パリに魅かれる理由
五明祐子さん(モデル)×福田麻琴さん(スタイリスト)
2019
05.24
かつてパリに留学していたことから、フレンチなコーディネイトを得意とし、著書「THE FRENCH STYLE BOOK カジュアルで女性らしいパリジェンヌな着こなし 」では、フレンチアイテムをパリジェンヌのスナップとともに紹介しています。そして、五明さんも何度も足を運ぶほど大のパリ好きです。
実はパリジェンヌたちも努力している?!
- 五明
- どうしてパリに留学したんですか?
- 福田
- きっかけは失恋なんですけど、すごく長く付き合っていたのでいろんなことが吹っ切れてしまって、
- 五明
- それ何歳の時だっけ?
- 福田
- 30歳です。世の中何が起こるかわからないんだなというのを身をもって体験しまして、人生一回しかないから、やりたいことやろうと思ったんですよ。自分の夢を改めて探ったら、私が学生の時に留学したいなと思っていて、でも仕事もすごく好きだったから、スタイリストとして独立もしていたし、雑誌でレギュラーもいただいたりしてて、
- 五明
- すごいバリバリやっている時だったよね?
- 福田
- バリバリやっていたと思います。だからスタイリストの先輩たちはみんな「よく今、決めたね」とか「すごくいい経験だと思う」と言っていただいたんですけど、やっぱり中には他の業種の方とかだと「今、キャリア捨てるはもったいなくない」とか「フリーランスなので帰ってきたら同じ仕事はないかもよ」と言われたりしましたけど、もう勢いですかね。やってしまえ!みたいな。ファッションの仕事を続けたいと思ったので、ファッションのある街に行きたくて、心からフランスでよかったと思います。
- 五明
- どうしてですか?
- 福田
- かっこいい女の人がいっぱいいました。一緒にちょっとお仕事ができたり、スナップの仕事も日本からいただいて、やっていたりしたんですけど、パリジェンヌたちを追いかけては自分で写真を撮ってとか、そこですごいファッション感が変わったのもありますかね。
- 五明
- パリジェンヌたちのリアルな?
- 福田
- 毎日のこととかブランドとか。
- 五明
- すごい、さりげないんだよね。やりすぎ感がなくて、わたしもパリに遊びに行った時に、自分で持っていった服や東京で普通に着ていた服がまったくこの町に馴染んでない瞬間があったり。
- 福田
- がんばっているのはダメですよね。
- 五明
- そう、がんばっているのは一切ダメ。
- 福田
- 「らしく」いられるというのが美しいと言うか、あとパリでヴィンテージのよさをより知りました。
- 五明
- 古いものを大事にするからね。あと、みんな人の事を気にしてない。私が何を着ていても向こうは気にしないんだけど、自分が気になってしょうがない。みんなを見てすごいシンプルですごいシックなのに私何これ?みたいな。
- 福田
- 本で読んだんですよ。パリジェンヌの寝癖のまま来ましたみたいなヘアスタイルとか、綺麗な肌は、いいわねって言われるんだけど、それをどう努力してないように見せるかを努力してるって。
- 五明
- あの人やってるなという感じではなくて、
- 福田
- いかに無造作感を作るか、本当にそれを真似して何もしなかったら、やばいじゃないですか、だからそこはダメなんですよね。ちゃんと無造作も作るということを知り、すごい納得しました。
仕事より大切なこと
- 五明
- 私もパリが好きで、昔からのパリジェンヌブーム、アニエスベーが入ってきて、スナップカーディガンを着て、ベレー帽を被って、赤いリップでみたいな、18歳の時にはじめてパリに行ったし、もうパリが好きなんだよね。あのスタイルが憧れだし、大人になってから私は子育ても終わっているので、自分の時間をやりたいことに使っています。仕事をしていく中で、仕事は仕事で、お願いしますと言われてお金をもらう。でも自分で何かを企画して自分の責任で全部やることをしてみたいなって思って、パリに行って自分の好きなものや自分が気に入ったものを見つけて限定ショップみたいなことをやりたいと思って、そのためにはやっぱり誰かに助けてもらうとその人の言うことを聞かないといけないから、ひとりで行ってみようと思って、それでちょっとフランス語も習いに行ったりとかして、交渉の時に数字くらいは言えたらいいかなと思って難しいんだけど頑張って勉強したりして、だんだん慣れてきて、街のこともわかってきて、絶対に教えたくない店とかいっぱいあるし
- 五明ふたり)
- (笑)
- 五明
- それがすごく楽しいですね。
- 福田
- 五明さんが限定ショップをやっているのを聞いて、ほんとに早く遊び行きたいんですけど、そういう生き方にすごく憧れてるんです。もちろんモデルさんとしても憧れてるんですよ、でも好きなことをしてる人はちょっとキラキラしてるじゃないですか。そういうキラキラがあって、プロフェッショナルだから仕事をきちんとやりつつ仕事より大事なものがある感じがする。私結構フランスの留学で気づいたことですがフランス人は、ヴァカンスのことしか考えていないじゃないですか。
- 五明
- わかる。でも国がまわってる。
- 福田
- 20代の頃、すごい仕事が好きだったんで、今も好きなんですけど、もう全てが仕事にまつわる延長だったんですよ。だからずっとずっと仕事していたいし、仕事仲間に会いたいし、撮影したいし、リースしたいみたいなずっと仕事のことを考えてるのが楽しかったんですけど、フランスに行って仕事より大事なものがある人がこんなにいる、それが衝撃的だったし、五明さんからそのエッセンスを感じるんです。
- 五明
- 確かにそうかも。
- 福田
- ライフスタイルもお好きな場所に住んで、あの場所のあの空気を吸いたいとかそういう感じなのかな。
- 五明
- 家が湘南のほうなので、5月は一番いい時期だから、なんならもう仕事よりBBQ(笑)。
- 福田
- そういうのって必要だなと思って。これから仕事をさらに楽しむ上でもファッションを楽しむ上でもそういう時間がわたしたちには必要なんだなと思って、あえて作らないと、と思ったりするんですよ。