6月26日(日)の放送では、カピバラ写真家の渡辺克仁(わたなべ・かつひと)さんをゲストに迎え、カピバラの魅力についてたっぷりと語っていただきました。
(左から)ホラン千秋、渡辺克仁さん
渡辺さんは、長きに渡りカピバラの写真を撮り続け、これまでに写真集やポストカード、カレンダーなど多くの作品を発表してきました。そんな渡辺さんがカピバラに魅了されたきっかけは、16年前に北海道旭川市にある「旭山動物園」を訪れたときだと言います。
当時、カピバラはそれほど有名ではなかったのですが、ひと目見た瞬間に「この動物は一体なんだろう?」と興味をそそられ、それからカピバラにまつわる本を探して読み漁ったり、飼育員にカピバラについて聞くなど自らの手足で調べているうちに情報が集まったことから、“カピバラに関するサイト(「カピバラ大好き」)を作ろう”と思い立ち、写真を撮り始めます。しかし、当初は「全然うまく撮れなかった」と振り返ります。
「最初の頃は、“カメラでうまく撮れない”“カピバラにまつわる情報が思うように集まらない”。この2つの“できない”を何とか克服してやろうという気になり、ズブズブと(カピバラ沼に)ハマっていきました(笑)」と話します。
もともとハマりやすいタイプという渡辺さんは、カピバラと出会う2006年までは、1年のうち360日ぐらいパチンコを打つほどのパチンカーでした。しかし、カピバラとのひょんな出会いがきっかけで生活は激変! カピバラを撮るために全国の動物園を巡り、訪れた先でカピバラのグッズがあるとつい買ってしまうほどのコレクターになり、「パチンコにハマっていたときよりもお金を使っているかも(笑)」と自虐的に笑います。
カピバラというと、お風呂に入っている場面をイメージする人もいるかもしれません。「そもそも野生のカピバラは、水を飲むために水辺の近くに住んでいるのと、暑い南米にいるので、肌が直射日光に弱くて水に入る動物なんです」と渡辺さん。つまり、日本の動物園にいるカピバラは、夏場は暑いため水場に入りますが、冬場は寒くてあまり水に入らないことからお風呂に入るようになったとか。
またそれは、静岡県の「伊豆シャボテン動物公園」が1982年にカピバラ露天風呂を始めたのが元祖と言われています。事の発端は、当時は冬場で寒かったため飼育員がお湯を使ってカピバラの放飼場を掃除していたところ、溜めたお湯にカピバラが気持ち良さそうにお尻をつけていたのを発見して“(お風呂のように)お湯を溜めたら入るんじゃないか”という発想から始まったそう。
それでも当時は人気が全然なかったものの、最初のカピバラブームとなった2008年頃。ちょうど子年(ねずみどし)ということもあり、テレビ番組でカピバラが気持ちよさそうにお風呂に入っている様子が放送されたことがきっかけで人気に火が付き、カピバラを飼育しているほかの動物園も伊豆シャボテン動物公園をまねて、お風呂を設置するようになっていったそうです。
現在、日本でカピバラを見ることができる動物園や水族館は「大体120ヵ所ぐらい」と渡辺さん。16年前は約30ヵ所でしたが、カピバラブームも相まって今ではおよそ4倍となり「まだ行けてないところが5ヵ所ぐらいある」と言います。
そんな数ある動物園や水族館のなかでも、渡辺さんが最も通っているのは、長崎県西海市にある「長崎バイオパーク」。渡辺さんいわく、ここは“カピバラの聖地”と呼ばれており、「カピバラを飼っている放飼場が、自然豊かで山のなかみたいなんです。そこに、我々お客さんがおじゃまする感覚。13頭のカピバラが飼育されていて、触れあいやエサやり体験もできる」と魅力を語ります。
ここでホランが、「カピバラの写真を撮るときに、どのようにすればかわいく撮ることができますか?」と質問すると、渡辺さんは「まず目線に注目していただきたい。カピバラの目線をピッタリ(カメラ目線に)合わせるか、はっきりズラすか、というポイントがけっこう重要。(どっちつかずで)中途半端な写真はかわいくない」と語ります。
また、もう1つ大切なのは“目線の高さ”。ピッタリ合わせるとフレンドリーな感じでかわいく撮れると渡辺さん。そして、「目線よりも上で撮ると、おねだりしているような顔になり、逆に下からあおって撮ると巨大に写るので、ちょっと面白い写真というか、迫力のある写真になる。“目線の向き”と“目線の高さ”という2つのアングルを変えるだけで、同じ動物でも(撮った写真の)見え方が全然違う」と力説していました。