年齢を重ねて変化する仕事観
大根仁(映像ディレクター)×ともさかりえ(女優)
2019
06.28
節目を迎えての「今」の気持ち
- ともさか
- わたし今年、40歳になるんですけど、自分がまさに高校生だった頃、40歳は相当な大人だと思ってたけど、
- 大根
- 俺も今年50歳ですけど、大人だと思っていましたよ。50歳なんてそうとうの仕上がり方をしていると思ったけど。
- ともさか
- ですよね。何も変わっていないと思って愕然としてしまう。
- 大根
- 精神年齢いくつくらいという自覚?
- ともさか
- たぶん19歳くらいで止まっている。
- 大根
- まじで(笑)。ティーンエイジャーすごいな。おれは28歳くらいで止まっている感じがするなぁ。
- ともさか
- 大根さんも50代ですか。大人ですね。
- 大根
- なっていないなぁ。でもちょっと変わってきたのが、ここ10年くらいはドラマとか映画とか全部自分で本を書いて自分で原作を探してきてキャスティングも自分でやって自分で演出してみたいな結局、自分が一番楽しみたいと言うか、実際自分が一番楽しんできたけれども、「SUNNY 強い気持ち強い愛」を撮影したあたりから、女性たちが主人公だから俺がこれまでやってきた男臭いサブカル臭プンプンの映画とは違って、自分が感情移入というか自分を投影できるキャラクターがいなかった。でもそれがすごく心地よくて、これからちょっと自分が楽しむのではなくて、人を楽しませると言うか、そんなモードになりましたね。人に楽しんでもらいたいとか自分が1番楽しむのもちょっとしばらくいいや、そのタイミングで大河ドラマの「いだてん」に誘われ、チーフの下のサブとして働くというのは久々だけど、いちスタッフとして作品に貢献するのは今すごく心地よいというか。
- ともさか
- でも大根さん、何か楽しそう、もちろん大変なことも多いでしょうけど、でも一つのスタンスとして自由な感じが見ていてします。
- 大根
- 人が喜ぶ姿は楽しいなというか、幸せという感じがします。
- ともさか
- でもわたしは大根さんと逆で、自分が楽しいと思うことにもっと目を向けていきたい気がします。私は逆にスタンスとして相手がどうしたら喜んでくれるだろうということを常に考えちゃうというか、お芝居する時もどうしたら演出家が、監督が喜んでくれるだろう、演出家や監督が思い描いているとこに辿り着けるだろうということが一番に基本あって、あまり自分がどうやりたいとか、そういうのは考えたことなくって、求められてることに答えたいことだけが割と原動力だったから、もちろんそのスタンスは変わらないんですけど、お芝居すると考えた時には今までは結構割と自分を追い詰めないと何かいいものができない気がしてたんですけど、そんなストイックにならなくても、もっと楽しめるんじゃないかな。今まで自分で気が付かないうちになんか自分で色々プロテクトしていたものがちょっとずつ下ろせていっている気がしてる。もっと楽しくなるんじゃないかなという期待を持っています40代には。
何も考え事をしない瞬間
- ともさか
- 週末の過ごし方、私は今は、ミュージカル鑑賞かドライブか料理かな 。
- 大根
- ドライブはひとりでも行くの?
- ともさか
- 運転するの好き。
- 大根
- へー。知らなかったなぁ。
- ともさか
- そうですね。それ共有したことなかったかも。ひとりが多いかなぁ。
- 大根
- どのへんまで行くの?
- ともさか
- 首都高をぐるぐるまわったりとか、日中だったら、第三京浜の方が好きなんですけど夜だったら 首都高が好き。
- 大根
- 第三京浜に乗った瞬間、環八から入って、道がふぁっと開けた多摩川の感じすごい気持ちいいよね。
- ともさか
- 休日って感じがする。後は何か、例えば舞台の本番中とか撮影が終わって帰ってきて寝られない時に運転したりする。東京の街の明かりを見ながら。大根さんはハマってることはあります?
- 大根
- 本当に趣味がないので映画も見るし舞台も見るし本も読むし漫画も読むけど全部仕事に繋がってきちゃうから、素直に楽しんでるかといえば決してそうではなく、そうなると、刺身が好きで、それもお寿司屋さんや高い高級割烹とかで食べる刺身も大好きなんだけども、高くて美味しいのは当たり前で、デパ地下とかスーパーのパックの刺身が好きなんですよ。スーパーの鮮魚コーナーとかにその日の余ったお刺身、魚の切れ端を集めたもの、「切り身パック」、「酒の友」と呼んでるところもあるんだけど、いろんな種類が詰めてあるのが、すごく好きなんですよ。俺にとっては宝石箱みたいで。
- ともさか
- (笑)。
- 大根
- その切り身のパックが都内でどこか一番うまいかを10年ぐらいずっと探し求めていて、一昨年くらいにやっと見つかったんですよ。それが、成城学園前の成城石井の鮮魚コーナーにある切り身パックのレベルが高い。
- ともさか
- うちの近所のスーパー今度見てみます。その成城石井で買ったお刺身の切り身パックを食べている時が、リラックスタイムですかね?
- 大根
- そうですよね。仕事と切り離されて、何も考えない時間が想像力を刺激していると思うので刺身パックを食べているときは何も考えていない!
大根さんが監督を務め、ともさかさんも出演する映画「SUNNY 強い気持ち・強い愛」のブルーレイ・DVD が発売になりました。90年代を彩るJ-POPの名曲も劇中でたっぷり使われているのでぜひ見てみてください。