クリエイティビティの源
安藤桃子(映画監督)×松本恵奈(ファッションブランド『CLANE』クリエイティブディレクター)
2021
03.12
安藤さんは、ロンドン大学芸術学部を卒業後、ニューヨークで映画作りを学び、 2010年に『カケラ』で監督・脚本デビュー。翌年、初の長編小説『0.5ミリ』を出版し、2014年には、同作で監督と脚本を務め、数々の賞を受賞しました。現在は、高知へ移住し、映画館「キネマM」の代表を務めたり、農業・食・教育・芸術などを通し、子供たちの感性を育む活動にも力を注いでいます。一方、“ORIGINAL STANDARD”をコンセプトに、現代的なテキスタイル、素材、デザインを取り入れるブランド「CLANE」を手がける松本さん。ファッションのみならず、そのライフスタイルは、多くの方から支持されています。
大人の女性たちが長く愛用できる服
- 松本
- こんにちは。お久しぶりです。
- 安藤
- お久しぶりです。
- 松本
- 初めて会ったのが、展示会ですよね。あの時、桃子さんが展示会に来てくれたことがめちゃめちゃ嬉しかったんです。本当にいつもすごい可愛く、かっこよく「CLANE」の服を着てくれているからSNS越しで一人でテンション上がっています。
- 安藤
- ありがとう。私からしたら、これがあの本物の恵奈さんだと思って!
- 松本
- 恥ずかしい。
- 安藤
- 恵奈ちゃんのお洋服で感じるのは、仕事、母、女性らしさ、カッコよさ、色んな面を持って生きているのが今の現代の女性で、ちょっと可愛くもいたい、おしゃれもしたいけど、お腹がきついのも嫌! みたいな、それを叶えてくれる服。
- 松本
- わかります。腕が太く見えるのは嫌みたいな。
- 安藤
- そうそう。しょっちゅう会ったりはできないけど、「CLANE」の服を通じて今日も恵奈ちゃんを感じています。
- 松本
- ありがとうございます! 桃さんが着る「CLANE」のお洋服が大好きです。
- 安藤
- ありがとうございます。
- 松本
- 「CLANE」のお洋服は、いろんな方が着るんですけど、桃さんは映画監督だからなのか本当に桃さんのものになる。前から桃さんのクローゼットに入っていたんじゃないのぐらい自分のものにして着てくれているのを見るのが本当に毎回楽しみです。この想いをずっと伝えたかったんです。ありがとうございます。
アイディアが生まれる時
映画とお洋服、ジャンルは違っても、“もの”を生み出し、表現する意味では共通点を持つおふたり。アイディアはどのようにして生まれてくるのでしょうか。
- 安藤
- 今、SNSが日常になり、私も Instagramには、自分が撮った風景をアップすることが多かったりするんだけど、恵奈ちゃんは自分自身の写真をアップして、それをいろんな人が見る。日常的にSNSで表現するスタンスが互いに全然違うんだけど、それはどんな気持ちでやっている?
- 松本
- 私は洋服を作る人で、より多くの人に着てもらいたい気持ちがあって、でも「CLANE」のお洋服は、そんなに安いわけではないから、誰かが着て動いている姿をちゃんと見せた方がわかりやすいのがすごい大きいかもしれない。アパレル業界は昔からやり方があまり変わらないので、SNSが進化した中で新しい表現をしたいのでSNS使って、いろんなことやりたいなと思っています。
- 安藤
- 自分がゼロから生み出す人であり、同時にそれを着て表現しているけど、最初は、着てくれる誰かの姿を考えて作るか? それとも、自分が着たい、その楽しさを原動力にしているのか? クリエイティブが生まれる時はどこから?
- 松本
- どっちもで、気分でこんなの着たいなで作る時もあるし、これを着て写真を撮ったら絶対に可愛いなと思って本当に自分が作りたいものを作る場合もあるし、こういうのが絶対欲しいみたいな感じで作る時もあるし。でも、自分が着て表現する時は自分らしく見せる。こういう着方もできると幅で表現したりも意識して、SNSは本当に私だけの着方で、私はこうだけど、こういう着方もできると、「CLANE」の服を着てくださっている皆さんに向けて、自分、プラスお客様のことを考えながら発信しています。桃さんは映画監督で、映画の世界はわかんないんですけど、服作りと全然違うから難しそうだなって思うんですけど。
- 安藤
- いつも思うのが、クリエイターの人は、最終的に映画やファッションだったり、小説だったり、形として出口が違うけど、作る本人の起点も様々で、私は完全にビジョン派。映画云々の以前に、小さい時から映像が目の前に出るの。こんな世界が見たい! って絵に描きはじめたことから始まって。
- 松本
- 私から見たら、それ天才です。
- 安藤
- えー(笑)。自分の見たビジョンが詳細にまで共有できる仕組みは、映画だけど、小説を書く時もスタート地点は同じなんです。
- 松本
- すごいですね。私、その感覚一生死ぬまでないと思うから、凄いなって思う。
- 安藤
- 恵奈ちゃん何系なんだろう? 例えば、香りからイメージが膨らむ人もいるけど?
- 松本
- ない。私の鼻悪いんで、全くないです(笑)。私はワクワクしたいからこんなのをやったら面白いとか、そっち系ですね。ワクワクを求めるタイプで飛び込んでみるタイプですね。
- 安藤
- すごいね。でもそれでSNSの表現や展示会に向けて、さらにショップのことなど、チームをまとめるから、やっぱり企画者なのかな? 全体像を見て、どうしたら女性達がワクワクするのか考えているってことか。
- 松本
- だいぶ近いですね。そういうの考えるのすごい好きだから、ずっと考えているかもしれないです。
- 安藤
- 街に出て観察している?
- 松本
- あまりないかな。そういう時間もないんですよ。一人でシャワーを浴びている時とか、運転している時に考えたりしていますね。