粘土の奥深い世界
片桐仁(俳優、彫刻家))×小西真奈美(女優、歌手)
2020
03.20
片桐さんは、20年間、粘土で作品を作り続けています。
粘土道
- 片桐
- 今日は作品を持ってきたんですよ。粘土をいろんなものに盛るという企画なんですけど、ペットボトルに、粘土型の土偶を型どったものを盛って、首から下げるという「ペットボ土偶」。昔、首からエビアンを下げるの流行っていたの覚えています?
- 小西
- はいはい!覚えています。
- 片桐
- あれなんですけど、
- 小西
- 何でお水のペットボトルに土偶だったんですか?
- 片桐
- これに関しては本当に覚えていないんですけど、 もともとは、iPhoneケースとか家電製品とか文房具を粘土で盛る企画をずっとやっていて、
- 小西
- これなんですか?
- 片桐
- 耳の形のiPhoneケースですね。耳が好きなんですよ。耳だけ作っていた彫刻家の三木 富雄さんという方が好きだっただけなんですけど、
- 小西
- どれもものすごいリアルですよね。
- 片桐
- リアルなのが好きなんですよね。彫刻家になりたかったんですよ。
- 小西
- もともと?子供の頃?
- 片桐
- 子供の頃は画家になりたくて、絵描きで大学に入ったんですけど、彫刻のほうが楽しくなってしまって、彫刻は街中にいっぱいあっても無視されているのがほとんどなんですよね。
- 小西
- よっぽど有名でないとね。
- 片桐
- 日本中に銅像があるんですけど、見てもらえないなと思って、なので日用品に粘土を盛りだしたんですよね。雑誌の連載がきっかけだったんですけど。
- 小西
- なんで粘土だったんですか?
- 片桐
- 美術大学で絵がすごいコンプレックスになってしまって、絵苦手症みたいになった時に、粘土の授業があって、テラコッタとか焼き物ものとかに粘土で人の顔を作ったり。美術大学に行くと美術のことを一生懸命習うんですけど、上手い人がいっぱいいて、嫌になる時期があって、4年間ずっと嫌だったんですけど、それから解放されるのはその彫刻の授業だけでそっちのほうが評判よかったので。子供の頃から褒められたいモチベーションがあるじゃないですか、でも全員がうまい中にいくと、「お前はこうでうまくない」と言われネガティブのサイクルに入ってくるんですけど、粘土は、自由だし泥んこ遊びの延長で、手で触る触覚、その感覚がすごい楽しかったんですよね。
- 小西
- 楽しいが続いて20年間も経っているのですか?
- 片桐
- それでいろんなものを盛り続けて、
- 小西
- 私、粘土を触ったのは、子供の時以来、あ、陶芸は粘土ですよね。
- 片桐
- 大人になって触る粘土は陶芸ぐらいなんですよ。日本人は工芸が好きだから、こういう人に教えてもらってという道がしっかり出来てるんですよ、でも、粘土道は道がないので誰にも何も言われずにやれるなと思って、それでずっといろんなものに盛っているんですよね。
彫刻の魅力
- 小西
- 私も彫刻が好きです。パリのロダン美術館にも行きました。
- 片桐
- ロダンは何がいいですか?
- 小西
- もちろんミケランジェロも有名だけど、私、ミケランジェロよりもロダンのほうが、キュンって。
- 片桐
- ロダンのほうがわりと、粘土っぽい感じは出ていますよね。
- 小西
- ミケランジェロもすごい素敵なんですけど、ロダンに失礼なんですけど、ロダンのほうが親近感を感じるというか。
- 片桐
- 時代でいったらロダンのほうが近いですからね。
- 小西
- あと美術館がすばらしすぎて。
- 片桐
- そこに行って好きになったんですね。
- 小西
- もともと、彫刻の展示は、私結構好きかもと思っていて。
- 片桐
- めずらしくないですか? 彫刻の展覧会は少ないですよ。
- 小西
- 上野の東京文化会館でバレエの公演を見に行くんですけど、わざわざ国立西洋美術館にロダンを1回見に行っていたんです。パリのロダン美術館に行ったら、すばらしくて、あと、NYのメトロポリタン美術館でもロダンが好きと気づき、曲線の美がすてき。絵なら、例えば、モナリザは、角度によって見られ方がとかいっても平面じゃないですか、彫刻は本当に曲線美、絶対触れないですけど。
- 片桐
- ぐるっと一周回れるんですよね。
- 小西
- その曲線の美やツヤがなんかたまらなくキュンとしちゃうんですよね。