2023/05/14

情報収集のために「共同浴場」へ!? 温泉エッセイストが語る“旅の楽しみ方”とは?

DDP編集部

5月14日(日)の放送では、世界32ヵ国、1,000箇所以上の温泉を巡ってきた温泉エッセイストで、跡見学園女子大学兼任講師として「観光温泉学」を教えている旅行ジャーナリストの山崎まゆみさんに、温泉の選び方、さらには全国の絶品温泉ごはんについて語っていただきました。

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(左から)ホラン千秋、山崎まゆみさん

プロが語る、温泉を選ぶポイントは?

山崎さんが温泉と関わるようになったのは約25年前。当初は“混浴”を巡る仕事からスタートし、その後“世界の人と温泉をともにしてみたい”と海外に飛び出し、現在までに32ヵ国の温泉に足を運んだそう。そして今年4月には、これまでの活動をまとめた著書「温泉ごはん 旅はおいしい!」(河出文庫)を出版。そこでは数多くの名湯とともに、温泉にまつわるさまざまなグルメが紹介されています。

そんな山崎さんに、まずは“訪れる温泉を決めるうえでの基準”について伺ってみると「私の旅は“人に会いに行く旅”だったりするので、(宿の)ご主人や女将、スタッフの方、温泉地の方々に会いに行くこと。それに加えて、やはり温泉も季節によって同じ状態でお湯が注がれることは決してなくて、食も全然違うので季節で選びますね」と語ります。

そこで、これからの初夏に行くべき場所として“山菜がおいしい温泉地”をピックアップしてくれました。まず1つは、本のなかにも登場する新潟県の「越後湯沢湯元 卵の湯 雪国の宿 高半」です。そこで2年前に食べた“ふきのとうのポタージュ”がとにかく絶品だったと言い、「苦味と渋みとさまざまな春の香りが体中を吹き抜けて、この雪国にも“春がやってきたんだな”と思えるような逸品でした。あまりにもおいしくて取材にならなかった(苦笑)」と絶賛します。

そしてもう1つは、群馬県の「たんげ温泉 美郷館」。ここは、エントランスから室内まで名木が贅沢に使われ、まるで旅館自体が木の美術館のようだとか。そして、館内はとても新鮮な空気にあふれており、「この季節は緑がかかった風が吹き抜ける感じもあって、空気が浄化されていく感じもする旅館です」と解説します。

また、ここでは天ぷらをはじめ、煮付け、煮浸しまで、さまざまな新鮮な山菜料理が味わえるそうで、「拙い言葉で言うと、すべての味が濃厚です。スーパーなどで買ったものとは全然違います!」とオススメします。

旅先でコミュニケーションを取る方法

いろんな温泉宿を巡ったなかで、山崎さんが“忘れられない料理”として挙げたのは、著書「温泉ごはん 旅はおいしい!」の表紙にもなっている静岡県・熱川温泉「熱川プリンスホテル」の「金目鯛の煮付け(金目鯛の漁師煮)」。

食事の際、金目鯛が獲れる地元・稲取出身の女性と卓を囲みながら、稲取の金目鯛ブランドの話や地元の方の食べ方など、その土地の食にまつわる話を伺いながら食べることができたと言い、「地元の方に食べ方を教えていただきながら食べるのと、それを知らずに食べるのとでは全然違う。それがすごく心に残っていて、今回、金目鯛の煮付け(金目鯛の漁師煮)を表紙にさせていただきました」と思い出を語ります。

この話にホランは深く感心する一方で「地元の方々とコミュニケーションを取りたいけど、恥ずかしくてなかなか声がかけられない、誰に声をかけていいのかわからないという人もいると思いますが、やはり地元の方々と人間関係を築いたほうが楽しめるものですか?」と質問。

これに山崎さんは「私はその土地のことをもっと知りたい派ですね。その土地の方々が普段から食べているものの背景を知ったり、その土地ならではの味に出会えると、旅に深みが出てくると思うんです。そのために、その土地の方々に会いたくて旅をしているんだろうなと思います」と答えます。

そこで、地元の方々とコミュニケーションを取る方法を聞いてみると、山崎さんから出た提案は、なんと「共同浴場に行く」。そこには地元の方々が数多く訪れ、特に夕方や夕食後は混み合うため、その時間に行って(自分が)観光客だと分かると、結構な確率で話しかけてくれるそう。

そこでガイドブックには載っていない情報を仕入れて、翌日のスケジュールに組み込んでいると明かします。

また、旅館にあるライブラリーも有効で、そこにある郷土史などを読むと、その土地を深く知ることができ、「(街の)歩き方が変わり、見方も変わるし、食の選び方も変わる」と言います。

今回、山崎さんから奥深い旅の楽しみ方を教えてもらったホランは「もっといろいろなことを話したい、ますます興味が大きくなりました!」と笑顔をのぞかせていました。


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