親の心の栄養も大事

コウケンテツ(料理研究家)×くわばたりえ(クワバタオハラ)

2021

03.05

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リラックスタイムの過ごし方



くわばた
”子供のため”、”子供のため”と言ったりしますけど、実は自分のための時間を作ることが一番の子供のためかなと思ったりして。子供のために時間をかけて美味しい料理となるけど、これをちょっと置いといて、今日疲れたからラーメンにすることで子供がめっちゃ喜んで食べてくれて、私は洗い物がほとんどなくて、お風呂は、すごいゲラゲラ笑いながら入れて。カップラーメンと決めた日の夜は、今から何もせんでいい! という開放感。だから私は子供のためも大切だけど、自分のため。「子供の体の栄養も大切だけど、ママの心の栄養も取ろうよ」ってよく言うんです。そのためには「カップラーメンをちょっと使いません」と言っているんですけど、自分のためって大切ですよね。

コウ
くわばたさんご自身は、一人時間が作れたら、何をされているのですか?

くわばた
ドラマを観るのが好きで、お酒を飲むのが好きなんですよ。だから旦那とお酒飲みながらドラマを観る時間がすごく楽しい。

コウ
めっちゃ素敵。

くわばた
ドラマを観て、CMの間に「この後こうなるんちゃう」と、どうでもいい会話をする時間がすごい大切やなと思って、子供のことばかりやったんですけど、ドラマで「この後キスするんちゃう。バレたらどうする」とか、たわいもない会話をする私と旦那がすごく幸せと思えたりする時間が楽しかったりするんですよ。

コウ
おすすめのドラマあります?

くわばた
つい最近だったら、お母さんが不倫する「恋する母たち」ですね。全部自分に当てはめてね、「吉田羊さんと全然似てないから」って言われながら、「ちょっと似てるー」とか言ったりして。コウさんの自分の好きな時間はいつですか?

コウ
僕も寝る前にベッドの中でパソコンでドラマを観たりも大好きなんですけど、なかなかその時間が持てない時に、妄想癖があってですね。例えば、取材でいろんなところに行った時に、ここに家族で移住したらどうなるんやろうとか、最近、鬼のアニメが流行ってますけど、僕が鬼になってしまったのどうなん? とか妄想が大好きなんですよ。

くわばた
それ中学生ですね。

コウ
(笑)。嫁には「子供が4人おる」と言われるのはそこか。今は旅に行けないので、この国に行ったらどうなってるんだろうとか妄想するんですよね。

くわばた
楽しい妄想しかしないから、どんどんプラスになっていきません?

コウ
確かに。

くわばた
絶対できへんこともなんぼでもできるし。私もいろんなスターとキスしてますよ(笑)。実際は、絶対にありえないですよ。

コウ
プラスですもんね。それでメンタルを保っていたかもしれない。

くわばた
幸せやな〜。


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アジアの食卓を訪れて



コウさんは、先日、“アジアの家族”と過ごした、ほんわかした日々の記憶を綴ったエッセイ&レシピ集「 アジアの台所に立つとすべてがゆるされる気がした」を新泉社から発表されました。旅先での出会いのエピソードや定番メニューから現地でしか味わえないマニアックな料理までディープなアジアごはんも紹介されています。

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コウ
アジアに20カ国ぐらい行かせて頂いて、そこの料理とエッセイをまとめた本を出しました。スリランカに行った時に本当に笑顔が素敵で、国としては大変なことがあったんですけど、ご飯の食べ方がすっごい自由で、ほぼスパイス煮とかカレー的なもの食べるんですよ。お母さんはご飯作るんですけど、家に帰ってきたら勝手にご飯をお皿に入れてカレーを入れて野菜を乗っけて一人で食べるんです。鍋がなくなったらお母さんはまた違うカレーを作る。みんなでいただきますしないの。家に帰ってきたらフリーにみんな食べて勝手に終わるという衝撃を受けた。お母さんはすごく楽なんですよ。いちいち作るのではなくて、なかったら作って置いておくと勝手に食べる。全く作らない日もあるわけですよ。何この自由な食べ方と思って、こういう国もあるんだって思った時に、場合によってはありなんじゃないとかなと思ったり、考え方次第なんですけどね。しかも、手で食べるんですけど、「不浄の手だから、絶対に左手で食べるな」って言われてたんですよ。でもホームステイしていた先のお姉ちゃんが左で食べていたんですよ。「だめなんじゃないの?」って聞いたら、「食べられたらなんでもいいじゃない」って笑い飛ばされたんですね。食べられたら何でもいいっていうこの強力な説得力が、なんでもそれぐらいでいいのかなってすごく気持ちが楽になったことを思い出したんですよね。

くわばた
私はあまり海外に行ったことないので、おすすめの国はどこですか?

コウ
アジアだったらカンボジアのトンレサップ湖という最大の湖の集落で、何百万世帯も住んでいるんですよ。湖の上にいかだを浮かべて家を建てて住んでるすよ。そこはめちゃめちゃ自由です。

くわばた
自由好きですね? そこはやっぱり中学生ですね。

コウ
(笑)。恥ずかしいですね。泳いで学校に行くんですよ。集団登校の際には、地域の一番上の女の子が手漕ぎボートで、家に子供を迎えに行くんですよ。校庭が湖ですから休み時間は泳ぐんですよ。

くわばた
嘘でしょ。うちの子がそれみたら、「住みたい」と言うでしょうね。


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コウさんのご本「アジアの台所に立つとすべてがゆるされる気がした 」は、新泉社から発売中です。


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