自分らしいスタイルの見つけ方

大草直子(スタイリスト)×青木良文(エディター)

2020

04.24

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イメージを持つことの大事さ



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大草
青木さんは、いつもハットを被られていて、それがトレードマークしとてもよくお似合いだなと思うんですけど、ハットはなぜ?

青木
朝、髪型を悩まなくていいっていうのもあるし、メガネとか帽子は最初、似合わなかったんですね。でも、していると似合ってくる感じ。

大草
すごいスタイルになってる。

青木
おしゃれは自分の個性を発揮するものであるから、一つの制服ではないけど、そういうものが決まってる人は印象にも残ると思う。

大草
たしかに。

青木
そういうアイテムとして取り入れていたんだけど、どんどんそれが自分のスタイルにはまってきたという後付な感じもある。

大草
おしゃれの制服化ではないけど、そういうものを決めておくと自分のメンタルも安定するし、おしゃれ偏差値も安定するよね。

青木
人に言われて気づくこともいっぱいあるし、自分の思考はそんなに変えられないから。おしゃれの幅は狭まってきてしまうけど、帽子はトライできるところもあるから。

大草
似合うものは当然着たい。でも前提として自分に似合うものがわからない女性にはどういう風にアドバイスするの?

青木
好きなものを着ていたら、似合ってくると思っているところもあるから、なりたい女性像とか、なりたい方向性から服を選んで自分がそっちに合わせていくやり方もあると思うんですよね。

大草
なるほどね。イメージをしっかり持つのは凄い大事だと思う。おしゃれな人は、イコール、スタイルがある人なんだよね。高いもの着ているとか安いものを着てるとか流行とかそういうのでは全然関係なくて。多分30代や40代前半ぐらいまでは迷うんだよね。例えば、編集長にも素敵と思われたい、一緒に働いてる年下の同僚にも素敵きだと思われたい、いろんな人に素敵と思われたいと思うような気がするわけ。でもそれはスタイルが薄れていくだけで、自分のスタイリングが決まらなかったりとか軸が持てなかったりすることだと思うんだけど、はっきり持つとそこが一本の線になっていくような気がする。私がすごい好きなのは、キャサリン・ヘップバーンで、もうそれもずいぶん前から言ってることなんだけど、真似したいなと思うのははっきりと骨格のある体とボーイッシュなオフの服。例えば、洗いざらしのダンガリーのシャツに、ちょっとボロボロになったチノパンツを履いてるんだよね、ハリウッド女優なのに。あとは、ちゃんとハレがあってアカデミー賞に出る時はブラックドレスをきちんと着るみたいな、そのオンとオフのあまりにある差みたいなものもすごい素敵だなと思う。ブリジット・バルドーでもオードリー・ヘップバーンでもなくキャサリン・ヘップバーンなわけ。それぐらいすごいイメージを明確に持つことはとても大事だと思うし、あと、誰でもすごく簡単にできることとして、これも本当にいろんな人に言ってるけど、とにかく自分の写真を撮ってください。客観的な目を持たずしておしゃれには絶対なれないと思うんだよね。不意のところを写真をどんどん撮ってもらう。SNSをはじめてぐんぐんおしゃれになっていく人っているじゃない。

青木
いる。

大草
あれは、写真を撮られてるからなのよ。写真を撮ってもらって、自分でバランスを見てるからなわけ。このパンツ、後ろ姿がちょっと不恰好かもとか、サイズが合ってないかもとかそういうことが写真を撮られることによってよくわかるんだよね。ただでできるから具体的な例としてオススメしてるかな。

青木
写真が真実だもんね(笑)。


女性たちに届けたいメッセージ



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大草さんが、コンセプトディレクターを務めるwebマガジン『mi-mollet』は、ミドルエイジ女性に向け、ファッション、ビューティ、ヘルス、ライフスタイルのリアルな最新情報を発信しています。一方、大草さんは昨年、新しい個人メディア「AMARC」も立ち上げ、女性たちに様々なメッセージを届けています。

青木
大草さんとは、この8年間一緒に過ごさせてもらって、凄く衝撃的だったのが、「DRESS」という紙媒体があって、その後に「mi-mollet」というWEB媒体だったじゃないですか、あの頃は、まだ紙とWEBだと紙のほうがヴォリュームを占めていたような気がしていて、自分も大草さんも紙の出身だし、紙への思いが強い中、大草さんはいち早くWEBマガジンにシフトできたことが、軽やかだなと思ったんです。自分の思いとか未来へのヴィジョンはあった時だったのですか?

大草
その時に新しい価値観を作りたいとすごい思ったの。価値観を作って、それを人に伝えていくやり方は紙でも WEB でもどっちでもいい。伝えたいということがとにかく大きかったから。「mi-mollet」というタイトルからもわかるように未熟と成熟のちょうど間ぐらいの本当にフラジャイルで繊細なある意味中年女性たちの美しさだったり、可能性だったりとか、もしかしたら悩みみたいなことも含めてリアルに伝えていければいいなという風に思った。それは確かに WEBでもいいなっていう風に思ったので、「mi-mollet」は、講談社という大きな母体があって優秀なスタッフがいっぱいいるからこの子たちにもっと大きくしてもらえばよくて、私は今、「AMARC」いう小さいウェブサイトをチクチクとやっている感じ。これは自分の子供のような存在だから、他のふたりと大事に大事に育てている。

青木
「AMARC」のコンセプトは、今までとちょっと違ったりはするの?

大草
今を一生懸命生きる女性をラクに楽しくていうのがコンセプトになっていて、例えばメディアは、人の心を動かすという役割があって、新しい服が欲しい、新しい一歩を踏み出したいという時に、そこに行動まで私たちがある意味コンプリートできればすごく楽になると思って。だからオンラインストアも細々だけど持ってるのね。人の心をもし「AMARC」が動かせたとして、その人が何か新しいかきっかけが欲しいと思った時に、すぐにオンラインで買えるようになっていて、全て私がコラボレーションさせてもらったもの。この世に他にはないものをそこで売ってるのね。ほんとすごい小さいささやかストアなんだけど、そういう風に自分がやりたいものを詰め込んだ夢のサイトになっているから大事に育てようかなと思ってる。「AMARC」は本当に小さくて深くて濃くていいと思うのね。だからたくさんのフォロワーがいるメガメディアになろうとそもそも思っていないし、同じ価値観を共有できる濃い仲間たちが深く存在してくれればいいなとは思ってる。あとは、自分が3人の子供を育てていて、お母さんたちがもっと楽に楽しく生きられたらいいなと思うの。いろんな常識や価値観とか古い世代のしきたりや世間体などにお母さんたちが潰されそうになっている感じがしていて、もっともっとお母さんたちは自分の軸に自信を持っていいし、それを子供に自信を持って伝えていいと思うわけ。お母さんがラクで楽しかったら子供は絶対ラクで楽しいから。ファッションはもしかしたらツールとして使うかもしれないけど、そういったメッセージをもうちょっときちんと発信していきたいなと思ってる。


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