「きゅうかくうしお」での新しいチャレンジ

森山未來(俳優、ダンサー)×辻本知彦(ダンサー、振付家)

2019

09.20

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理想のものづくり



森山
2010年にふたりで「きゅうかくうしお」というユニットを立ち上げて、パフォーマンスやろうぜっていうことで、一回、パフォーマンスをしました。その時は「素晴らしい偶然を求めて」というタイトルでやってたんですけど、そこから7年後、2017年、もう一度そのふたりでやったのが「素晴らしい偶然をあつめて」というタイトル。今年2019年の11月末に今度は「素晴らしい偶然をちらして」ということで、やらしてもらうんですけど、2年前の作品と比べて大きく違うというのは、立ち上げたのは、辻本さんと僕のふたりなんですけど、その2年前に行った時の照明とか音響とか映像などのスタッフたちを全員メンバーとして、今回は9人体制で、全員が舞台に乗るということが大きく違う部分だね。その理由とは?

辻本
僕と未來くんは仲がいいんですけども、お互いの踊りや芝居に対してものすごくダメ出しをしたり、悪口を言ったんですね。最初の頃ね。それだと生産性がなく先がないなと思って、一緒にパフォーマンスやろうぜっていうことだった。

森山
それが最初に立ち上げたきっかけですね。

辻本
それと同じのように、メンバーも一緒にやるなら才能見せろよということだと思うんですね。

森山
多分、僕が思ってるのは、最近、僕もダンスパフォーマンス系の企画を自分で立ち上げて作ったりしてるんだけども、大きなクルー、メンバーになればなるほどどうしてもヒエラルキーみたいなものが出てきてしまって、演出家の言うことを聞く役者とか振付家の言うことを聞くダンサーとかもう一歩通行の関係値が多すぎて、皆が色々提案したりとかアイディア出したりとかしながら、揉んで、最終的に振付家や演出家がおもしろいからそれにしうようと、決めるみたい、健全なコミュニケーションをしながらものづくりができる場が絶対にあった方がいい。それで、例えば音響からもここでこんな風な音が入れると面白いかもしれないとか、照明側からもこういう照らし方があるかも、ここはこんな色味がいいとかそういうお互いにアイデアとかサジェッションが交錯して物事が膨らんでたり構築されていく、そんな空間をもしくは関係値を作ってみたいというのが理由のひとつだよね。


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ファンタジーとは?



森山
パフォーマンスを見に来て欲しいし、僕らが言葉を発する、その演劇的と言ってしまったらまたちょっと違うかもしれないけれども、その言葉としての情報もきっと入ってくる。メンバー9人で作るファンタジーですね。いろんなものを飛び越えていきたいですね。

辻本
宮崎駿さんが、「この時代にファンタジーが足りない」と何年か前に言っていて、なかなか言わない言葉だなぁ。

森山
ファンタジーって何だと思う?俺はね、ファンタジーは、理屈を飛び越えていくものと言うか、例えばそのお芝居、演劇や作り方によるけど、全部物語としてきれいに整合性のあるものを作り、それを見てもきっと面白くない。飛躍するその時に人の脳が揺れる、その瞬間をきっと人はファンタジーと呼んでたりするんだろうなって思って。

辻本
僕の振り付けは、必ず、足していってるんですよ。

森山
というのは?

辻本
例えば、米津玄師さんの「LOSER」の振り付けに、STU48を混ぜたり、STU48の振り付けにSexy Zoneを混ぜていったり。

森山
自分の振り付けが更新されてるということ?

辻本
そう。前は曲によって全部違うほうが面白いなと思っていた。僕はいろんなものが作れるぞという、でも違うな、ひとつ時代作ったほうがいいな、と考え、しかも、ばれないほうが、暗号いれるみたいで楽しい。着実に人を掴みながらいきたいと思うようになったね。だから作品を見に来てもらった人にはいいって言われたい。


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おふたりのユニット「きゅうかくうしお」の新作公演は、11月22日から12月1日まで、
神奈川・横浜赤レンガ倉庫1号館 で開催されます。

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