大切なのは、コミュニケーション

亀田誠治(音楽プロデューサー、ベーシスト)×Shingo Suzuki(ミュージシャン)

2023

05.12

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亀田さんは、これまでに、椎名林檎さん、平井堅さん、スピッツ、GLAYなど数多くのアーティストのプロデュースやアレンジを手がけ、幾多のJ-POPの名曲を生み出してきました。また、椎名林檎さんが率いる東京事変のベーシストとしても活躍されています。
一方、HIP HOP、JAZZ、SOULのグルーヴを軸に、卓越した演奏力と唯一無二のサンプリングセンスを持ち合わるShingo Suzukiさん。CM楽曲、ドラマや映画の劇伴なども担当されたり、Mabanuaさん、関口シンゴさんと共にバンド「Ovall」としても活動されています。

自分スタイルの確立



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亀田
どうも、こんにちは、亀田です。

Shingo
こんにちは、Shingo Suzukiです。

亀田
実は、我々、今日が初めましてですね。

Shingo
そうなんですよね。

亀田
僕からの熱烈ラブコールで、1年ぐらい前から僕がSNSをフォローし始めたりとか、

Shingo
僕はすごいテンション上がりましたよ。

亀田
ジンワリジンワリと近寄っていって、「日比谷音楽祭」に出て欲しいと思っていたり、あと僕の周りのアーティストで、Shingoさんがプロデュースされて、かっこいい曲になっているものがたくさんあって、みんな、その曲を自慢していて、羨ましいなと思って、どこかで、絶対に会いたいと。

Shingo
僕、亀田さんのSNSは、以前からもちろん拝見させてもらっていたんですけど、SNSはいろいろな話題がある中で、亀田さんのテキストが非常にポジティブで、もやっとした朝とかに見るとテンションが上がります。

亀田
お役に立てていたんですね。僕はすごくそこには気をつけていて、文句を言ったり、何かを否定するのではなくて、”OK大丈夫”から始めるスタイルは取っているんですよね。

Shingo
まさに、”大丈夫だよ”と言われているような感じがします。

亀田
嬉しい。

Shingo
結構近くにいるような錯覚ではないですけど自分が気にしていたり、憧れていたりする人たちの言葉は、音楽と同じで響くんですよね。なので、僕は、例えば朝起きて曲を作ったりする時も、割とSNSをチラチラ見つつ、亀田さんが上がってくるみたいな。

亀田
僕も同じですよ。スタジオにキーボードやギターが並んでいるんですけど、横にパソコン2台ぐらい開いてあって、必ずSNSが上がってくるので、チラチラと僕も見てやっていますね。

Shingo
亀田さんは、もちろんミュージシャン、ベーシストとして、憧れているところもあるんですけれども、プロデューサーとしても、今は、アレンジもするし、楽器も弾いてライブもやって、だから僕が将来なりたいミュージシャン像というか、そこの先駆けで、全部されつつ、自分の音楽的なスタンスもあって、目標でもあったりするんですよ。

亀田
恐縮、恐縮×100ぐらいで。

Shingo
もう参考になることばっかりで。

亀田
ちなみにShingoさんと僕は、いくつ歳が離れているんですか?

Shingo
僕75年生まれです。

亀田
僕64年なので11年、約1回り違う。僕は、本当にいろいろ頼まれやすい口なんですよ。頼みやすいっぽくて、「これお願いします」という中にライブがあったり演奏があったり、曲を書いていたらアレンジもやってみればとか、そういうことを繰り返していくうちに自分の今のスタンスができてきたという。

Shingo
そうなんですね。

亀田
これ一番よくお話するんですけど、椎名林檎さんがデビューする前にレコードレーベルから電話があって、「福岡にものすごく若いシンガーソングライターがいて、今までにない楽曲で、誰も聞いたことのない文語体の詩みたいのを歌って、本人もすごく力強い意志を持っていて、この子をどう扱っていいのかわからないけど、亀ちゃんだったら人柄いいから向き合ってもらえるんじゃないか」と。音楽ではなく人柄で雇われたみたいな(笑)。入口はそういう感じのものが結構多くて、この仕事はみんなが断るかもしれないけど、亀ちゃんだったらやってくれるかもみたいな。それを僕もニコニコ引き受けちゃうんですよ。誰もやっていないという言葉に弱くて、みんながやらないんだったら僕がやりますよと引き受けていたら、今の形になってきた感じですね。


聞く力



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音楽のすべてのまとめ役、プロデューサーとして作業を進めていく上で、大切になってくるのが、やはり、コミュニケーションです。

Shingo
音楽もそうですけど、やはり、会話ですよね。

亀田
僕、お喋りするのがすごく好きなんですよ。このお喋り好きは昭和のおばあちゃんとか大阪のおばちゃんとよく言われるんですけど、とにかくずっと喋っているか、誰かが喋っているのをずっと聞いているのも好きですよ。

Shingo
僕も聞く方が好きかもしれないですね。

亀田
僕、別名”うなずきの亀”という名前を持っていまして、家族に笑われたんだけど、JUJUと一緒にファーストテイクをやった時、取材がいっぱい入っていて、JUJUさんにいっぱいインタビューして、それを俺は横でうんうんうんと頷いて聞いていて、僕の思いをバーッと喋ったけど、翌朝、ワイドショーを見たら、JUJUさんが喋っているパートだけ使われていて、僕は横で、うん、うん、うんと10回ぐらい頷いていただけだった。でもプロデュースをする時は、アーティストさんの話を聞くことから始まりません?

Shingo
僕も誰かとプロデュースなりアレンジなりすることになった時に、いかに相手が何を考えているかとか、何を聞いているか、どういうバックグラウンドがあるんだろうとか、特に音楽的なことを中心に聞きます。やっぱりそこから始まるような気がしているんですよね。

亀田
Shingoさんの音楽を聞いているとそこを感じるんですね。アーティストさんが本当にやりたいことやモードを本当に的確に聞き出す。聞き出すまでは割と何人かはできるんですよ。でもそれを実際、形にして、かっこいい作品にするまでできる人はなかなかいないと思っていて、Ovall軍団みんなそれができる。絶対にこれアーティストさんとすごく対話をして、向き合って作っているなと感じますね。

Shingo
そう言ってもらえると、すごく嬉しいです。そこは一番、気にするところというか、もっと若い頃は、例えば、誰かをプロデュースするとなった時に、自分を出してやろう、自分に染めてやろうと、若気の至りではないですけど、ちょっと名前を売ってやろうみたい時は、大体、駄目なんですよね。空回りして相手の心も離れていくし、音楽に限ったことではなくて、全てに通じる気がするんですけど、心の中で思っていることとか、ちょっとした片鱗を見つけて、そこから会話を大きくして、僕に仕事を一緒にしようねと言ってくれている人は何か僕のいいところとか共通項を感じてくれているはずだから、短い会話の中でそれをどこだろう、どこだろうと思いつつ、言葉1個出して10個帰ってくるように気をつけてはいるんですよね。


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*亀田さんが実行委員長を務める「日比谷音楽祭」が6月3日、4日に東京・日比谷公園と周辺エリアで開催されます。
世代やジャンルを超えた音楽が無料で楽しめます。
出演者は、桜井和寿さん、石川さゆり、木村カエラ、KREVAなど数多くのアーティスト、そして、Shigo Suzukiさん率いる「Ovall」も登場します。


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