4月2日(日)の放送では、日本の全1,741市町村をスーパーカブで巡った、“かつお”こと写真家の仁科勝介(にしな・かつすけ)さんをゲストに迎えて、各地の魅力あふれる町や村について語っていただきました。
(左から)仁科勝介さん、ホラン千秋
仁科さんは、大学在学中に1年間休学してHondaのバイク「スーパーカブ」に乗り、なんと日本の全1,741市町村を制覇! そのときに撮影した写真をまとめた写真集「ふるさとの手帖 あなたの『ふるさと』のこと、少しだけ知ってます」(KADOKAWA)を2020年8月に出版しました。
そもそも全国を巡り始めたきっかけは、大学1年生の夏休みにヒッチハイクで九州を1周したこと。「今まで学校などで日本のことを勉強してきたつもりだったけど、知らない景色が次々に現れて、日本各地のことを全然知らないのを痛感して。“日本のことをもっと知りたい!”と思った結果、壮大な旅になっていきました」と振り返ります。
写真に関しては、「中学校を卒業するくらいから撮っていたんですけど、旅をすると写真も撮りたくなって。ずっと撮りながら(各地を)巡っていました」と言います。
写真集には、全国を巡ったときに撮影した約1,800枚にも及ぶ写真が収録されており、写真の選別については「すごく大変でしたけど、日本のどの街にも絶景があり、いろんな暮らしがあり、どんな場所にも“ふるさと”があると(日本を巡って)感じて、それを1冊にまとめられたらいいなと思っていたので、形にできたのはすごくうれしかったです」と笑顔を見せます。
「大きく2回に分けて(全国を)巡ったんですけど、実家にはちょっとだけ帰ったり、帰らなかったりで、ずっと旅をしっぱなしでした(笑)」と仁科さん。2018年3月に旅を始め、すべて巡り終えたのが2020年1月。約1年10ヵ月にも及ぶ旅だったそうですが、幸運なことにコロナ禍になる前に旅を終え、「(旅を終えた)翌月には、今のような情勢にどんどん変わっていったので、自分でも(幸運さに)ビックリしました」振り返ります。
ここで、ホランが「スーパーカブで巡るのって大変じゃなかったですか?」と尋ねると、そこにもこだわりがあったと言います。「いろいろな手段があると思うんですけど、自分がやりたいのは“市町村を巡ること”なので、電車だと線路が通っていないところもあるし、小さな村もあるため、小回りの効くバイクのほうがいいかなと考えてスーパーカブにしました」と語ります。
バイクでの移動で気になるのは旅の持ち物。ホランが「最終的にあれば良いなと思った荷物は何ですか?」と質問すると、仁科さんが「最低限の服とカメラ」という回答に、「そこまで削ぎ落とせましたか!」とホランもビックリ。
宿泊に関しては、できる限り節約。ネットカフェやゲストハウスを利用したり、ときには友達や知り合いの家に泊めてもらったこともあったと言います。また資金はアルバイトで捻出。「大学1年生の終わりには“この旅がしたい”と考え始めて、大学2〜3年生で単位を取って、後はずっとバイトに明け暮れていました」と明かします。
そうして日本を巡った後は、「知れば知るほど、自分が何も知らないことに気づかされつつも、そのうえで“すべてを知ることもできないんだな”ということも感じました。自分が出会う景色や土地、そのなかで自分が出会った関係性、ご縁を大事にすることが、当たり前のことだけど大事なんだなと。そうした原点を旅のなかで感じました」と振り返ります。
ここでホランが、全1,741市町村を巡ってきたなかで、印象に残った場所を聞いてみると「素晴らしいのは全部なんですけど……」と悩みつつ、個人的に好きだった景色として、写真集「ふるさとの手帖」で沖縄県の表紙にもなっている伊平屋島(いへやじま)を挙げます。
写真には真っ白な砂浜と青い海が広がっていますが、実はそこまで有名なビーチではないそうで、「ちょっと離れたところにあるビーチなんですけど、波の音以外は何も聞こえないような本当に静かなところ。静寂のなかに自分がいるような印象が今でも強烈に残っています。もう1回は行きたいです」と話します。
また、日本の都道府県のなかでは“長野県”が最も好きだそうで、「海がない内陸地なんですけど、長野県には77もの市町村があって、小さな村もすごく多くて、日本の縮図というか、大きな街も、大自然も、ひと通りのものがギュッと詰まっている場所だと感じました」と熱弁。
ごひいきでもある長野県の写真を見せてもらうと、「青や緑、いろいろな色がありますね〜。同じ緑でも、深い緑があれば若葉の緑も。本当に美しい!」と感動するホラン。ほかにも素敵な写真ばかりで、「1枚1枚じっくり見てみたいと思う趣のある写真ばかりで、この1枚1枚に人の生活があるんだなっていうのを感じられる写真集ですね」と感想を述べていました。