結婚して変わったこと
松尾スズキさん(作家、演出家、俳優)×優香さん(女優)
2017
10.22
昨年、NHKのドラマ「ちかえもん」で共演した、松尾さんと優香さん。そのドラマがきっかけで、優香さんは、同じ共演者の青木 崇高さんとご結婚されました。松尾さんも新婚真っ只中。そこで、おふたりに”夫婦”をめぐるお話をお聞きしました。
松尾さんの新作エッセイ「東京の夫婦」は、雑誌「GINZA」の連載を一冊にまとめたもの。2014年に「一般の女性」の方、M子さんと再婚した松尾さんの結婚生活が綴られています。
松尾スズキさんの新作エッセイ「東京の夫婦」はマガジンハウスより発売中です。
家族を作った時に東京の人になれた
松尾さんの新作エッセイ「東京の夫婦」は、雑誌「GINZA」の連載を一冊にまとめたもの。2014年に「一般の女性」の方、M子さんと再婚した松尾さんの結婚生活が綴られています。
- 松尾
- 東京だからこそ出会えた夫婦は、いっぱいいますよね。僕は福岡出身だけど、妻は茨城で、普通だったら出会うはずがない人をくっ付けてしまう街が東京なのかなという気がして、そこでの実際の生活はどんなものか、逆に地方の人たちとか興味があると思って、それを「GINZA」という東京のファッションを伝える雑誌でやるのはどうかなということですね。不思議だもんね。地方生まれと地方生まれの人が出会って、家を買ったりして東京の人になってしまうじゃないですか。優香ちゃんはもともと東京なのでそんなイメージがないでしょうけど、家族を作った時にやっと東京の人になった感じがあるんですよね。
- 優香
- 独りでいるよりも。
- 松尾
- 独りでいると仮住い感があるから。僕は就職しているわけでもないし、永遠のフリーターみたいなもので。
- 優香
- 今、結婚何年ですか?
- 松尾
- 4年目かな。間違えると大変なことになるんだよ。怖いもん。一回、名前を間違えたことがあって、
- 優香
- 名前を間違えるってどういうことですか?
- 松尾
- しっかりしていないんですよ。とんちんかんなんですよ。自分の名前だって平気で間違えるのですから。常にいろんなことを考えているので記憶が混ざり込んでしまうんですよね。時々、表情を注意さえることもあるんですよ。楽しく話していたはずなのに、ふっと仕事のことを考えて黙り込んでしまう時に、”わたしに何か隠し事をしているんじゃないか”とね。
- 優香
- 常に疑われているじゃないですか(笑)。
- 松尾
- それくらいしっかり俺のこと考えてくれるんだね。
- 優香
- よく見てくれているんですね。
- 松尾
- この本にも書いているけど、手続きや掃除が苦手だし、Tシャツも畳めないし、とにかくそういうことで滞っていたことを全て解決してくれて、ちゃんと付き合いたいなと思えた。便利ということだけではないですけど、支えようとしてくれる感じがすごくありがたくて、支えられないと生きていけないと思ってしまって。
- 優香
- 確かにM子さんは、松尾さんを支えていますよ。いつも心配そうな感じで松尾さんを見ています。
- 松尾
- 僕、お金のことがダメなんですけど、彼女は、元銀行員だし、福祉の大学出ているし、母親の施設の移動の手続きとか全部やってくれる。まず僕は施設の人が何を言っているのか理解できない状況の中、”はい、わかりました”と進めてくれたりとか。本にも書いたけど、小学生の時にプリントがまわってくるけど、それが読めない子供だったので、いつもとなりの誰かに助けてもらって、その助けてもらった人が、妖精みたいに見えるんです。
まだ恋愛感情は、ある?
- 松尾
- 夫婦は、何年も経つとただの家族になるじゃないですか、でも、今は、まだ友達でいられるなというか。
- 優香
- 友達?
- 松尾
- 友達のように遊べる。昨日も一緒に映画を見に行ったりしたし、カラオケも行くし。
- 優香
- 仲良しですね。
- 松尾
- 僕、友達がいないんで。
- 優香
- 友達であり、恋人であり・・・。
- 松尾
- 友達代表みたいな感じかな。30代、40代はすごく、働いていて、全然遊んでないのよ。50代になってもまだ働いているから遊びのマイルが貯まっているというか、普通にコンサートや映画、旅行に行ったりなど全然やらなかったので、それをやりたいなと思っています。
- 優香
- 松尾さんと似ていますけど、わたし、やりたいことリストを作っているんですよ。ここ行きたかったなとか、その時、思っていてもしばらくすると忘れちゃうんですよ、だから忘れないようにカレンダーに書いておくんですよ。
- 松尾
- いいですねー。
- 優香
- それができなかったらまた次の月に書いておいて、したことを消していくとストレス発散にもなるんですよね。忘れないようにいろんなことをやっていこうかなと。今年は、ねぶた祭に行きたいと思って、実際に夏に行きました。自分の時間もお仕事も大事だし、もうひとつ夫婦の時間も大切にしたいなと思いますね。やっぱり楽しいですよね。
- 松尾
- 楽しくないとダメですね。
- 優香
- 1日1回は、笑っていますね。
- 松尾
- 最近は何で笑いました?
- 優香
- 映画を見て、その中のモノマネをしたりとか、くだらないことですね。
- 松尾
- 俺もすっごい家でふざけている(笑)。
- 優香
- どういうふうにふざけるんですか?
- 松尾
- 例えば、ニュースを見てその人のモノマネをしてるとか。
- 優香
- 松尾さんは、家でじっとしていないんですか?イメージだと、ずっと同じ場所に座ってそう。
- 松尾
- じっとしていないね。座る場所が何箇所かあって、なんとなく移動している。
- 優香
- ひとりの空間はあるんですか?
- 松尾
- 仕事場はある。
- 優香
- 男の人は、ひとりになる空間は、大事って言いますよね。
- 松尾
- なんでですかね?女はそうじゃないの?
- 優香
- 本を読む時にひとりで読みたい人もいると思いますけど。
- 松尾
- ちょっとした悩みなんだけど、夜、本を読みづらくなった。なんか意味があるの?みたいになっちゃう なんとなく一緒にいる時は一緒のものを見るみたいになって、俺、いつ本読めばいいんだろうなって。
- 優香
- そういう時はひとりの部屋で読むんですか?
- 松尾
- ずっとそうしなかったので、俺がひとりで部屋で本を読むとなんか意味がでるんだよね。スケベな本でも・・・
- 優香
- ずっと疑われていますね。気になって仕方ないんですね。
松尾スズキさんの新作エッセイ「東京の夫婦」はマガジンハウスより発売中です。