女性の幸せ

大根仁(映像ディレクター)×ともさかりえ(女優)

2019

06.21

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ともさかさんが、10代の頃からの付き合いがある大根さん。そんなおふたりが初めて一緒にした仕事をした作品は、お互いのキャリアの中でも、とても大切なものとなっています。それから満を持して、大根さんは、昨年公開された映画「SUNNY 強い気持ち・強い愛」の重要な役に、ともさかさんを抜擢します。

映画「SUNNY 強い気持ち・強い愛」の裏話



大根
最近、りえちゃんとやった仕事としては、去年公開された「SUNNY 強い気持ち強い愛」という映画がありまして、5月にブルーレイ DVD が発売されまして、内容を簡単に説明しますと、現代軸で生きてる、アラフォーの女性たちが、かつて95、96年ぐらいにコギャルだったんですね。そのふたつの時代と女性たちを行き来する物語でございます。高校時代は、「SUNNY」というチームを組んでいて、ある事情でその「SUNNY」のメンバーたちが会えなくなってしまうんですけど、大人になって再会するというお話で、その中で、「心」という役をりえちゃんにやってもらいました。高校時代は、「SUNNY」のグループの中でもめちゃくちゃいけてるコギャルというか、かわいくて、ちょっとエロくて、ビジュアルも90年代のザ・コギャル!ミニスカート、ルーズソックス、お化粧もしていけていたんですが、大人になって、いろいろありましてちょっと荒んだ生活をしている。これがとても難しい役で、原作を日本向けに書き直している時に、とても原作でもいいシーンなんだけど、これやれる人ってなかなかいないなあと思いながら、でもこの役をやってもらうには俺が多分、本当に高校時代、16歳ぐらいから知ってて、大人になってもなおかつ知ってる人がいいなと思って、あ、一人しかいない。りえちゃん!

ともさか
思い出していただいてありがとうございます。

大根
あのシーンはどうでしたかね?

ともさか
すごい難しいなとは思っていたんですけど。

大根
途中までは女子高生時代の楽しいエピソードとか、大人たちも同窓会的なムードがあるんだけど、りえちゃん演じる心が登場するところで、いきなり現実の重さに戻されるというか、物語全体に錨が降りるじゃないけど、重たくなる瞬間で、篠原涼子さんとりえちゃんのほぼ二人きりのシーンで、俺もすごくよく覚えているけど、りえちゃんの熱演によって俺も含めスタッフ全員がちょっと息を飲むようなシーンになりました。
ともさか
いやいやいや。わりと短いシーンの中で、心という女の人が学生時代から大人になるまでどういう時間を過ごしていたかというのをあのシーンだけで見せなきゃいけなかったから、プレッシャーはかなり大きかったですけど、あの撮影現場になったスナックも本当にも見事な場末感を美術さんたちが作ってくださって、本当に皆さんに素晴らしいお膳立てはしていただいたので、あとは、やるしかなかったです。今回の「SUNNY 強い気持ち強い愛」もわたしの中で記憶に残るものになったなぁと思います。

大根
そうですね。それはお互いね。普段はカジュアルに話したり、ご飯食べたり芝居を見に行ったりもしますけど、監督と女優となると、なかなかりえちゃんにカジュアルに声をかけることはちょっとできないと言うか、ここぞ!という役でしか呼びたくないんですよね。

ともさか
もっと呼んでくださいよ(笑)。嬉しいですね。


自立するしか道はない!


映画「SUNNY 強い気持ち・強い愛」では、90年代、青春の真っ只中にあった女子高生グループ「サニー」のメンバーたちが20年以上という歳月を経て、それぞれが悩みを抱える大人の女性として描かれています。

大根
「SUNNY 強い気持ち強い愛」には、いろんなタイプの女性が出てきますけれども、幸せの価値基準というのは難しいけれども、世間一般の価値観で言うと幸せな人もいて、そうでもない暮らしをしている人もいたり。女性の幸せについて「SUNNY 強い気持ち強い愛」をやる時に、考えたりもしたけど、結局答えはでなかったですけどね。りえちゃんは、女優とか、母親とかひとりの女性とか、いろんな面があるけど、それぞれの面で今幸せですか?

ともさか
今、幸せですね 。何にも乱されない感じが(笑)。

大根
せいぜい中三の息子が反抗期なくらい?反抗期ないのか?

ともさか
どうなんだろう。でも今反抗期だと思いますよ。反抗したり甘えたり、忙しそうな感じ。まだどっちにもよれない感じで。

大根
でもネガティブなこと言うわけではないけど、プライベートでは、結婚2回して離婚を2回してシングルマザーとしてお子さんを育ててという状況ですけど、表面的なプロフィールだけ見れば半ば波乱万丈という感じがするけど、今は別に波風なく幸せな感じ?

ともさか
今は何もないことが幸せだと思う(笑)。
大根
何もないことが幸せ(笑)。

ともさか
何も乱されずに家のこともできるし、仕事にも向かえるし、だから恋愛してないぐらいがちょうどいいのかなって。人と関わろうとすると、それは恋愛しかり仕事しかり、全てにおいてそうですけど、自分より相手のことが気になっちゃうんですよね。だから自分のことを絶対後回しに考えちゃうので、そうするとどんどんしわ寄せがきて自分の首を絞めるみたいなことになっちゃうんですけど、そういう意味では今のこの穏やかさが幸せになってる。

大根
これ答えがでないんですよね。人それぞれ。その振り回されてる状態は幸せという人もいるからね。

ともさか
その瞬間はなんか幸せなような気もしちゃうんですけどね。

大根
平成はそれまで昭和の時代に揺るがなかった価値観みたいなものとか女性が頼りにしてよかったものとかが全部総崩れになった時代だと思うので、本当に男がだらしなくてすいませんとしか言いようがないんですけども、どうか何にも頼らずに強く生きてくださいとしか言いようがない。

ともさか
(笑)それはそうかもしれない、もう自立するしか道はない。

大根
何にも依存するなとは言いたいですね。

ともさか
そう言い切るのも寂しいですけど、どこかでは覚悟を決めないと幸せは、掴めないのかなぁと思ったりはしちゃうかな 。


大根さんが監督を務め、ともさかさんも出演する映画「SUNNY 強い気持ち・強い愛」のブルーレイ・DVD が発売になりました。
90年代を彩るJ-POPの名曲も劇中でたっぷり使われているのでぜひ見てみてください。


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