90年代のカルチャーシーン
UA(歌手)×若木信吾(写真家)
2022
07.08
UAさんは、1995年にデビュー。「情熱」、「悲しみジョニー」などのヒット曲とともに唯一無二の歌声と存在感を放ち続けています。一方、若木さんは、ニューヨークロチェスター工科大学写真学科を卒業。ドキュメンタリーの手法を用いた撮影スタイルで、アーティストや著名人のポートレートを数多く発表されています。
思い出に残る初対面
- UA
- 久しぶりだね。
- 若木
- リユニオンと言うか…。
- UA
- 確かに。ちょっと振り返ってみようと思うんですけど、お互い同い年、同じ学年だったよね、干支は?
- 若木
- イノシシ。
- UA
- 私、ネズミ。それで早生まれだから、同じ学年なのね。
- 若木
- 「WHAT's IN?」という雑誌で撮影したのが最初の出会いかな。
- UA
- だよね。デビューして間もない頃で、CHARAちゃんと2人を撮るという、結構派手な2人が並んでしまって(笑)。
- 若木
- 今思い出しても本当に申し訳ないんだけど、その時、お腹の中に虹郎君がいたんだよね。知らなくて。
- UA
- そりゃ、知らないよ、初めて会ったんだから。
- 若木
- 雑誌の表紙だから盛り上げようと思って、「ジャンプして」と頼んだら、向こうでザワザワとなって、「できない」とか言って。
- UA
- そうだっけ? 私が機嫌を悪くして「できないんですけど」とか言って。
- 若木
- それで俺が食い下がった訳よ、わかってないから。それで、「そうだったんですね。すいませんでした。」みたいになって。
- UA
- ごめんね(笑)。わかりにくいよね。初めてだったからね。ちょっとナイーブになっていたのかもね。デビュー当時で、笑ってと言われても笑えないような人だったから、飛ぶってなんやねんみたいな(笑)。信吾くんは、アメリカで切磋琢磨して、日本に帰って来て、プロフェッショナルに言ってくださったけど、私がまだ未熟すぎたのよ。
- 若木
- 現場の温度をすごく学びました。考えてからやろうと思いました。
- UA
- でも、2度目はおそらく「BARFOUT!」だよね。
- 若木
- あの時の撮影が、本当に記憶に残っていて、トラックスだったじゃないですか。
- UA
- 「ギャラリートラックス」という山梨県の長坂にある素晴らしいギャラリーで撮影して、全部自然光だけで撮ったんだよね。すごく綺麗。
- 若木
- あそこの場所自体がもう変わっちゃったからね。
- UA
- 私もよく行くんだけど、撮影した場所がないね。
- 若木
- それまでは、ストリートに出て、バーと撮って、キャッチするみたいな撮影だったのだけど、あの時が初めてちゃんとディレクションをして。
- UA
- 初めて?
- 若木
- 東京に来てからはそういうスタイルは受け入れられなくて、すぐにスタジオの外に出て、撮ろうみたいな感じだったじゃないですか。小さいコンパクトカメラで歩きながら撮っていたから、そういうスタイルだと思われていたんですよ。でも、ゆっくり静かに撮るのも、すごくいいなと思って、このスタイルでいきたいなと思った。その後も、飛び飛びで撮影は定期的にさせてもらっているんですよ。
- UA
- そうなんですね。『Nephews』のジャケットは、大変気に入っていて、撮影となると、何日の何時から誰がメイクで、誰がこれをしてと全部決められて、緊張の中でやることが多いけど、あの時はわりと近所にいて、ちょっと2人でやってみようと言って、すごいリラックスした写真になった。あとアーティスト写真が笑っていたんだわ、初めて。笑っていると周りが言って、若木くんすごいとみんな言っていたんだよね。懐かしい。
- 若木
- 本当にね、あっという間だよ、時間が経つのは。
POPを体現!
UAさんは、先日、6年ぶりの新作『Are U Romantic?』をリリースされました。交差点のど真ん中で、UAさんが不思議な姿勢でポーズするCDジャケットもとても印象的です。
- 若木
- 他のカメラマンの人たちもそうだけど、UAの撮影は、決めているというか、コンセプトやスタイルがある。
- UA
- 5月に新作『Are U Romantic?』を出したんですけど、今回POPにまた戻っているんですね。私、POPをめちゃくちゃ燃焼していて、私の中のPOPは街中で派手な格好で、信じられないポーズするっていう。
- 若木
- これは本当にやっているの?
- UA
- 一応やっているの。
- 若木
- この後は倒れたりしない?
- UA
- 本当にはいるけど、単に押さえている方々を消しているのね。自力ではない、他力本願。
- 若木
- 部分消しは、やっぱり今の感じだよね。
- UA
- これはSTEVE NAKAMURAさんがアートディレクターで、今の感じなのか、あえてラフォーレ前なのに意外と地味っていうね。色が全くない。軽自動車のナンバーもいい感じでぼやっとして、最初にこの軽自動車は消そうかと言ったんだけど、いや、これは日本ということで。
- 若木
- すごいいいよね。
- UA
- ありがとう。イナバウアーとかマトリックスとかいろいろ言われているけど、すごいPOPだよね。全身タイツを着てやっているんですよ。