演技はスポーツ
寺島しのぶさん(女優)×平貌愡劼気(映画監督)
2018
05.04
日本人女性監督の作品として初めて、カンヌ国際映画祭批評家週間部門に出品。また、「インディペンデント・スピリット賞」ダブルノミネートという快挙を成し遂げた『オー・ルーシー!』。さえない日々を送る独身OLが、ふとしたきっかけで出会った英会話教室のアメリカ人講師に恋をしたことで巻き起こる騒動を描いた作品。17歳でアメリカに渡った平柳監督が、実際にアメリカで感じたご自身のアイデンティティにまつわる葛藤も反映されています。
歌舞伎という伝統芸能一家に生まれた寺島さん。その中で、自らの道を模索しながら、役者としてのキャリアを切り開いていきました。2008年には、文化庁芸術祭賞優秀賞を受賞。実力派舞台女優として高い評価を得て、その後、映画界においても、日本アカデミー賞最優秀女優賞をはじめ、ベルリン国際映画祭銀熊賞、女優賞を受賞されるなど、その演技は、世界で認められています。
一方、平亡篤弔蓮▲縫紂璽茵璽大学大学院映画学科時代に制作した短編映画が高い評価を得て、その後、桃井かおりさんを主演に迎えた短編作品もカンヌ国際映画祭、学生映画部門で第2位、トロント国際映画祭などをはじめ各国で35を超える賞を受賞し、注目されました。ちなみに、プライベートでは、極真空手黒帯初段保持者の顔もお持ちです。
映画『オー・ルーシー!』は、4月28日より、ユーロスペース、テアトル新宿他にてロードショー。
居場所を求める
- 平
- 主人公役を決める際、もらったリストの中に寺島さんの名前が入っていまして、すぐに寺島さんだ!と直感で決めました。あまり日本映画を知らなかったわたしが大学院でアメリカ人の日本映画が好きな友達に「日本映画でいいのって何?」って聞いたら、『ヴァイブレータ』と言ったんですね。
- 寺島
- お!
- 平
- その時に寺島さんの演技を知っていて、日本にもこういう女優さんがいるんだなというのを覚えています。それが7〜8年前の話で、それがあったので、寺島さんの名前を見た時に彼女しかいないと思いました。わたしが勝手に解釈しているんですけど、歌舞伎の世界というルールが多く、日本の文化や歴史などを背負って、まわりから見られているファミリーに生まれて、ある意味、窮屈さみたいのを感じながらそこに対する反発心みたいのがある方だなというのを感じました。それは役に反映しているような気がしますね。
- 寺島
- 環境が自分の中では当たり前で生きてきたんだけど、どっか窮屈かもというのは、どんどん年齢がたつにつれ、思ってきていましたね。歌舞伎の世界は、男社会なのでその中で女がどうやって生きていくのかについて常にもやもやしていた時期は長かったですね。
アスリートと空手家
歌舞伎という伝統芸能一家に生まれた寺島さん。その中で、自らの道を模索しながら、役者としてのキャリアを切り開いていきました。2008年には、文化庁芸術祭賞優秀賞を受賞。実力派舞台女優として高い評価を得て、その後、映画界においても、日本アカデミー賞最優秀女優賞をはじめ、ベルリン国際映画祭銀熊賞、女優賞を受賞されるなど、その演技は、世界で認められています。
一方、平亡篤弔蓮▲縫紂璽茵璽大学大学院映画学科時代に制作した短編映画が高い評価を得て、その後、桃井かおりさんを主演に迎えた短編作品もカンヌ国際映画祭、学生映画部門で第2位、トロント国際映画祭などをはじめ各国で35を超える賞を受賞し、注目されました。ちなみに、プライベートでは、極真空手黒帯初段保持者の顔もお持ちです。
- 寺島
- 監督は空手家だから、人をこういう人間だなという見極めや直感がすごくある人だと思う。それは、監督として技術だと思うんだけど、いろんな指導の仕方があるじゃないですか、役者さんによって、この人には何も言わないで野放しのほうがいい、この人には端的なことをダイレクトに言ったほうがいいとか、この人はここまで言ったら大丈夫なのかなというのを観察できる人だから的確だと思うし、お芝居中心で見てくれるというのは、嬉しいなと思いますよね。イメージとちょっと違ってもおもしろいと思ったらおもしろいと言えちゃう。スパンとしたところが空手家なんだよね。
- 平
- そうなんですかね。わたしとしては正直か正直じゃないか、だけですけどね。その演技がちょっと違っても、正直な感覚でその場、その日の気候とかロケーションによって何かが変わったりするんですけど、直感で「あーこれでいいんだ」というのだけを信じて、撮り続けていた感じ。どっちかというとわたしは俳優さんが何をもってきてくれるのかをいつも楽しみにしながらそれとのコラボレーションとエネルギー的なもの、バイブレーションを感じながら見ていますね。寺島さんはアスリート。俳優さんはテクニックの人もいるし、メソッドみたいな人もいるけど、スポーツとしてやっている感じがしたんですね。それがやりやすかったのかもしれませんね。
- 寺島
- 役者から学ぶことはないもん。わたしはアスリートから全てを学ぶ。勉強になることばっかり。スポーツばっかり見ているしね。
- 平
- そうですよね。スポーツ好きですよね?
- 寺島
- アスリートと言われて嬉しい。
- 平
- わたしも俳優をやっている時にアスリートとして取り組んでいたので、運動は、練習すればするほど筋肉がついたりとか目にみえる成果みたいのがあるんですけど、俳優は、演技はうまくなるけど、それだけで役がもらえるわけでもないし、コントロールできない部分がたくさくあるんですよね。そういうところが寺島さんがもどかしいと思っているんじゃないかと感じますけどね。でも寺島さんはほんとうに努力家ですもんね。コツコツ目に見えないところで舞台やったり、チャレンジする人なんですよ。そのチャレンジする精神がアスリートだと思います。
- 寺島
- なるほどね。
- 平
- あと恐怖心に立ち向かっていく。
- 寺島
- そうだね。
映画『オー・ルーシー!』は、4月28日より、ユーロスペース、テアトル新宿他にてロードショー。