共通点は、ビビりなところ
山脇りこ(料理家・文筆家)×わたなべぽん(漫画家)
2023
09.29
山脇さんは、日本旅館に生まれ、これまで、イタリア、アメリカ、タイなど各地で料理を学んできました。その後、代官山で料理教室をスタート。現在は、テレビや雑誌など様々なメディアで、つくりやすく親しみやすいレシピを発信されています。一方、暮らしや心の中をテーマにしたコミックエッセイやルポマンガなどを描いているわたなべさん。ご自身のダイエット経験を綿密かつ面白く描いたシリーズや『やめてみた。』シリーズなどの売り上げが累計100万部を超える人気を誇ります。
出会いのきっかけは、雑誌の企画
- 山脇
- こんにちは。よろしくお願いします。
- わたなべ
- よろしくお願いいたします。
- 山脇
- リアルでお会いするのは初めてですけど、一緒にお仕事させていただいたのが「レタスクラブ」さんの記事で、私のことも描いていただいて。
- わたなべ
- 今回、私が出版した本が、人見知りに関係する本で、それを描き終えるかどうかぐらいに、「その本が、1人旅から始まるけど、1人旅の本ですごい面白いのがあるから読んでみない」と言われて手渡された本が、りこさんの本だったんですよ。
- 山脇
- ありがとうございます。多分、共通の知り合いの編集者さんが、
- わたなべ
- そうなんです。そんな本のきっかけもあって、「レタスクラブ」さんで山脇りこさんの今回の本「50歳からのごきげんひとり旅」の特集ページが組まれたんですけど、その中で私の漫画で、自分との共通点とか、ここが面白かったとかを描かかせていただいたんです。
- 山脇
- ありがとうございます。素敵なエピソードを拾っていただいて、私の写真を見て描いていただいたのですか?
- わたなべ
- そうですね。とてもかわいらしい人だと思って。
- 山脇
- ありがとうございます。漫画に描いていただけるなんてなかなかないので、すごい喜んで飾っています。取り上げていただいたエピソードが飛騨高山の「トラン・ブルー」というパン屋さんのシュトーレンを20年くらい取り寄せしているんですけど、それにもかかわらず、行ったことがなくて、そのパン屋さんだけを目的に、飛騨高山に行ったときに、せっかくそのパン屋さんに入って、多分あの人が私がずっとやり取りをしているマダムだなという方がいらしたのに、話しかけることができなかったんです。「いいんだ。それでいいのだ」と思いながら、パンはいっぱい買って、何も言わずに帰ってきたことを本の中で書いているんですけど、それを、わかるみたいな感じで描いていただいて。
- わたなべ
- すごくわかります。
- 山脇
- 言ってしまえば相手の方も喜んでくださるかもしれないんですけど、なかなか言えなくてね。でも私の場合は結局この本が出て、「トラン・ブルー」のマダムには本をお送りしたんです。そしたら、「来たとき言ってくれれば」と、後でおっしゃっていただきました。本の中でもすごいビビリだっていつも書いているんですけど、そういう共通点みたいのがあるのかなと私もぽんさんの本を読んで思ったりしていました。
料理の道に進んだきっかけは、母親の存在
- 山脇
- うちは、修学旅行でも泊まるような結構大きな箱の観光旅館で、板前さんが住み込みでいて、私は彼の動向を見ているのが大好きで子供のときからずっと板場に張り付いて、母にも「あの仕事をやりたい」と言っていたんですけど、「何を言っちゃってんの。普通に学校に行ってちょうだい」みたいな感じで。でも、お料理がすごい好きで30代後半になってからこのままいくと、本当に好きなことをやらずに終わるという40歳前の危機感みたいのがあって、そのときに料理の学校に通い始めたりして、ただ自分がやりたい料理は、板前さんの料理ではなくて、母がすごい料理上手だったので、母が作っていたような料理を伝えたいと思って、やるなら家庭料理と思い、最初は教室から始めました。7人の教室を3回とか4回、合計25名くらいで始めたら、皆さんがブログとかに書いてくださって、少しずつ教室に来る方が集まっていって、そこにたまたま、最初の本に繋がる料理の編集歴何年みたいな方が本にできるかもしれないとおっしゃって、でも最初は詐欺かなと思ったぐらい。ブログも人気なかったし、教室もすごく地味にやっていたから。だから、人生の記念の1冊ぐらいな感じで、こんなに続くとは思っていなくて。うちの家族では、母は、”鶴の恩返し“と言われるくらい、ずっと台所にこもっているような人だったんで、その影響が一番大きいかなと思います。毎朝、出汁をひいていたり、旅館としても梅干しを100キロとか漬けるんですけど、それを仲居さんとかみんなで屋根に干したりして、それとは別に母は母で、梅干しをつけていたりしていました。母も板前さんに習ったりしながら自分なりの料理をずっとやっていて、あと誕生日にも必ず小学校の友達を呼んで母が料理をして、クリームシチューとか作ってくれたりして、家で食べることの楽しさを日々体現している人だったんで、それがすごいいいなと思っていて、実は「りこ」という名前もペンネームですけど、母の名前なんです。手間を惜しまないところもあって、最近、皆さんのニーズで、簡単な料理とかが多いので、私がそういう本を出していると、母としてはふーんみたいな感じがちょっとあるんです。母は、いわゆる和食の家庭料理を作っていたんですけど、案外、フルーツと野菜を組み合わせたり、モダンなこともやる人だったんで、組み合わせに制限がないというか、私自身、自分のは、そういう料理だと思っているので、いろんな組み合わせの楽しみ方のスピリッツみたいの母から学んだかな。
- わたなべ
- おしゃれな感じがします。
- 山脇
- おしゃれなのもあるんですけど、この前、たくわんを千切りにして、ゴマと紫蘇とあえて、それを卵焼きの中に混ぜ込んで焼いていて、なるほどと思った。そういう意味ではすごい影響受けていると思います。
山脇りこさんの『50歳からのごきげんひとり旅』は、大和書房より発売中です。