週末はアクティブに!
行方ひさこ(ブランディングディレクター)×生江史伸(シェフ)
2023
06.30
人間の成熟度が試されるスポーツ
- 行方
- お休みの日は何をしていますか?
- 生江
- お休み日はできるだけ海と近い距離にいようと思って、今はあまりポピュラーなスポーツではないんですけれども簡単に言うと息を止めて、一息でどれだけ潜るかというフリーダイビングに凝っています。僕、今年50歳になったんですよ。この年から新しいスポーツを始めるのは結構大変ですが、素潜りで有名なジャック・マイヨールという人がいるんですけど、ご存知ですか?
- 行方
- もちろんです。
- 生江
- 映画「グランブルー」の。
- 行方
- リュック・ベッソンの。
- 生江
- その主人公になった彼が、人間が到達できなかった100m超えをしたのが49歳の時なんですよね。それを聞いた瞬間に、50歳でもいけるなと思って、素潜りをやっています。まさに年齢には関係ないスポーツだと思って、逆に年齢が高い人たちの方が、
- 行方
- 自分の扱いがうまくなっているのか。
- 生江
- そういうこと。結構、精神的なものを整えたり、自分がしなければいけない判断を正しくしたりするのは人間としての成熟度が必要で、そういう意味では、何か競技というと、目指すものがあるじゃないですか。例えば100mを何秒以内に走りたいとか、山を登るのであれば何mの山を登りたいとか、もちろんフリーダイビングもそういう意味では、何mまで潜りたいというのはあるけれども、それ以上に自分との対話が必要。僕は葉山を中心に海に遊んでもらっているんですけど、葉山は東京から一番近い距離の潜れるポイントがある場所なので、東京から日帰りでも来られるし、そういう意味では、アクセスのしやすい場所で無理なく海に遊んでもらっているのが週末ですかね。それがきっかけにいろいろ離島を回っています。日本にはいろんな島があるので、できれば日本の島と言われる少なからず人が住んでいる島は、足ヒレを持って全制覇してみたい。週末は、どうしていますか?
- 行方
- 私は暇さえあればどこかにすぐ行っちゃうかな。
- 生江
- 車を運転するのも好きだっていう話は聞いたことある。
- 行方
- 車の運転も好きだし、ただ最近は自分の車を運転するよりもレンタカーを運転している時の方が長い。今週末も熊本でいろいろ見た後に3時間かけて鹿児島まで車で1人で行って、作家さんのところに寄って帰る。
- 生江
- 今まで週末ドライブした中で一番気持ちがいいドライブラインは?
- 行方
- 新緑の季節だと本当にうっとりしながら運転している。丹波篠山はすごく綺麗。いつも伊丹空港まで飛行機で行って、そこからレンタカーをして高速で丹波に行くけど、作家さんのところに行ったり、知り合いの農家さんのところに行ったり。
- 生江
- ついつい僕は食べ物が気になるんですけど美味しい食べ物は?
- 行方
- お蕎麦。私はどこに出張に行っても必ず美味しいお蕎麦屋さんを探して片道1時間だったら行きます。丹波篠山にはコースでしかないんですけど「ろあん松田」というかなり奥の方にあるお蕎麦屋さんがすごく美味しいし、その他にももちろん4〜5軒、美味しいところがあります。
- 生江
- それリストを今度、作ってもらいましょう。
- 行方
- 「岩茶房丹波ことり」という中国茶を出してくれる喫茶店みたいなのがあって、そこは柴田さんという、陶芸家の方のお嬢さんが、切り盛りしているんだけれど、中華まんとか蒸しパンとか、近くの無農薬の農家さんが作ったものだけを使って、彼女が全部手作りしているお店があって、武家屋敷だったところを改築していて、そこには、必ず寄ってかなり買い込んで帰るのが楽しみです。
- 生江
- そこまでの距離が仮に長かったとしても、そういうご褒美が待っていると頑張れるよね。
- 行方
- せっかく仲良くなったからいろいろお話させてもらったりとか、あと、ちょうど息子くんが3〜4年生ぐらいなのかな、そういう子たちといろいろ話したりしていると、近所のおばちゃんになったような気分ですごくリラックスできる。
- 生江
- なかなか旅をすることが難しかった時期があったからこそ、こうやって人に会うことのありがたみは本当に最近感じ直す。
- 行方
- 私、あんまり愛情表現が豊かでないというか、なかなか伝えられないから、できるだけ回数行って、好きだってことを伝えている。ちょっと手土産を持っていったりして、少しでも距離が縮まったらいいなと思って。
背中を押す存在に
行方さんは、丹波篠山だけではなく、いろいろな地域をたずねて、その土地の魅力を発信されていますが、この度、行方さんの審美眼にかなったものが、新宿伊勢丹で、9月に展示、販売されます。
- 行方
- 友達の農家さんが無農薬で作ったお野菜を使ったドレッシングや、工芸の作家さんが作ったオブジェまで幅広く、完全に自分目線で、集めて企画展をさせてもらっています。
- 生江
- お客さん側の目線からすると、自分の選んでいるものに対して自信がない人が結構多いので、背中を押してあげてください。
- 行方
- わかりました。そうですね。日本人は特にそうかもしれない。
- 生江
- 自分の選択に自信がない人たちが多いから、どうしても今まで使ったものに固執して、そこからなかなか新しいものを知ることができない人たちが多いから、そういう人たちの背中をふっと押してあげる。そして、あれと思ったら、ドレッシング持っているみたいな(笑)。