仕事と休みのバランス
金子綾(スタイリスト)×申真衣(モデル、起業家)
2022
12.02
共に働く2児の母親である金子さんと申さん。現在、男性の育休取得を促すなど、社会全体で働き方を変える動きが見られますが、お二人の産休はどんな感じだったのでしょうか。
休むのも仕事のうち
- 申
- どのくらいお休みを取られたんですか?
- 金子
- 長女の時は、全部が新しかったから、しばらくは一緒にいてあげなくてはとか、彼女を優先するべきみたいなことはあったけれども、次女は2回目なので、ギリギリまで働いて、妊婦本の撮影は産んだ後も決まっていたので、少しずつ、4ヶ月、5ヶ月ぐらい。
- 申
- フリーランスだとお休みすることへの不安はなかったですか?
- 金子
- それが不思議だけど、昔から子供がいない時から、できないことはできないと断ったり、自分のキャパ以上の仕事をしないようにしていたので、お休みを取って、どこかに行って気分転換するのは、結構前から習慣づいていました。
- 申
- すごく大事なことですよね。フリーランスは受け出したら止まらなくて、今日、家でゆっくりするのと、もう1本入れるのだと、もう1本入れちゃって、多分そのままやると、燃え尽きたりしそうな感じがします。
- 金子
- 娘が生まれてから年2回、2週間ぐらいはお休みをとってハワイとか行っていたのが、今はできないからバランスがとりにくいですよね。
- 申
- 海外旅行のように、バシっと入れないと、長い休みが取りにくくて、休もうかなと思っていても、結局、休んでないみたいな感じになりますよね。
- 金子
- そう。
- 申
- 休むのも仕事のうちだと思うということですかね。
- 金子
- 東京を離れるとファッションとか仕事にどっぷり浸かっている自分から解放されるから、頭の中が、1回リセットされる。その感覚をもう知っているから、それの切り替えができないと、ちょっと気持ちが悪いというか、多分運動している人は体を動かすと体が楽になることをきっと知っているから、運動しないと気持ち悪いみたいな、その感覚とちょっと似ているというか。
執着しすぎない
- 申
- 私はサラリーマン時代に、元々、1週間連続の休みを必ず取らないといけないルールがあり、習慣になっていて、その効用をあんまりわかってなかったんですけど、こうやって3年弱とか、海外に行かなくなって長い休みを取らないと、ついついすごく近視眼的になりがちというか、仕事と距離が近すぎて俯瞰で物を考えられないみたいになると感じているので、やっぱりオフする時間は大事だなと思います。日常の中で子供がいるとすごく長い時間、働くのは難しい、でも子供と過ごしている時間はお仕事の脳からちょっとオフできて、それがよりお仕事に向かうときのモチベーションだったりとか、よりフレッシュな気持ちで向き合えるようになっていると思ったりもしています。私も1人目の時はお休みするのがすごい不安だったんですよ。もちろん会社員だったから、仕事はあるけども、居場所がなくなるんじゃないかと思って、なかなか妊娠していることを上司に言わなくて、生まれる3ヶ月ぐらい前に言うみたいな。実際、不安の中、休んでみたら部下が私の仕事を引き継いでくれていたんですけど、案の定、私は要らなくなって、みんなでできるとなっていたんですけど、その代わり私が戻ったときに、より自分より上の人の仕事を引き受けることができてステップアップに繋がったといういい思い出があって。だから不安に思うだろうけど、やってみると意外と大丈夫ということかな。
- 金子
- 私は明日辞めてもいいと思ってずっと20年間やってきているから、その代わり、目の前の仕事を後悔なくきちんと、世に送り出す。スタイリストさんも何百人といるから、もちろん私がいなくてもこの雑誌は回るとは常に思っている。
- 申
- 執着しすぎると、それで自分を縛っちゃうのかもしれないですね。