Dream Heart(ドリームハート)

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Dream HEART vol.511 狂言師 野村裕基さん 「狂言というものの根幹を揺るぎないものにしたい」

2023年01月14日

野村裕基さんは、1999年、東京都のお生まれで、
狂言師・野村萬斎さんのご長男でいらっしゃいます。

おじい様の野村万作さん、及びお父さま・野村萬斎さんを師事され、
3歳の時に、『靱猿』で初舞台後、子方として国内外で多数の舞台に出演。

狂言の修行を続け、『三番叟』『奈須与市語』、
さらに昨年10月には最高秘曲とされる『釣狐』を披き、
若手狂言師の一人としてご活躍中でいらっしゃいます。

そのほか、2021年には、連続ドラマ『ソロモンの偽証』で、
ドラマ初出演を飾り、話題を集めました。

そして、今年3月6日から、世田谷パブリックシアターで上演される、
野村萬斎さん演出・出演による舞台『ハムレット』で、主人公を務められます。


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──古典芸能の普及のために

茂木:今回、世田谷パブリックシアターで『ハムレット』をやるわけですけれども、ある意味、父と子の共作という意味においては、かなり大きな舞台になりますよね。

野村:そうですね。父とも、狂言での指導はずっと長いことして頂いていますので、狂言ではなくハムレットを私に教えるということは…。師匠と弟子の関係で言うと、練度と言うんでしょうか、コンビネーションのところは割りといいのかな、と思っていますね。

茂木:ちょっと緊張感もあります?

野村:他の方々も本当にベテランの方ばかりで、たぶん僕が一番、こういった舞台経験の実績が少ないのかな、と思いますので、そういった意味でも、他の演者さんの胸を借りる気持ちで頑張ろうと思っています。

茂木:この『ハムレット』は、3月6日(月)から3月19日(日)まで、東京・世田谷パブリックシアターで上演されます。注目の舞台なので、ぜひ、皆さんご覧頂きたいと思います。
やっぱり、お父様の萬斎さんの『にほんごであそぼ』などの影響力は圧倒的で、あれで子供達が台詞回しの楽しさに目覚めてしまったところがあると思うんですけど。何となく我々は、狂言の台詞のイメージがあって、狂言を観たことがない人でも台詞は知っていることもあると思うんです。普及という意味においては、どうですか?

野村:父も私もそうですけども、やっぱり「古典芸能は敷居が高い」と敬遠されるようなところもあるので、例えば『にほんごであそぼ』などで、小さい子でも分かりやすく説明してあげるような番組に携わったりだとか。例えば父が映画をやれば、そういったことから「この人は狂言をやってる人だよな」、「狂言を観に行きたい」などというような、そういう意味でも、狂言以外の他の活動というのは大事なのかなと思います。
私自身も狂言以外の仕事もさせて頂くこともありますけれど、まずはとにかく狂言が一番上手くなる、根幹というものを、今はしっかり作り上げていく最中でもある、ということですかね。

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茂木:これから、日本の能や狂言のような古典芸能が、世界の中にどう出ていくのか、イメージはありますか?

野村:とにかく、狂言やお能などの言葉を理解するということは、正直、僕でも難しいなと思うところはありますので、普通の方が観ても、やっぱり難しいものは難しいなと感じますけれども。とても分かりやすいものもありますし、そういったものをより分かりやすく解説しながら説明して、その上で演じるというような催しもあったりします。
とにかく、我々自身も普及に力を入れていく必要があるなと思っていますので、そういう分かりやすい普及公演といったものをご覧になって頂いたりとか、色んな演目がある中で、海外の方に喜ばれるような演目をチョイスしているということはありますね。

茂木:例えば、今回のような『ハムレット』をイギリスに持って行くとか…?

野村:ご縁があったら、僕も父も、ある意味、凱旋や聖地に戻る、ということではないですけど、そんなことがあったらとても嬉しいなと思います。古典芸能をやっている人間がやる『ハムレット』というのが、どれだけイギリスでも通用するのかとか、ちょっと気になるところではありますね。

茂木:そこへの熱量を高めるためにも、ぜひ、リスナーの皆さん、世田谷パブリックシアターで3月6日に開演します『ハムレット』にお出かけ頂きたいと思います。
改めて、『ハムレット』をご覧にいらっしゃる方にメッセージがございましたら、お願いします。

野村:先程も申し上げましたが、日本の古典芸能をやっている父、私、それ以外の方々で、やや日本の古典と現代劇の融合ということを考えながら作り上げていく『ハムレット』を、ぜひご覧ください!

茂木:そして、何と言っても、野村萬斎さん、野村裕基さんという父と子の舞台上での共演というのは、贅沢ですよね。

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野村:普段の狂言の公演でも、父の相手をさせて頂くことはあるんですけれども、こういった『ハムレット』で同じ舞台に立てるというのは、本当に類まれな機会なのではないかな、と思っています。

茂木:お父様は、裕基さんのことをライバルだとも見てるんですか?

野村:そんなようなことを言っていたみたいですけども(笑)。本当にそう言って頂けるというのはありがたいですが、私からすると師匠でしかないので、そんな言われても、みたいなところはあります(笑)。

茂木:(笑)。「俺が演ずるハムレットよりも上手いんじゃないか」のようなことを言ってもらえたら嬉しいですね。

野村:そうですね(笑)。それぐらいになれたらいいなと思っています。

──野村裕基さんの夢・挑戦

茂木:野村裕基さんが今後挑戦したいこと・夢、何でしょうか?

野村:大学を卒業して社会人1年目になった自分なんですけれども、今、狂言という道に進もうと決意をしまして、修行に励んでいるところであります。夢と挑戦…本当に、これからも古典芸能以外のことでも、色んな芸術・芸能に触れたり挑戦したりもした上で、狂言というものを改めて見つめ直すことをしていきたいなと思っています。
いずれ、父や祖父のように、お茶の間に知れ渡るような感覚にもなれたらいいのかな、と思いますけれども、まず狂言というものの根幹を、自分の中で揺るぎないものにした上で、皆さんにも発信できるような立場になれたらいいなと思っています。

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世田谷パブリックシアター『ハムレット』

↑舞台「ハムレット」は、3月6日(月)から3月19日(日)まで、
 東京・世田谷パブリックシアターにて上演されます。
 チケットは、来週、1月22日(日)より発売となります。
 詳しくは…世田谷パブリックシアターの公式ホームページでご確認ください!

 そのほか、3月25日(土)には、東京・江戸川公演が、
 そして、3月29日(水)には、大阪・枚方公演もございます。


万作の会 公式ホームページ


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