パリは、大人が輝ける街
雨宮塔子(フリーアナウンサー、エッセイスト)×渡辺有子(料理家)
2023
01.27
パリの素顔
- 雨宮
- フランス人のイメージはどんな感じ?
- 渡辺
- 個人個人がしっかりと考え、自分の信念を持っている感じがして、あんまり人に左右されないというか、みんながこうしているからこうするみたいなことはなくて、自分がいいと思ったものを、物もそうだし、考えを持って生き方をしているのかな。あとは女性も男性もだけど、歳を重ねることでいいことがある、みんな生き生きとしている。そういう意味では、人生を楽しんでいるイメージがあるけど、実際に暮らしてみて、どんな感じなのかしら?
- 雨宮
- その通りだと思う。確かに女性に年齢を聞くことはタブーなのね。そういう意味では年齢を気にするかなと思いきや、でも決して歳を重ねることにはそんなにネガティブな考えはなく、むしろティーンで若く、弾けるような美しさはあっても、味のある美しさというのかな、そういうものはむしろ30歳以降と言われやすいところがあって、多分、大人の街でしょうね。大人の方が輝ける。
- 渡辺
- 大人だよね。
- 雨宮
- それは収入が増えるからどうということでもなく、多民族だから、いろんな考えの人がいて当たり前で、でもだからといって、批判とか、何か言うよりも、人それぞれ違うのが当たり前だから、そういう考えがあるよね、みたいな感じで尊重もする。
- 渡辺
- 塔子ちゃんがフランスで暮らす理由はいろいろあると思うけど、個人的な理由もあるだろうし、子育てに関してもあるだろうけど、何かあるのかな?
- 雨宮
- ちょっと楽。今言ったように、こうでなくてはいけないのがないからファッションも好きな格好ができる。例えば、ちょっと丈の短いスカートを履くと、日本では、そぐわないとか年齢を考えてになると思うけれども、フランスではそれがないから、さっき言ったように、大人の街だから歳を重ねても寂しいとか、嫌な思いにあんまりならないんですよね。素敵な歳の重ね方をしている先輩が多いから、将来どういうふうに自分がなるのか楽しみ。ポジティブに考えられるところが大きいかな。子どもたちの学校がフランスなのは一番物理的にはあるけれども、歳を重ねていくワクワク感みたいなのはすごくパリでもらう気がしますね。
フランス人の美意識
- 雨宮
- パリジャン、パリジェンヌがみんな素敵かと言うと実はそう思ってない気がして、ファッションウィークでは街のスナップを撮るけれども、見渡す限り素敵な人みたいなことにはならないですよね。そういう意味では、よっぽど日本女性の方が頭のてっぺんからつま先まで行き届いていて、気を使っていて、すごいなと思うけど。フランス人のこと素敵だと思う?
- 渡辺
- うん。それぞれ、自分の美意識があって素敵だし、本当に年齢を重ねても、膝丈のスカートを履いている方も多いし、色の使い方も綺麗だと思う。日本だと黒、グレーとかネイビーがベースになってしまうことが多いけど、お洋服でもいろんな色を取り入れていたり、コーディネートは上手だなと思うことが多い。
- 雨宮
- 色に関しては多分、幼少の頃から一人一人、瞳の色や髪の色が違うから、それぞれの肌色、目の色にはこういう色が合うというのが刷り込まれるんだろうね。
- 渡辺
- それはお母さんやお父さんから?
- 雨宮
- もちろんあるし、鏡で合わせてみて、カラーコーディネートではないですけど、肌色にぱっと映える色があるんでしょうね。そういうのを小さい時から見ているから、色の使い方が、最近おしゃれに目覚めたではないのを感じる。目の色と揃っている小物を持っている人が多いです。
- 渡辺
- それで思ったのは、子どもの頃から子ども扱いされてないなと見ていて思うし、フランスに行った時に個々がちゃんと確立されていると思った。
- 雨宮
- 大人、カップルが中心だから、家族でも子どもに合わせることはなくて、食事時間も子供と大人を分けるし、有名なのは生まれてからも寝室が別ですからね。どんなに泣こうが、子ども部屋に行って、ミルクをあげて戻ってくる。
- 渡辺
- 塔子ちゃんも実践していたの?
- 雨宮
- 全然。そこは日本式。フランス人は経済的にたくさん部屋を作るのが難しくても、例えば、別れたカップルでも前の結婚の時のお子さんも週末に来るから、その部屋を確保してあるんですよ。そこもすごく大事にしている。
- 渡辺
- そっか、大人な街だね。
- 雨宮
- その一言に尽きるかな。