コムアイが迫るひらのワールド
コムアイさん(水曜日のカンパネラ)×ひらのりょうさん(アニメーション作家)
2018
07.13
コムアイさんがヴォーカルを務める音楽ユニット「水曜日のカンパネラ」は、ハウス、テクノ、チルアウトなどを踏襲したエレクトロサウンドと独自の歌詞やパフォーマンスで日本のみならず、世界各地から注目を浴びています。一方、ひらのさんの作品は、文化人類学、フォークロアやサブカルチャーなどをモチーフにポップでありながら摩訶不思議で、一筋縄ではいかない作風が魅力。その作品形態も、アニメーション、イラスト、マンガ、紙芝居など様々です。
水曜日のカンパネラのボーカルとしてだけではなくファッションショーでランウェイモデルを務めたり、昨年は、TVドラマで役者デビューを果たすなど、その活動は多岐にわたるコムアイさん。そして、この度、現在公開中の映画『猫は抱くもの』で、銀幕デビュー。「キイロ」という名の、猫を擬人化した役として出演されています。そして、劇中のアニメーションを担当されたのが、ひらのさんです。
映画「猫は抱くもの」は、現在、新宿ピカデリー他、全国ロードショー中です。
ひらの作品のおもしろさ
- コムアイ
- はじめまして。よろしくお願いします。
- ひらの
- よろしくお願いします。
- コムアイ
- ひらのさんはアニメーションを何年やっています?
- ひらの
- 大学時代からなので、2011年からですね。
- コムアイ
- もっと長いと思っていました。多分、一番最初に平野さんの作品を見たのは、私が大学にいた時に、図書館にDVDがあったんです。それがお化けのアニメで、お化けは、想像上の生き物なのにお化けが想像するシーンがあって、そこがうまいなと思って。
- ひらの
- お化けが空中に浮かんでいるみんなのメールを盗み読みして、そのデートの様子を想像するっていうシーンがあって確かにそう言われると・・・。
- コムアイ
- そう。想像上の生きものが想像し返しているというか。
- ひらの
- その発想はなかったです。
- コムアイ
- 覗いている穴は向こうから覗かれているみたいな感じ。そこが一番気に入って。
- ひらの
- 見ていただいていてうれしいな。
- コムアイ
- ひらのさんがやってらっしゃっていたのは、その時、たぶん、ガラケーですけど、みんなが携帯とかでメールをしてる文字が電波になって空気中をいっぱい飛び交っている、その舞台は田んぼ?
- ひらの
- 僕の出身の春日部です。
- コムアイ
- まぁ春日部なんですか?しぶいー!
- ひらの
- 田んぼがあって携帯の中継機が一番でかい建物なんですよ。
- コムアイ
- 目立つんだ!
- ひらの
- そこに向かってみんなのメールが飛び交ってて
- コムアイ
- 春日部のメールは全てそこを中継して(笑)。
- ひらの
- 世界中に飛んでいくみたいな。
- コムアイ
- お化けからしたらその辺にいると、いろんなのが見えて
- ひらの
- 目に見えないメールの電波を目に見えないお化けが集めているというアニメーション作品を作らせてもらって。最初は、タイポグラフィというテーマを渡されたんですよ。でもタイポグラフィの意味が全くわからないというか
- コムアイ
- 嘘でしょ?美大出身ですよね?(笑)。
- ひらの
- デザイン的なかっこいいタイポはわかるんですけど、それをやるセンスはなくて、何も思いつかなくて、自分の身近にあるタイポグラフィはなんだろうと思ったら、文字がでてくるものはEメールかなと思って。現実では生きてはいないお化けが、その生きてる人のEメールを盗み見して、恋に焦がれるという作品を1分ぐらいで作れないかなと思って。
- コムアイ
- えぐい!
どこまで猫感を出すのか
水曜日のカンパネラのボーカルとしてだけではなくファッションショーでランウェイモデルを務めたり、昨年は、TVドラマで役者デビューを果たすなど、その活動は多岐にわたるコムアイさん。そして、この度、現在公開中の映画『猫は抱くもの』で、銀幕デビュー。「キイロ」という名の、猫を擬人化した役として出演されています。そして、劇中のアニメーションを担当されたのが、ひらのさんです。
- ひらの
- 初めての映画?
- コムアイ
- 映画は初めてですね。
- ひらの
- ちょっと変わった撮影の仕方でしたが、猫のキイロ役はどうでした?
- コムアイ
- 内容を読んで違和感がなかったんで受けたんですけど、理解できるし。何かに固執していないキャラだからすごくやりやすいというか。何かに強い思いを持っているキャラクターは、向いてないと思うんですよ。
- ひらの
- 一生懸命何かに向かっていくみたいな?
- コムアイ
- そう!あの夢を叶えるんだ!みたいなキャラクラーは向いてないと思っていて
- ひらの
- それって自分に近いってことですか?
- コムアイ
- そうそう。キイロはそんなに遠くなくてやりやすかったです。猫になるっていう感覚でやらなかったんですけど。
- ひらの
- 猫役をやるにあたってみんなでお話されたりしたんですか?どう猫をやろうかみたいな?
- コムアイ
- どこまで猫やろうかみたいのはいつも話していたんですけど、猫の動きをこういう風に動くと猫っぽいというのを教えていただいて、どこまで出すかはそのキャラクター次第みたいな感じで。ひらのさんは大事なシーンを実写の映画なんですけどアニメになるシーンを担当されたんですよね?
- ひらの
- 実写に加わるというところを考えると、すごく難しくて。
- コムアイ
- 珍しいパターンですよね?
- ひらの
- なかなかないですから、どの程度書き込んでだらいいのかっていうのもありますし、あまり書き込みすぎるとアニメーションに寄っちゃうし、書き込みしなさすぎると手抜いているなと思われるのもアレだし。
- コムアイ
- (笑)。
- ひらの
- 先ほど演技の上どのくらい猫を出すかと言っていましたが、アニメーションの猫は二足歩行で走らせた方がいいですか?みたいな。
- コムアイ
- それおもしろいですね。
- ひらの
- リアリティーがすごくファジーな作品で、それが魅力になっている部分もあるからアニメーションになった時にそれをどっちに寄せたらいいのか、すごい悩んだというか、監督と相談しながら作りましたね。
- コムアイ
- なるほど。
- ひらの
- もっとコミカルにもできるし、なんでもできちゃうので、自由すぎるゆえに、もしかしたら猫の演技をされる方と同じで自分がどういうバランス感覚でやったらいいのか。
- コムアイ
- そうですね。身体的にはスタイリングでは、全員猫耳は付いていなんですよ、でも、爪が長くて。わたしは黒い爪だったんですけど、そこはやるんだみたいな(笑)。
- ひらの
- あーなるほどね。部分部分で猫感が出てくる。
- コムアイ
- 猫耳だとコスプレっぽくなるから、そうじゃなくて、人間の範囲で”ぽい”ものやりたかったなと思います。服は全部キャラクターですね、柄とかよりも。
- ひらの
- 服装でその人の性格ががっつり見えてくるという。
- コムアイ
- そうですね。
映画「猫は抱くもの」は、現在、新宿ピカデリー他、全国ロードショー中です。