日本人は我慢しすぎている
寺島しのぶさん(女優)×平貌愡劼気(映画監督)
2018
05.18
ともに、パートナーが外国人であり、母親でもあるといった、共通点もあるおふたりがタッグを組んだ映画『オー・ルーシー!』では、東京でOLとして生きる主人公、節子が感じる、都市生活ならではの生きづらさも描かれています。おふたりにとって、海外と比較して”日本”という国はどのようにうつっているのでしょうか。
おふたりにとって心地よい週末の過ごし方とは?
映画『オー・ルーシー!』は、4月28日より、ユーロスペース、テアトル新宿他にてロードショー。
心を打ち明けることの大切さ
- 平
- 日本人は優しいですよね。基本的に。映画の中で描かれているのはどっちかというと日本というよりも東京の問題のような気がするんですよね。あと都市とか、それはNYでもパリでもやっぱり人がたくさんいて、自分のサバイバルだけしか考えられなくて、まわりにいる人はみんな敵だという恐怖心から、こういうシチュエーションになってしまうんですよね。地方に行くと、ちゃんとコミュニティーがあって節子みたいな人もお祭りに来たり、隣のおばちゃんが「せっちゃん」って言っておまんじゅうを持ってきてくれると思うんですよ。だからそういうコミュニティーを見つけるのが大事だと思うんです。そういうのはアメリカのほうがうまいです。グループとかで一週間に1回会ったりとかして、自分と同じような感覚をもってる人たちとのグループができると自分の居場所をみつけやすいのではないでしょうか。
- 寺島
- 日本人は心を打ち明けたくないという文化だからカウンセリングとかやったら本当に楽になるんだけど、そこを踏み出せない、体の病気は恥ずかしくないけど、心の病気は、はずかしいみたいのがあるんだよね。
- 平
- たしかに。
- 寺島
- でも節子さんはアメリカで生きたほうが生きられたかもね。
- 平
- 例えば、育児は孤独だからその時は、必ずマミーグループっていうのがあるんですよね。特にはじめての子供はわからないので、そこで自分のフラストレーションとかを打ち明ける。そういうのが大事じゃないかなと思う。例えば、タバコやめられない人が集まったり、汚部屋をどうやったら掃除できるんだろうとか、コミュニティがあるのが大事ですよね。
- 寺島
- 日本は我慢しすぎているんだよね。隠しすぎてるし。言ってしまうことが弱い人間だと思ってしまうんだよね。
- 平
- 助けを求めるのが嫌だったりね。
- 寺島
- そうそう。旦那が弱っている時にわたしは「ちょっと弱ってないで立ち上がれ!」みたいに思ってしまうんだけど、
- 平
- (笑)。
- 寺島
- ほんとうに弱っていたみたいで「ハグひとつで僕は救われるんだ」って言われたの。こんなことで救われるの?って思ったんだよね。
- 平
- してあげたんですか?
- 寺島
- してあげた。でも絶対に救われるわけないと思って、それくらいハグが身近なものではないから、節子さんはびっくりしたんですよね。
Curate your week-end ! おすすめの週末の過ごし方
おふたりにとって心地よい週末の過ごし方とは?
- 寺島
- 新陳代謝を高めたほうがいいと思う。ということはスポーツ。
- 平
- ドーパミンでますしね。
- 寺島
- 汗をかくことをしたほうがいいと思う。わたしは庭で息子とサッカーしたり、確実に体が熱いという感覚になりたいなと思う。血が巡っているという風に思えること。でもそれはホラー映画を見るとかなんでもいいと思うんだけど、わたしはその巡っている感が、汗だからお風呂入って汗をだらだらかくとか、そうすると生きてる感じがするんですよ。
- 平
- わたしは友達に言われて気づいたんですけど、15分でもいいから自分だけの時間を作る。なんでもいいけど、ホラー映画を見るでもいいし、好きな本を読むとか、コーヒーを飲むとか15分じゃ足りないですけど、ないよりはいいですよね。自分にはないのでそれがあるだけで変わるような気がします。自分勝手な時間は必要だと思います。
映画『オー・ルーシー!』は、4月28日より、ユーロスペース、テアトル新宿他にてロードショー。