恋愛、結婚のメリット
大久保佳代子さん(タレント)×村田沙耶香さん(作家)
2018
09.21
「コンビニ人間」は、恋愛、結婚、就職をしないまま、18年間、ひたすらコンビ二でアルバイトを続ける女性が主人公。まわりのひとたちはそんな彼女を異端視し、「なぜ結婚しないのか」と、ぶしつけに聞いてきます。さらには婚活目的の新入り男性があらわれ、物語は意外な方向へ。「婚活」といういまどきの恋愛事情も盛り込まれています。
文庫版の「コンビニ人間」が、文藝春秋より発売中です。
そして、村田さんの新刊『地球星人』が新潮社より発売中。
恋愛結婚は終わった?!
- 村田
- 恋愛結婚は、一時的なブームだったかなと思う時があって。
- 大久保
- お見合い結婚があり、恋愛結婚の時代があり・・・。
- 村田
- そうです。私の両親はお見合いですけど、それが普通の時代で、恋愛結婚ブームがあって、今は、セルフお見合いとか、婚活サイトとかで、条件を見るので、恋愛結婚はあんまり今ブームじゃないのかなって思う。
- 大久保
- そういう風に分けられる気もしなくもないですけどね、私がまだ年代なのか、やっぱり、すごい奇跡的な出会いがあって、一気に恋に落ちて、障害が一個ぐらいあり、それを乗り越え、結婚するっていうのがやっぱり理想と言うか、ドラマの影響とか少女漫画の世代が、恋愛結婚時代?
- 村田
- いや、わたしも恋愛結婚世代だと思うんですけど、若い人とか大学生の子と話すともう婚活をはじめていますって子がいっぱいいて、やっぱり条件がすごく大事で、後は人間として信頼できるかとかで、恋愛の部分があまり重要視されていないような気が。
- 大久保
- いらないのか?
- 村田
- いらないのかなって思うときがあります。
- 大久保
- 確かに婚活サイトとか条件を明確に出してくれるから。
- 村田
- そうです。年収とか、定時で帰れる人なのかとか、へんなマルチ商法とかにはまってないとか・・・
- 大久保
- (笑)。でもそんなマルチ商法はその時、はまってなくてもはまる可能性があるような人間かどうかはやっぱりある程度時間をかけていかないとわからない気がするんだけどね。若い世代が合理的に結婚したいってことですよね?
- 村田
- 学生さんとかで私の「コンビニ人間」を読んでくれて、古倉さんの気持ちが分かって、自分は処女だけれど、それがしんどい、早くそうじゃなくなりたいとか言われて。でも、今ももちろん素敵な恋愛をしている人はいっぱいいると思うんですけれど。
- 大久保
- ね。
恋愛の醍醐味
- 村田
- 村田さん自身は恋愛欲があるんですか?恋愛されているのかもしれないし。
- 大久保
- 恋愛をするのは好きです。
- 村田
- 告白が好きで、昔から、私は男子とあまり喋れないような内気な思春期だったけど、告白無罪と思っていて、告白の時だけは待ち伏せしようが急に話しかけようが、何をしても告白の時は無罪みたいな。
- 大久保
- それはいいんですが、学校では全然しゃべらない女の子なわけだよね?
- 村田
- そうですね、急に待ち伏せして。
- 大久保
- 今聞いてても怖いと言うか、それをやることで周りが、「ほら村田がさぁ〜」と翌日、みんなに噂話をされる怖さとか、そういうのはあまり想像しない?
- 村田
- あまりそういう目に幸運なことにあわなかったですね。普通に「ありがとう」とか言ってくれたり。
- 大久保
- 見る目があるのかなぁ。いい男の子に告白をしてきたのかもしれないですね。
- 村田
- 性格がいい子が多かったのかもしれないですね。言いふらされたりとかもなかったです。
- 大久保
- 私はちっちゃい頃、トラウマがあって、告白はもう一切しないって決めたんですよ。今でも好きアピールは何となく匂わすけど、最終的には告白をしてもらえるように何かこう根回しする。
- 村田
- すてき。大人の女性の恋愛はそういう感じ!わたしはとにかく、告白は無罪だからとにかくする。友達が片思いをしてると、とにかく告白すると楽しいよって言います。告白されているところが見られるし。
- 大久保
- 告白されているって相手の男の子のこと?
- 村田
- 好きな男の子の告白されているバージョンが見られるし楽しいよって、告白をすすめていて。
- 大久保
- 好きな人の告白されているバージョンの顔が見られるというのは、第三者として見るならいいけど、自分が告白している時に見られても。あ、小説家さんだからかな、だって俯瞰で見れるってことでしょ?
- 村田
- そうですね。かっこよく、ちょっと冗談とか言っている余裕がある感じで受け止めるんだ、素敵だなぁ、とか。
- 大久保
- そんな余裕はないです。ちょっとでも「あっ」という顔を見逃さないわけでしょ?困っている顔とかも。
- 村田
- でも告白ってわりと、なんとなく嬉しそうな場合が多い気がする。ちょっと嬉しいけど「付き合ってる人がいるんだ」とか、そんなような気がします。
- 大久保
- たしかにね。はっきりさせるのが嫌なんだよね、きっと。絶対うまくいかないだろうっていうなんかネガティブになっちゃうから。
- 村田
- 大人の恋愛をしてみたいです。モテる人って、会話とかで相手に告白してもらうんだっていう風に言ってる人を見ると、私は告白無罪とかよくわからないこと言って、急に告白するの、どうだったんだろう。
- 大久保
- でもわたしそんなにモテるわけでもないし、そんな器用じゃないから、雑ですよ。夜中に電話をワン切りするとか。
- 村田
- そうするとかかってくる?
- 大久保
- かかってくれば、御の字というか、やったー!だし、かかってこなかったとしても夜中にワン切りなんて、また酔っ払っているな、こいつっていうくらい。次会った時も「ごめん。なんか酔ってかけちゃったかも」っていう保険的な感じにできるから、嫌がらせのようにワン切りばかりしていた。夜中の3時に(笑)。
- 村田
- かわいいですね。
- 大久保
- すごくポジティブでいいほうに見てくれたけど、なんだよ、こいつっていうリクスも絶対あるから、最近はもっぱらしなくなっちゃった。大人になりましたよ。
文庫版の「コンビニ人間」が、文藝春秋より発売中です。
そして、村田さんの新刊『地球星人』が新潮社より発売中。