美味しいものは仕事のモチベーションになる!

亘つぐみ(スタイリスト)×ariko(ライター、エディター)

2022

09.09

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みんなの胃袋を掴む



arikoさんは、とても食に詳しいので、私はいつもこっそりarikoさんを食いしん坊と思っているんだけど、本当に美味しいものを揃えておいてくださるんです。例えば、朝ご飯でも、今まで食べたことないようなおにぎりを持ってきてくれたり、おにぎりだけだと飽きるから、サンドイッチやサラダがあったり。

ariko
季節のものを入れられたらと思っていたり、あと今日は男子が多いからがっつり、お肉っぽい方がいいとか、あまりお肉を食べない、お野菜とかフルーツが好きなメンバーが多ければ、そういうものにするとか、いつも同じものではなくて、そのメンバーが、喜ぶだろうと思うものを食いしん坊手帳からいくつか選んでいます。

そんなのがあるんですね。

ariko
今日はここに頼んでみようとか、やっぱり寒かったら温かいのを食べたいし、暑かったら、スーッとするものやゼリーっぽいものがあったらいいなとか、そういうふうに考えてご飯を用意していますね。

普通はそんなにたくさんの種類が出ないんですよ。

ariko
足りなくてアシスタントの子たちが遠慮して食べられないのがすごく嫌なので。

優しさ!

ariko
支えてくれる子たちが食べられなかったら、きっといいものができないから、誰もが食べられる量は用意しています。だから高いものばかりでなくて、安くてもみんなが食べて美味しいと思えるものを用意する。

街角のソウルフード的なものもあったりしますよね。

ariko
すごく暑い時だったら、1本100円のアイスキャンディーがいっぱいある方が、みんなが気軽に食べられたりするから、そんなイメージかな。

思い出した。冬の撮影の時、葉山だったと思うんだけど、海沿いで、人参のスープをarikoさんがみんなの分作ってきてくれて、わざわざオリーブオイルまで持ってきていて、カップに入れた後、「ダメよ、まだ飲んじゃ」と言って、そこにオリーブオイルを垂らして、振舞っていたのが忘れられない。arikoさんの本を買って真似をしました。人参のスープを何回作ったことか。

ariko
人参のスープは、冬の差し入れの定番で、朝、寒い時にちょっと体が温まるスープがあると、みんな喜んでくれるから。前の晩に仕込んでおいて、1Lの保温ジャーを2本ぐらい持っていくんですね。それに生クリームやオリーブオイルを別々に持っていって、ちょっと垂らして、みんなに振る舞うのが好きです。

あれは美味しかったです。

ariko
一時期は毎晩のように作っていて、撮影が忙しい時は夜中に私何やっているんだろうみたいな。

作るのが好きですね?

ariko
作ることが好きというより喜んでもらう方が好きかも。明日、雪の予報が出ている時に、朝、おにぎりだけ、サンドイッチだけだったら寒いけど、温かいものがあったら、それだけでちょっとみんなが笑顔になってくれる。その感じが好きだからちょっと眠いぐらいは頑張って作ろうの繰り返しかな。

こうやって、arikoさんは、人の胃袋をつかむんですよ。それで、みんな、やられちゃってます。


食いしん坊の原点



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arikoさん、最近は、料理の仕事も多いですが、自分が好きでやっているうちにそういうお話が来たんですか?

ariko
やっぱりInstagramがきっかけで、モデルちゃんが、Instagramをやっているから、とりあえずお仕事としても見ておいた方がいいなと思って、始めたら見ているだけではつまらないから、「あげれば」と言ってくれたので、たまたま、お家のお昼ご飯、豚バラを胡麻汁でつけたおうどんをあげたら、最初は、フォロワーも少ないから、いつもお仕事を一緒にしているけど、そんなに喋ったこともないような男の子が「すごい、めちゃくちゃ、うまそうっす」みたいなコメントをくれて、そうすると、いいね!の数が20なのにものすごく嬉しくなって。結構ベテランになっていたから、怖そうとか、いつも高そうなのを食べているとか、そういうイメージだったのに、家のご飯をあげていったら、親しみやすくて喋りやすいみたいな感じに言ってもらえるようなことが多くなって、Instagramは、そういう面もあるんだなと、しばらくやっていたら、「本にしませんか」とお話をいただいて、基本、私、裏方の人間だと思っているから、プロのカメラマンも入ってない、自費出版みたいなイメージでやったのが1冊目の「arikoの食卓」。おかげさまで「いいね」と言っていただけるようになって、今に至るみたいな。

なるほど、すごいですね。やっぱりarikoさんのご飯は本当においしそうに写っているだけではなくて、美味しいからだと思うし、私、何回か食べたことがあるんですが本当に忘れられないぐらい美味しくて、いろんなお弁当を食べたけど、あれが一番美味しくて、うちの夫も感動していました。でも、急にそんなにお上手になるわけではないですか。きっかけは何ですか?

ariko
うちの母親は、THE主婦みたいな人だったからお料理は大好きで、私は、子供の頃から既に食い意地が張っていたから、母やおばあちゃんと一緒に、料理する機会も多かったし、自分でも小学校の頃には子供用のレシピ本を買ってもらったりして、作っていたり、今日はお出かけするとなったら、帰りにあそこで、あれが食べられるかなとか、1人で目論んでいたりしていたので。

それ撮影の時と一緒ですよ。ロケに行くと、どうしてこの撮影地だろうとか思うと、「ここに来たからには帰りは、このレストランに寄っていけるでしょう。朝早くてもちょっと我慢してね、お昼に終わるようにして食べて帰りましょうね」と言ってくれて、さすが、arikoさんとよく思ったんですけど、そういうのは小さいうちだったんですね。

ariko
だから親には、呆れられたりしたけど。

やっぱり食いしん坊じゃないですか。

ariko
食いしん坊だったかもしれない。


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