2023/12/03

自宅で「味噌作り」が簡単にできる!?大事なポイントは「塩をケチらないこと」発酵デザイナーが伝授!

DDP編集部

12月3日(日)の放送では、発酵デザイナーの小倉ヒラクさんをゲストに迎え、発酵食品の簡単な作り方、さらには、全国の珍しい発酵食品について語っていただきました。

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(左から)ホラン千秋、小倉ヒラクさん

仕事を辞めて“発酵”の道へ

まずは小倉さんの肩書きである“発酵デザイナー”についてホランが伺うと、「“発酵”とは、人間に役立つ微生物が働いていくプロセスのことを言います。分かりやすいのは“食べ物”なんですけど、実は他にもいろいろあって。例えば“藍染め”は、微生物の力によって色素が定着しています。そういう人間と微生物が一緒に共生することで何かいいことが起きることを調査して収集し、本にしたり、展覧会に出品したり……ということをしています」と説明します。

現在は発酵学の講師をしたり、下北沢で多くの発酵物を集めた店舗「発酵デパートメント」の運営。さらには、「日本発酵紀行」「オッス!食国 美味しいにっぽん」(ともにKADOKAWA)など発酵にまつわる本を多数出版し、11月には新刊「アジア発酵紀行」(文藝春秋)を発売しました。

そんな小倉さんが発酵に出会ったのは、グラフィックや、映像、建築などに関するデザイナーの仕事をしていた20代の半ば頃。「もともと体が弱くて、20代半ばで体を壊したときに発酵の先生に出会い、そこで『発酵食品を食べろ!』と言われて。それで、半信半疑でお味噌汁やお漬物などの発酵食品を少しずつ毎朝食べるようにしたら、だんだん元気になっていったんです。薬ではないので、食べても一発で(体調が)治るわけではないんですけど、(発酵食品は)体を元気にしてくれるんですよね」と熱弁します。

その後、発酵食品について調べていくうちに微生物に夢中になり、デザインの仕事も酒屋やお味噌汁屋など発酵にまつわるものばかりに。すると、次第に“僕は発酵食品に呼ばれている”と思うようになり、なんと、仕事を辞めて東京農業大学に入学。研究生として微生物について学び「“微生物や発酵に関わることしかしない”と決めて、今に至ります」と語ります。

また、「(地球上で)いろいろな生き物が生きていると有機物が溜まっていきますが、それをきれいにして、土や水に還元してくれる役割が微生物。つまり、微生物がいることで生態系は維持されている」と断言。さらに、人間の体にも微生物は必須で「危ない菌もいるけれど良い菌もいるので、ちゃんと知恵をつけて、うまく付き合っていきましょう」と話します。

自宅でお味噌を作る際のポイント

そんな小倉さんが一番好きな発酵食品は“麹”とのことで、「ヒマなときにお米や麦にカビをつけて、カビを生やした後、甘酒や塩麹を作ったり、お味噌を仕込んだりしています」と明かします。

ここでホランが「お味噌も家で簡単に作れるんですか?」と質問すると、小倉さんは「もちろんです! 大豆を普通の鍋で3時間くらい煮て、その大豆をマッシャーで潰し、スーパーなどで売っている麹と塩を混ぜてお団子状にして、(箱などに)詰めていけばお味噌になります」と答えます。特に冷蔵庫などに入れておく必要もなく、常温で3ヵ月〜半年ほど置くと味噌になるそうです。

ただ、その際の大事なポイントとして、「今は減塩ブームですけど、ビギナーが発酵食品を作るときは“塩をケチらない”ことが大事です。お塩は悪い菌を寄せ付けない働きがあるので、お味噌であれば12〜13%、ぬか漬けだと6〜7%くらいのお塩を入れておくと、悪い菌が入らずに発酵菌だけ働いてくれます」と解説。

また、これは昔から受け継がれてきた先人の教えとのことで、それを聞いたホランは「先人の方々は本当にすごいですよね。いろいろな失敗を重ねたうえで、ベストの方法を残してくれている」と感じ入ると、小倉さんも「僕も大学で改めて勉強したときに思ったんですけど、昔の人が経験則で作ってきた伝統的な食品加工の知恵って、科学的に見ても、ものすごく理屈が通っているんですよね。シンプルだけど、良くできているなと思いました」と語ります。

発酵食品が神様のお供え物に

小倉さんは、各地の発酵文化を学ぶために日本全国を周った経験があるそう。そこでホランが、特に驚いた文化について伺うと「いっぱいあるんですけど、宮崎県・日南市周辺の“むかでのり”というものを見つけたときはびっくりしました」と言います。

これは日南海岸に生えている“トゲキリンサイ”という海草を煮固めて、味噌漬けにした発酵食品のことで、「プルプルで味も変わっているんですけど、すごく特殊なのが、お盆のときに、海で作った“むかでのり”を山の上の集落に持っていって、ご先祖さまにお供えするんですね。なので、日南海岸では距離が近い(海と山の)神様を“むかでのり”という発酵食品がつないでいる。そういう不思議な食べ物なんです」と話していました。


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