7月2日(日)の放送では、前回に引き続き、「かつお食堂」の店主で鰹節をこよなく愛する“かつおちゃん”こと永松真依(ながまつ・まい)さんが登場。意外と知らない鰹節の種類、さらには印象的な鰹節にまつわるエピソードなども語ってくれました。
ホラン千秋、永松真依さん
日本全国の鰹節職人のもとを巡り、その地域ならではの作り方を見学するほど、鰹節にドハマりした永松さん。そこで得た気付きとして、「鰹節と言っても本当にたくさんの種類がある。しかも、同じ種類でも職人さんによってこだわりも違っていて、例えば鹿児島県には、枕崎市に40数件、指宿市には20数件の鰹節工場がありますが、(鰹節の)あり方も考え方も違うんです」と語ります。
ちなみに現在、永松さんが扱っている鰹節は、約半年間かけて熟成させるなど、昔ながらの手間ひまをかけた工程で作られ、旨味と香りを最大限に引き出したもの。メディアでもこの作り方(の鰹節)が紹介されることが多いそうですが、永松さんの調べでは、手間ひまかけて作られる鰹節は全体の約1.7%しかなく、そうではない作り方が実は大半なのだそう。
ここでホランが、そもそも鰹節にはどんな種類があるのかを聞いてみると、まず通常の作り方として、3枚におろしたカツオを4等分し、煮て骨を抜き、そこに切ったときに余った身をすり込み、火で燻したものと、そこからさらに麹カビ菌をつけて発酵させたもの、計2種類あると永松さん。
スーパーなどで売っているパッケージされた鰹節もこの2種類があるそうですが、商品名・原材料名に“鰹削り節”と書いてあるものが前者、“鰹枯れ節削り節”が後者になります。
ここで、ホランも気になっていたのが味の違い。永松さんによると、一般的にカビがついていないものは魚のパンチが効いているため、例えば、煮物やお味噌汁、お蕎麦などに使われることが多く、カビをつけたほうは、水分が抜けて味わいが凝縮されると同時に香りも際立ち、さらにはカビがカツオのなかの脂肪を分解することから、より澄んだ出汁ができるため、お吸い物などの繊細な料理を作るときに向いているそう。
ただ、やはり最終的には“自分の好みによる”と言い、「好きなように使い分けてもらうのがいい。私なんかは(2種類を)ミックスして使うのが結構好き」とも。
例えば、カビのついていない鰹節でパンチのある出汁をとった後、最後にカビをつけたものを入れて香りを足したりしているそうで「みんなの好きな形で料理できるのが鰹節の魅力なので、いろんな楽しみ方があるのを知ってもらえたらうれしい」と笑顔で語ります。
次に、これまで出会ったなかで最も衝撃を受けた鰹節について聞いてみると、鹿児島県・枕崎市の職人さんが手がけた鰹節を挙げます。その職人の方とは、日本全国を巡っていたときに出会ったそうで、「鰹節の作り方を見に行ったはずなのに、『この子(鰹節)はこういう体質だから…』って、子育ての話を聞いている感覚なんですよ」と永松さん。1度に何百本も管理するなか、それぞれ違う個性に合わせて、1本1本作り方を変えているところに感銘を受けたと言います。
その後、目の前で職人さんが鰹節を割って中身を見せてくれると、その色が輝くようなルビー色だったと永松さん。その職人さんから「カツオは赤身だけど、煮ることで白くなり、火で燻されて、カビを纏うと、最終的にまた赤に戻る。つまり、カツオにとっての第二の人生が鰹節なんだ」との話を聞いて感動したと言います。
「その職人さんの(鰹節への)愛で“鰹節にも命がある”ということを知りました。大事なことを常に心に置いておくというか、商売に走るのではなくて、愛をちゃんと伝えていかなければならない、ということを教えてもらいました」と話していました。