なりたい自分をイメージする
中塚翠涛さん(書家)×神崎恵(美容家)
2018
06.22
手がける著書は次々とベストセラーとなり、美に関する執筆や講演などで、多忙を極める神崎さん。今まで誰も思いつかなかったキャッチーなタイトルやユニークな表現で女性の心をつかみ、”美のカリスマ”と言われています。そんな神崎さんが、本格的に美容家としてデビューしたのは、35歳の時でした。
神崎恵さんが手がけた初めての「生き方本」、「わたしを幸せにする41のルール」は、廣済堂出版より発売中です。
キレイの力を伝えたい
- 中塚
- 美容家になろうと思ったきっかけはなんだったんですか?
- 神崎
- 一番は、綺麗っていう力ですよね。美人とかスタイルがいいとかではなく、自分の中での感覚で、自分がちょっと今日はきれいだなと思える感覚こそ、わたしは生きる力のひとつだと思っていて、いままでできなかったことにチャレンジしてみたりとか、ちょっと遠くまで行ってみようかなと思ってみたりとか、好きな人に声をかけみようかなとか、そういうちょっとした力が生まれるものだなと感じてきました。講座やイベントで生徒さんにメイクをしたりするんですけど、80代、90代のおばあちゃんをメイクすると、みなさんいらっしゃる時はメイクもされていないし、歩くのもゆっくりで、がんばって歩いて来てくださるんですけど、メイクを終えた頃には本当に生まれ変わっているんですよ。背筋もまっすぐになっていて、頬とかもチーク塗る前から蒸気していて、目もキラキラしていて、それを目の当たりにすると美容は奇跡に近いなと思っていて、それをひとりでも多くの女性に伝えたいし感じて欲しいし、わたしも感じたいなという思いで、綺麗の力を伝える仕事をしたいなと思ったんですよね。わたしの場合は美容の世界に入りたいと思った時に自分の得意なことやまだ誰もやっていないことを考えたんですよ。同じことをやっても勝ち目がないし、入る隙がないから今、表にないもので、尚且つ、わたしがちゃんと武器として持っているものはなんだろうと、考えて、その中で見えてきたのが、とにかくひとつひとつちゃんと試して、実感と感想をまず貯めようと思って、百貨店に1日中いたりとかドラッグストアを渡り歩いたりとか、支持されるものが違うから時間がある時は大阪とか福岡とかに行って、調べてメモしてという生活をしたりとか・・・。また、わたしが母親という立場だったので、心の余裕もなくて、時間もない中でお母さんたちが楽しくなるような美容を考えたりして実感とデータをとにかく作れるように発信できるように準備をしたというか、その準備したものを持って、例えば編集の方と話す時にそれを伝えたりとかブログに細かく書いてみたりとかというようにまだ誰もしていないことに力をつくすために時間を使っていた感じですかね。中塚さんはどうですか?
- 中塚
- 当時は努力と思っていなかったんだろうなって、もうがむしゃらだったと思いますね。とにかくがむしゃらに、わたしもちょっと似ているかもしれないですけどとにかく街の看板を撮りまくっていました。手書き文字は、こんなに溢れているんだなと思って、日本国内国外問わず、英語のものも日本のものも、それはその文字からどんなイメージを受けて、このお店に入っていくかなとか、とにかく自分でそのストックをしていって、わたしはこの灯りでこういう雰囲気のお店だから自分だったらこうやって書くとか、そういうプレゼンシートではないですけど、当時はトレーニングのため使っていたことはありましたね。
自分なりの試行錯誤を繰り返す
- 中塚
- 「念ずれば花開く」という言葉があるじゃないですか、でも念じてるだけでは、ダメだということを実感して、やっぱり自分の足で歩いていかないというのは感じますよね。
- 神崎
- 願いだけで叶うとか、楽して〜とか魔法のような言葉が溢れていて、わたしは綺麗な魔法は見たことがあっても思うだけで何かが手に入る魔法は全く見たことはなくて、中塚さん含め、わたしの周りにいる方はみんなものすごく努力している。練習したりもするし、足を動かし手を動かし、頭を動かし、いろんなことに時間をかけて
- 中塚
- 自分なりの試行錯誤をしますよね。
- 神崎
- するよね。苦しんで、悩んで、ただそれが表に見せてないだけで、その扉をひとつ閉めたら、わたしの中は努力だらけで、わたし自身もそうだったし、願うだけで大丈夫ってゆるやかに生きてきたら、たぶん今の仕事はできていないと思うし、とにかく頭を使い、手を使い足を使って前に進んでいますけど。
- 中塚
- 努力を見せる見せないは、人それぞれで、その先に自分がどうなりたかとか、どういうイメージの人になりたいのは考えていたら、努力をしていることをすっかり忘れてしまうというか。
- 神崎
- そうそう、歯を磨くような感じになってくる。特別なことではなくなってきて、それをちゃんとイメージできたり、心の中にあると、やるべきこともたくさん見えてきて、もう時間が足りない。時間って大事だなと思って生きています。
- 中塚
- 大事だと思うし、やりたいこともやらないこともたくさんあるのに、わたし、その中にのんびりすることも入っていて、すごい困っているの!
- 神崎
- 大事!わたしも余白をちゃんと作る、それは頭の中にも気持ちの中にも、日々の単位でも思っていて、詰めすぎると、
- 中塚
- パンクしてしまいますもんね。
- 神崎
- そう。中塚さんのSNSでたまたま見た海外の景色なんですけど、空と何もない景色が広がっているお写真に、「朝、制作前の散歩」という言葉がついていて制作前に心を透明にする時間をちゃんと作って、朝、お散歩に行っているんだというのはとても印象的で、こういう余白の作り方って、とても重要だなって忙しくなると、いつも思い出すんですよ。
- 中塚
- 嬉しいです。制作の一環に自然と戯れる時間をなるべく作っていけたらいいなと思っていたんですけど、短い文章の中でそんな風に汲み取ってくれて嬉しいです。
- 神崎
- お散歩って何もない時間じゃないですか。大人になると、なかなかそういう空白の時間を自分で作るのは勇気がいる。でも実際に思いきって休んでみたり、心を休めたり、自然のものを感じたりすると、返ってとってもいい!景色が鮮明に見えたり気持ちがやわらかくなったりするのを実感して、それはわたしも取り入れるようにしました。
- 中塚
- 光栄です。日常の中に閃きがあるとある方から教わったんですね。ある時計師さんに出会ったんですけど、その方は、パーペチュアルカレンダーを閃いた方で、それはすごい発明なのに「どんな時に閃いたんですか?」ってお尋ねしたら、「ライン河をお散歩している時だよ」って言われたんです。お散歩の途中にそんなすばらしいことを閃いて、こんな簡単に話していることが衝撃だったんですけど、でもその時にほんとうは日常の中にたくさんヒントが隠れていて、自分が耳を澄ましていなかったんだなっていう風に思うと、常に頭の中に引き出しを置いておいて、それを調味料みたいに混ぜていったりとかできたらいいなという風に思うようになりました。
- 神崎
- なんでもない時にふと思いついたりしますよね。お風呂入っていたり、ボーと空眺めていたり、運転していたり、そのもののことを考えてない時間のほうが浮かんできたり、思ってもみないところで何かが生まれるのは感じますね。
神崎恵さんが手がけた初めての「生き方本」、「わたしを幸せにする41のルール」は、廣済堂出版より発売中です。