料理も洋服もスタイリングが大事!
亘つぐみ(スタイリスト)×ariko(ライター、エディター)
2022
09.23
料理の写真がワンランクアップするテクニック
arikoさんは、無添加出汁パック「ありこだし」をプロデュースされました。
- ariko
- 毎日、鰹節とお昆布でちゃんと出汁を取るのは本当に大変だから、出汁パックを使うんだけど、濃く出る味の出汁パックがあんまり自分としてなかなか見つからなくて、出汁パック難民になっていたんです。ちゃんとした材料も使っていて、しっかり味も出て、いろんなお料理に使える出汁を作れないかなと思って、そこから作ってくれる所を探し始めて、紹介してもらったりもして、焼津の自社工場でちゃんと釣ってきた鰹を鰹節にして出汁を作っている会社に巡り合って、そこの社長さんと「こんなものが欲しい」という話をしたら、受けてくださるところが見つかって作ったのが「ありこだし」です。
- 亘
- なるほど。だからあのまま使えるんですね。
- ariko
- 具がなくてもお湯を注いでカップースープみたいに飲んだり。
- 亘
- 私も飲んでいますよ。ちょっと疲れた時とかに。梅干しを入れるのも好きで、お吸い物みたいに飲んでいます。本当に香りと色味も綺麗ですよね。黄金色に透き通っていて、さすがと思って。
- ariko
- 1年間ぐらいかけたんですが、出来た時の仕上がりが本当に自分で満足のいくものになり、人にすすめるより自分で使い続けたい。
- 亘
- それは、素晴らしい。間違いない一品ですね。
- ariko
- レシピで一番おすすめなのは、カップスープみたいに、ちょっと濃い目に出して飲むのが一番。あと、粉末状になっているので、味塩感覚で調味料としても使ってもらえるんですよね。
- 亘
- やっていますよ。たけのこの炊き合わせとか、最後にちょっと振って、あと、こんにゃく。
- ariko
- こんにゃくは、ツルツルしているから、味が染み込みにくいけど、周りにお出汁の粉がくっついているといいですよね。実は「卵かけご飯にお醤油の代わりに粉末のようにして使うと美味しい」とお友達に教えてもらって、あと、ぶっかけのうどんとか、サラダにかけたり。オイルとお醤油をちょっと垂らしてもいいし、酸っぱいのが好きならお酢をかけてもいいし、おひたし風味のサラダも美味しいですよね。
- 亘
- 最近はどういった食べ物に興味を持っているんですか?
- ariko
- ハーブを上手に使えるようになったら、お料理が単調にならなくて、鼻に抜ける香りやフレッシュな風味があり、美味しい。
- 亘
- ベトナムやちょっとエスニックも。
- ariko
- エスニックもそうだし、和食でも香りが立っていて、夏だったらミョウガや大葉だったりするし、秋になったら柚子の香り、やっぱりそういうことに気がつくと、お料理が美味しく感じられると思います。
- 亘
- なるほど、奥が深いです。arikoさんは、木の芽が、ちょっと上に乗っかっているとか、あしらいが上手。
- ariko
- あしらってあるとないとでは、全然違う。あと、こないだ、器屋さんのご主人とお話したことがあったんだけど、その方もすごくお料理も上手でInstagramの写真がすごく素敵で、「料理の写真を撮る時のコツは、料理の上にゴマとか振るんだよ」とおっしゃったのね。だから、やっぱり、のっぺらぼうな料理でなくて、上にゴマが振ってあるとか、黒胡椒が引いてあるとか、糸唐辛子をのせるとか、別に木の芽だけでなくても、そういう家にあるものをちょっとパラッと振ると、動きが出るみたい。
- 亘
- 料理もスタイリングですね。
- ariko
- そう料理も洋服もスタイリング。
新たな一歩を踏み出す心得
- ariko
- 私は、とことん裏方気質で、人がびっくりするぐらい実は新しいことに対して、あんまり挑戦したくない、失敗するのが怖いタイプなので、自分からあれやりたいとかはしないんですね。だから、「こういう機会があるけど、やってみない?」というのをいただいて、自分でやれる確信が持てた時に一歩踏み出すぐらい。
- 亘
- でも何冊もレシピ本を出されてきているけど、やっていくうちにすごく楽しくなってきて、次にこういうのを出したいなとは思わないですか?
- ariko
- 本当の料理家さんは、自分が食べたことがないものでも、例えば、素材やお題をもらった時に美味しいレシピを作れると思うんだけど、それは私、多分できないと思うので、自分の持っている物の中だけで、できることだけをやっていこうと思っています。今までの本と同じようなものをダラダラ出すのでなく、必ず自分ができると思った中で、全部が違う本になる認識が持てた時に、次の本を出すと決めているんです。
- 亘
- それを言ったら私もちょっと似ているところがあります。私もデザイナーではなく、元々がスタイリストの仕事をしているし、「お洋服を作れ」と言われたら、何十型も毎シーズン作ることはできなくて、それはデザイナーの方にやっていただいた方がいい。
- ariko
- 何かを表現して作り出すわけじゃない。やっぱり体が綺麗に見えるとか自分が欲しいという考え方ですもんね。
- 亘
- これがあったらいいなとか、自分なりにこれが間違いないというものが提案できるのが、ボディーウェアだったんです。だからちょっと似ている。
- ariko
- だから話が合うのかもしれない。
- 亘
- 本業がありつつ、サイドで好きなものをやり始める根底の中には、そこの考え方が全く一緒でした。
- ariko
- だから頑張れる。自分の積み上げたキャリアの中のことだから、やりたい気持ちが先に行くのではなくて、やってきたことを認めてもらう。その中でできるのだったら頑張ろうかなと思える着実性みたいなものはあるかもしれないです。
- 亘
- だからarikoさんが作るお料理の一つ一つにも説得力があって、その美味しさが伝わるようなお料理の写真や作ってみて実際、本当に食べやすくて家庭的なところだと思うんですよね。
- ariko
- そうかもしれない。やっぱり家族が食べるから、家族が喜んでくれるのが一番原動力になっているかもしれないですね。
- 亘
- いつ食べても飽きないし、簡単でないと駄目だからね。ストロガノフも好きだった。
- ariko
- サワークリームの白いストロガノフね。
- 亘
- 圧力鍋でチャーシューも作りました。言われた通りにやったら簡単にできました。それ以来、本当に圧力鍋をすごく活用しています。圧力鍋は便利でこんなに簡単だったんだと思って。
- ariko
- 時短になりますからね。