2022/03/27

人間だけじゃない! 「シジュウカラ」の鳴き声にも“方言”があるって本当!?

DDP編集部

3月27日(日)の放送では前回に引き続き、京都大学 白眉センター特定助教の鈴木俊貴(すずき・としたか)さんをゲストに迎え、シジュウカラの言葉の世界についてたっぷりと語っていただきました。

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(左から)鈴木俊貴さん、ホラン千秋

違う動物間でも鳴き声を理解している?

前回の放送では、シジュウカラが20個ぐらいの単語を自由自在に組み合わせて、200以上の言葉を使っているのではないか、という自身の研究のことや、シジュウカラの習性について、さらには実際に鳴き声の聴き比べをお届けしました。

今回もシジュウカラの鳴き声を聴きながら、それがどんなことを意味しているのかを鈴木さんに解説してもらうことに。天敵を見つけたとき“仲間に危険を知らせるときの鳴き声”を聴いてみると、その天敵がヘビなのか鷹なのかで鳴き声が異なることにホランは驚きが隠せません。

鈴木さんによると、シジュウカラをはじめ“動物に言葉がある”と考えている研究者はこれまで少なく、名詞や文法が存在するという証明もなかったものの、「最近になって、シジュウカラには単語や文法があるということが分かってきた」と言います。

そして、それはシジュウカラだけでなく「周りに暮らしているほかの動物、例えば小鳥やリスなどもシジュウカラの声に耳を傾けていて、ちゃんと鳴き声の意味を学習して理解できるんです」と驚きの発言も。

また、「シジュウカラ以外の鳥でも鳴き声に意味を持っている鳥もいますが、とりわけシジュウカラは、鳥のなかでもすごくおしゃべりなため、シジュウカラに頼っている動物もいる」と話します。

リスは群れを作らず1匹で暮らすので、天敵に気づかないこともあります。そのため、「リスはシジュウカラを追いかけて、シジュウカラの鳴き声に聞き耳を立てながらエサを探す。そうすると、シジュウカラが『鷹が来た!』と鳴けば、リスも逃げることができるし、『ヘビが来た!』と鳴けば、警戒することができる。全然違う動物間でも、ちゃんと鳴き声や言葉の利用がある」と説明します。

シジュウカラの鳴き声には“方言”も存在する?

全国各地を巡って研究を進めていくと、同じシジュウカラでも、北海道、東京、長野など、生息する地域によって「声が違うし、方言がある」と鈴木さん。というのも、街が賑やかな東京では、鳴き声が騒音にかき消されないように高い声で鳴くなど、自分が生息している場所の騒音環境や周りにどんな鳥が存在しているのかなどによって鳴き声が変わるため、“方言ができる”という側面があるそう。

さらには、「シジュウカラの周りで暮らしている鳥たちも、ちゃんとシジュウカラの言葉を理解できるし、シジュウカラも周りの鳥たちの鳴き声を理解して生きていることが分かってきた」という面白い発見も。

また、この日はシジュウカラだけでなく、ヤマガラやエナガ、コガラといった鳥の鳴き声の聴き比べも。鳥の種類によって鳴き声が異なるはずなのに、「(天敵の)鷹を示す声だけ、実は似ている」と鈴木さん。

というのも、「鷹には聴き取りにくい声の高さがあって、それは大体7kH〜8kHzぐらいの周波数の高さなんです。その周波数の高さで鳴くと、鷹には聴き取りにくいけど、周りに住んでいる小鳥たちには聴こえる。だからみんな鷹が来たときには、それぐらいの高い声で鳴くんです」と説明します。

シジュウカラのさえずり、鳴き声を聴いたホランは「(シジュウカラは)日本全国に生息しているので、ぜひみなさんもドライブがてらでもいいですし、おうちの窓を開けてでもいいですし、朝起きて“仕事に行きたくないな……”って思いながら目覚まし時計を止めるよりも、シジュウカラの爽やかな鳴き声に耳を澄ませて、心をデトックスしてみるのもいいかもしれない」と感想を口にします。

最後に鈴木さんは、「(シジュウカラの)鳴き声の意味が1つでも分かるだけで“彼らの世界への扉が開かれる”という感覚があると思うので、ぜひ今回ご紹介した鳴き声を覚えて、外に出てみたら面白いと思います!」とアピールしました。

この日紹介したシジュウカラの鳴き声は、「radikoタイムフリー」で聴くことができますので、ぜひチェックしてみてください(※聴取期限:2022年4月4日(月) AM 4:59 まで)。

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