので、『ハムレット』と言えど、ある程度古典芸能みたいな位置づけになっていると思うと…。本当に日本の古典芸能をやっている人間が、こういった『ハムレット』をやるということの、演出だったり言い回しだったり、やっぱり狂言はセリフ劇ですので、そう言う意味でも、日本の古典芸能にやや近いような『ハムレット』になっているのかな、というようなところが、見どころになっているかなと思います。

茂木:お父様は演出ですけれども、裕基さんはハムレットですから、座長とは言わないですが、本当に舞台の印象を決める重要な責任みたいなものもあると思うんですけれども。

野村:そうですね。基本的に父はずっと演出をするところのテーブルに座って、じーっと見ながら…(笑)。

茂木:(笑)。厳しいですか?

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野村:厳しい方なのかな、と思います…。皆さんも厳しいと思われてるんじゃないかな、と思いますね。

茂木:厳しく追及して作られたこの舞台、是非僕も観に行きたいと思いますし、リスナーの方も観に行かれて欲しいと思うんですけれども。
野村裕基さんが主人公を務める舞台『ハムレット』は、3月6日(月)〜3月19日(日)まで、東京・世田谷パブリックシアターで上演されます。
チケットは今月1月22日(日)より発売になります。チケットの詳細など詳しくは、世田谷パブリックシアターの公式ホームページでご確認ください。
そして3月25日(土)には、東京・江戸川公演が、そして3月29日(水)には、大阪・枚方公演もございます。
本当に楽しみなんですけど、観にいらっしゃる方にメッセージがございましたらお願いします。

野村:『ハムレット』の有名なセリフである、「生か死か、それが問題だ」という言葉に注目して頂きたいなと思うんですけれども。やはり皆さんも、今のこの混沌としている社会の中で普段生活をなさっているわけですが、ハムレットも混沌としている家庭事情などの中で、ハムレットが何を葛藤しながら生きていたのか、そういったことと、自分達の生きている現代社会の中での自分と、ある意味照らし合わせるようなことができるんじゃないか、と。そういったことも楽しんでもらえるんじゃないかな、と思って、私もハムレット役として頑張りたいと思います。

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世田谷パブリックシアター『ハムレット』


万作の会 公式ホームページ


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