人との付き合い方にも変化が
山脇りこ(料理家・文筆家)×わたなべぽん(漫画家)
2023
10.13
人見知りを克服するには?
- わたなべ
- 今回、書かせていただいた本は、「人見知りの自分を許せたら生きるのが楽になりました」という長いタイトルですが、ずっと人見知りで、お友達も少なくて、人付き合いが下手だったんです。夫がたまたま社員旅行に行くきっかけで、私もどこかへ出かけてみたらと言われたので、小林聡美さんが主演の映画「めがね」で観た与論島の風景がすごく印象的で、憧れがずっとあって、ただ夫は全然が興味がなさそうだったので、一緒に行こうと言えずにいたんですけど、せっかくだからと思って与論島に行ったんです。子供みたいに海で散々遊んで真っ黒になり、島の人が作ってくれるカレーをお昼に食べて、子供の夏休みみたいに過ごしたら、自然に友達になりたいと思った人ができたんです。でも、引っ込み思案だし、人見知りだし、連絡先を教えてとなかなか言えなく、悔しい思いをしてその日は帰ったんですけど、偶然またその人と再会することがあって、もうこれは言わねばと思って、聞いたら、実は住んでいるところもすごく近くで、東京でも一緒にお酒を飲みに行ったりできるね、なんていう話をして、その後、その友達がお友達を紹介してくれたりし、徐々に自分が開いていくことで、ご近所にもお友達ができました。
- 山脇
- いいですよね。
- わたなべ
- そうやって、お友達が増えて、みんなでバーベキューしようとか言って、今現在の住まいとその周りがすごく心地良い感じです。
- 山脇
- 私もこの本を読んで、全部私のことだと思うぐらいでした。道端で知り合いを見つけたら違う道に逃げる、これわかります!
- わたなべ
- 知り合いが嫌いなわけではないんです。心の準備ができていなくて、何気ない世間話ができないんですよ。
- 山脇
- わかります。本当に人見知りだと気づかれるのが怖くて、やたら明るく接するとか、居酒屋で隣のおじさんに嫌なこと言われてもニコニコ対応するのもわかるし、あと沈黙が怖くてずっと喋り続けるのは私の中でもあるんです。
- わたなべ
- 人見知りは、何種類かあると思っていて、本当に閉ざしてしまって、喋れなくなる人もいれば、もう人見知りだとばれると、相手に気を遣わせてしまうから緊張していないとアピールしがちなタイプで謎のサービス精神でもてなしてしまう。そのときはいいんですけど、帰るときに何で私はあんなにテンション上げて喋ってしまったんだ。絶対変な人だと思われたとかちょっとへこむんですよ。
- 山脇
- もうトイレで既にへこむこともあります。
- わたなべ
- 1人反省会が始まってしまうんですよね。寝る前になんで調子に乗って、あんなこと言ったんだろうと、そう思うと、もうその人に次会えなくなって、人間関係がうまく構築できず続かないことがあったりします。でも、結局、身も蓋もない言い方になってしまうんですけど、自分の人見知りがちょっと和らいできて思うのが、やっぱり慣れだと思って。人見知りの人は、人見知りがゆえに人を避けて生きているので、直すきっかけがつかみづらい。でも、人と会う機会を作り、そういう方向に自分を出していこうと行動し続けると、慣れも手伝って人見知りな自分が解消されていく感じがありました。
夫はマブダチ
- 山脇
- この本の中で私がすごく印象的だったのが、苦手な相手やどうしても付き合うのが難しい人に対して頑張らなくていいところ。それはすごく大事かなと最近、私はすごく思う。
- わたなべ
- 苦手な人を苦手と思ってしまうのが怖かったんですよ。必死にいいところを探そうとしたり、もしかしたら私の方が駄目なんじゃないかと思ったり、どうにかうまく付き合っていこうと思っていたんですけど、今になって、そんなに無理することもないな、別に嫌う必要はないけど、一緒にいる必要もないので、ちょっと距離をおこうとか、そういうことができるようになってきたので、楽になってきました。
- 山脇
- そうですね。そういう意味で言うと付き合い方というか、自分の中でのよき人間関係のイメージがちょっと変わってきた。
- わたなべ
- 若い頃は、何でも言い合えて、お互い歯に衣着せぬ感じで、何でも話し合えるのが親友や友達のイメージがあったんですけど、私は、そういう関係が苦手な部分もあって、こっちから言えないし、言われるとちょっと傷つくし、みたいな感じで。私には親友ができないんだろうか、作れないのだろうかと思っていたんですけど、だんだん大人になって、そんなズケズケ言われることも言うことも減ってきたのもあるし、言わないことがあるのが友達だったり、聞かないでおくのも友達のあり方だと思うので、その辺の距離感がだいぶ若いときよりも、今の友達との距離感の方が気楽だし、その分もしかしたら浅くなったのかもしれないですけど、ただその浅いのも若い頃とは意味合いが違うなと思って、すごく親切にもするし、楽しく過ごすけど、踏み込まない場所がちゃんとしっかりある。
- 山脇
- ぽんさんも旦那さんが親友って感じじゃないですか?私はすごいそうなんですけど、それもちょっとあるかもしれないですね。
- わたなべ
- 恋人とか夫というよりかは、一緒に暮らしている友達みたいな感じがあって。
- 山脇
- うちもそんな感じで、いろんな話もできて、結果的に私のことは何でもよく知っているわけだし。すごく楽チン。
- わたなべ
- うちも本当にすごいそんな感じで、もはや夫というよりも本当にマブダチな感じです。
わたなべぽんさんの最新刊「人見知りの自分を許せたら生きるのがラクになりました」は、KADOKAWAから発売されています。