2021/11/14

「怒涛のように香り、甘み、粘り気が…」ライスソムリエが一番衝撃を受けた“お米”とは?

DDP編集部

11月14日(日)の放送では、米・食味鑑定士でライスソムリエの村上誠治さんをゲストに迎え、全国のおいしいお米について語っていただきました。

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(左から)村上誠治さん、ホラン千秋

お米を味わうときに重要なのは「鼻」

村上さんは、“米・食味鑑定士”としてさまざまなブランドのお米の品評や生産者を評価する、いわばお米のエキスパートです。そして、実際にお米の鑑定をするとき「一番重要なのは“鼻”」と言います。というのも、お米を飲み込むときに“鼻に抜ける香り”が重要で、「みなさんは普段あまり気にしていないので、その香りを“おいしい”とひと括りにしてしまう。ですが、(お米によって)その鼻に抜ける香りが違うので、できるだけ感じるようにトライしている」と話します。

農林水産省のデータによると、国に登録されている2020(令和2)年産のお米の品種は約500種で、そのうち食卓で食べる食用米は、250〜280種ぐらいあると言われています。ただし、スーパーなどで目にする米は、「登録はしていてもそこまで多く生産されていないとか、流通の問題もあるので、メジャーな品種としては30種類ぐらい。そのなかでも、10種類ぐらいが全体の7割ぐらいを占めている」と解説します。

お米のエキスパートが選ぶベスト3

この日は、村上さんが好きなお米・ベスト3も教えていただきました。

第3位は、高知県の「にこまる(香り米入り)」。村上さんによると、もともと“にこまる”は九州で作られた比較的新しいお米で、粘り気があって冷めてもおいしいので、おにぎりやお弁当にも最適だそう。また、「四万十川流域のすごくおいしい水と寒暖差の激しい山間部で育てられたお米なので、甘みがすごく乗るんです。粘り気がありつつ、甘さがある」とその味わいを評価。

また、「香り米をブレンドしてあるので、鼻に抜けるときに香りをキャッチすると、それが癖になって、また食べたくなる。その常習性がたまらないお米」と絶賛します。

第2位は、岩手県の阿部自然農園で作られている「ササシグレ」。これは、ササニシキの親にあたる品種で、「全国の作付面積が1%未満しかないササニシキの親になるので、さらに作っている人が少ない」と希少性を説明。

生産者である阿部さんは、そんなササシグレを「農薬をまったく使わず、完全に手作業で作られたお米。とても手間暇がかかっているササシグレは、ほとんど流通しない“幻のお米”。このお米の香りを嗅いだら、やみつきになる。味はさっぱりしていて香ばしい。食べていくと甘みとともに、また違う香りが鼻の奥で感じられる」と熱く語ります。

そして、村上さんが第1位に選んだお米は、山形県の遠藤五一さんが作っている「コシヒカリ」。これは、「米・食味分析鑑定コンクール」で4年連続で金賞を受賞している言わずと知れたお米で、「これを食べたときは衝撃を受けた」と言います。

村上さんいわく、このお米を食べた瞬間に“無”の状態になったそうで、「“甘さ”“粘り”“香り”“艶”などが、米・食味鑑定士協会で定められている評価の方法なんですが、遠藤さんのお米を食べたとき、正直に言うと“これが日本一のお米なの?”って思ったんですよ。しかし、よく噛んで食べていくと、怒涛のように香り、甘み、粘り気が出てきたんです!」と興奮気味に語ります。

なぜこうした怒涛の後味が生じるのかというと、「お米のそもそものバランスがきちんと取れているから。“甘さが飛び出ている”“香りが出ている”という特徴を感じさせないぐらいバランスがよかった」と言い、「よく噛んでいくと、甘みが舌の上で上品に感じられる。かつ、鼻の奥の香りがロングトーンで感じられる。まさに芸術でした」と、その味わいを振り返りました。

村上さんのベスト3を聞いたホランは、「“(そのお米を)食べてみたい”っていう気持ちになっちゃっています(笑)! 来週は、お米のおいしい炊き方や実際に炊いたお米をいただいて、ラジオの前のみなさんに(その味わいを)一生懸命お伝えしたい」と意気込んでいました。


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