9月10日(日)の放送では、美術ライターの浦島茂世(うらしま・もよ)さんをお迎えして、美術館の選び方やこれからの時期にオススメの美術館について紹介していただきました。
(左から)ホラン千秋、浦島茂世さん
まず“美術ライター”という職業について浦島さんに伺うと「“この作品を観たらどんな気持ちになるか”というのを、皆さんにわかりやすく伝えて、美術をより好きになってもらう仕事」と説明。これを受けて、ホランは「(美術作品という)視覚的な情報を文字にするのは大変じゃないですか?」と質問します。
浦島さんは「確かに大変なときもある」と言いつつも、「歴史を踏まえたうえでのアウトプットだったりするので『この時代は、これが流行っていたから、こういう色や形になっているんだよ』って伝えてあげると納得してもらえたり、『これは、あの作家さんの作品に影響を受けたんだよ』って伝えると、その作家さんの絵を観てもらえるようになったり、いろいろなアプローチがあると思います」と語ります。
続いて浦島さんは、お気に入りの美術館の見つけ方についても言及し、「自分が好きなジャンルや作家がいるなら、まずはそれで選べばいいと思いますし、好きな美術館があるなら、(そこで開催されている)知らない作家さんやジャンルの展覧会でも積極的に行ってみるといいと思います。つまり、いろいろな美術館に行ってみて、自分と相性の合う美術館を探すのがオススメです」と言います。
ちなみに、浦島さんお気に入りの美術館は、東京・白金にある「東京都庭園美術館」。そこは朝香宮家の屋敷を美術館に改装したもので、もともとあった調度品とともに数多くの作品が展示されており「暮らしとアートが密接している感じがいい」と語ります。
ここで、アート初心者のホランが「そもそも“美術館をどう楽しめばいいかも分からない”という人はどうすればいいですか?」と素直な思いを口にすると、浦島さんは、「入館料を1,000円も払うとなると“1,000円分の何かを持って帰らなければ”という気持ちになる人が多いと思うんです。そうではなくて、例えば、イチローでも4割は打てないし、すごくいい映画でも、すべてのシーンがすごいわけじゃない。それと同じで、100個ある作品のなかで10個でもお気に入りがあったら大収穫なんですよ」と説明。
これにホランは「確かに! 人には好みもあるから“いくつか楽しめればそれでいい”っていう気軽なスタンスでいいんですね!」と大きくうなずきます。
続けて、浦島さんは「気に入った作品を覚えておいて、後で検索して他にも好きな作品があったら、それを観に行く。なので、まずはお気に入り(の作品やアーティスト)を見つけることが大事。自分の好きな作品に出会えたら大収穫!」と話します。
次に、これからの秋の季節にオススメの美術館を聞いてみると、浦島さんは京都府乙訓郡大山崎町にある「アサヒグループ大山崎山荘美術館」を挙げます。ここは山中にある美術館でとにかく景観が美しいと言い、秋には紅葉も楽しめるため「自然の美しさへの驚きも非常にあるんじゃないかなと思います」とオススメします。
この美術館は、もともとお金持ちの山荘だったものを改装しており、館内には陶芸家の濱田庄司さんや河井寛次郎さんら“用の美(道具は使われてこそ美しいという考え方)”を突き詰めた作品を数多く観ることができます。
さらには、日本が誇る世界的建築家・安藤忠雄さんが設計した別館には、印象派の巨匠クロード・モネの作品も展示されており、浦島さんは「ありとあらゆる美しいものが、美しい自然のなかで見られるのは非常に楽しいです」と絶賛していました。
続いて挙げたのが、東京駅からほど近い「アーティゾン美術館」。この美術館にはさまざまな特徴があり、例えば、大学生までは入館料が無料だったり、館内は写真NGの美術館も多いなか、こちらは一部の作品を除き写真撮影が可能で、これにはホランも「美術館って写真がダメなイメージがあるんですけど、撮ってもいいんですね!」と驚きを隠せない様子でした。