コロナ禍のクリエーション
芦田多恵(ファッションデザイナー)×柄本弾(バレエダンサー)
2021
06.04
1991年にコレクションデビュー。エレガントでモダンなスタイルのデザイナーを代表するひとりとして活躍している芦田さん。各界の著名人や女優などを多くの顧客に持ち、2019年からは、メンズラインも手掛けています。一方、東京バレエ団のプリンシパルを務めている柄本さん。これまで、パリオペラ座、ウィーン国立歌劇場やミラノ・スカラ座など世界中の舞台に立ち、恵まれた容姿と豊かな表現力で観客を魅了。最近では、モデルなどバレエダンサー以外にも活躍の場を広げています。
ミラノでニアミス
- 芦田
- こんにちは。
- 柄本
- こんにちは。
- 芦田
- 最初にお会いしたのは2年前の9月ですね。実は7月に、ミラノでニアミスしたんですよね。
- 柄本
- そうなんですよ。東京バレエ団の公演で僕たちがミラノで公演をする時にたまたま多恵さんがミラノにいらっしゃって。
- 芦田
- 生地の買い付けでちょうどミラノに行っていて、たまたま知り合いの方を通して弾さんが公演をしていらっしゃるのを知っていたんですけれど、どうしても日程の都合で、伺えなくて、
- 柄本
- 残念でした。
- 芦田
- それが残念と思っていたら、私のメンズコレクションの初めてのポップアップショップに来て下さったんですよね。
- 柄本
- まだ2年ぐらいしか経ってないですよね。
- 芦田
- 嘘みたい。ものすごい蜜にお付き合いさせていただいて。
- 柄本
- 感覚的には、4、5年くらい経っているイメージなんです。
- 芦田
- 初めて弾さんとお会いした時に、すごい素敵なブーケを持ってきてくださって感激したのが初対面の印象です。
ジャンルを超えたクリエイターが集結
コロナ禍の中、お二人は、それぞれのクリエイティブを発揮するプロジェクトに参加することになります。これは、ミュージシャン・俳優として活動する金子ノブアキさんが、制作したアンビエントミュージックに、ジャンルを超えたアーティストたちが集結しスペシャルムービーを作り上げたというもの。その映像の中で、美しい旋律にのせて華麗なジャンプを見せるのが柄本さん。身に纏うコスチュームを手掛けたのが芦田さんです。
- 芦田
- 去年、コロナでステイホームになって公演もほとんど中止になってしまったんですねよね?
- 柄本
- 今まで2ヶ月に1回はバレエ団の公演があったんですけど、東京バレエ団に入って、初めて半年間ちょっと公演がなく、ずっと家にいたタイミングで多恵さんから「ちょっとこの曲を聴いてもらえる」と連絡が入り、最初は、何のことかよく分からず、とりあえず曲を聴いて自分のイメージするものを多恵さんにお伝えしました。
- 芦田
- そこから自主制作の映像を作ったのですが、本当に私もあの時は偶然で、たまたまの映画監督の清水康彦さんから「金子ノブアキさんがステイホーム中にアンビエント系の綺麗な音楽を作ったので、聞いてくれませんか、何か思いついたら連絡してください」というLINEを頂いて、音楽を聴いたら、あまりに綺麗だったので、具体的にわからない状態で、「この音楽で自然をバックに私の友達の柄本 弾さんが踊ったら本当に綺麗だと思うんだけど、そういう映像を作ったらどうでしょうか」と送ったら本当に即答で「それ素晴らしいのでやりましょう」と連絡が来たんです。撮影は、早朝の海辺で、
- 柄本
- 朝、3時から4時から、まだ真っ暗な中で黙々とストレッチをして、
- 芦田
- 日の出から撮影をしてね。
- 柄本
- すごい思い出ですね。僕も踊ることに飢えていた時期だったので、こういう機会で踊らせてもらえると思ってなくて、正直、撮影する2、3日前ぐらいから緊張していたんです。すごいメンバーの方々と、普段自分が踊るような場所でなかったり、クラシック音楽でもなかったので、どういう風に踊ればいいんだろうかというのはありました。
- 芦田
- 自分で振り付けをしていく新たなチャレンジですね。
- 柄本
- 本当に自分でその場で踊っていく感じになったので、素晴らしい映像になりました。
- 芦田
- 私もバレエの衣装を作るのは初めてだったから、チャレンジングだったし、コロナで創作活動がちょっと止まってしまっている時に、新しいことにチャレンジできるのは本当に意味があったし、自分としてもすごくモチベーションになったので本当に偶然の出来事だったけど、ものすごく意味が深かったですよね。