変わりつつある「主婦」の定義
黒田知永子さん(モデル)×今尾朝子(雑誌「VERY」編集長)
2017
08.27
最近では、男性の「専業主夫」も珍しくなく、その概念や捉え方もすこしずつ変わってきています。では、時代とともに主婦に対するイメージは、どう変化していっているのでしょうか。実際に、主婦でもあるおふたりにお聞きしました。
ママの立ち位置が確立された
- 黒田
- 私は、また働くとは夢にも思っていなくて、結婚をしたかったし、専業主婦がやりたかったから。でも、たまたま誘ってもらったら、そんなことできるんだ!また働けるんだ!と、すごいびっくりしたの。
- 今尾
- 周りはまだ働いているお友達とかは?
- 黒田
- まだ今ほどみんな働いてなかったんじゃないかな。もちろん働いている人もいるけどけっこう専業主婦が多かったよね。
- 今尾
- そうですね。「VERY」創刊当時は、専業主婦の方を対象に雑誌を作らせていただいていたし、今はアンケートをとると、何かしらお仕事をさせている方が過半数くらい、ちょうど半々な感じですかね。あの頃、お子さんまだ幼稚園だった?
- 黒田
- 幼稚園だった。何かやりたいけど、まだ子供が小さいからできないし、誘ってもらったのがもっと早かったら、できていたかどうか、決断したかどうかもわからないけど、タイミングもよかったし。子供と学校と家の世界以外に自分だけのいく場所があるのは気分転換になって楽しかったという記憶はある。帰り途は夕飯のこと考えていたけど、出て行く時は違う場所に行く感じだったかな。ところで、読者調査していて、昔と今とはママたちは違うの?
- 今尾
- 全然違いますね。
- 黒田
- みんなが求めているものも違うの?
- 今尾
- そうですね。今、衝撃的だったのは、お洋服は安ければ安いほどいいですよねって投げかけられた時ですね。昔の読者調査では憧れがあって、いつかは
- 黒田
- シャネルを買おうとか
- 今尾
- そういうのがあったりする方たちに話しを伺っていたから、でも、「お洋服はそうだけど、ジュエリーは旦那さんが大事にしたらと言ってくれるし、私も買いたいなと考えているんですよね」とか何気ない、いろんなお話が日々の雑誌作りにいかされるんですけど。
- 黒田
- 私たちの時は、プチプラアイテムを買う場所もなかったもんね。
- 今尾
- ユニクロなかったですもんね。
- 黒田
- ZARAもなかった。だから自分のできる範囲でいろんなもの取り入れて、かわいくおしやれをすることがやりやすくなっているんだね、今。
- 今尾
- そうですね。あと、時代が変わって、主婦というかママに優しいお洋服、家で洗っても次の日にはシワなく乾いて綺麗に着られますとか、晴雨兼用で雨が降っても大丈夫というお洋服が増えたので。
- 黒田
- ママという立ち位置が確立されたじゃない。それは「VERY」のおかげだと思うんだけど、ママたちに向けた製品も増えたし、いいよね。
- 今尾
- 選択肢は広まったり、働くママも増えてきたし、後押ししてくれるアイテムが増えているでしょうね。
主婦に誇りを持っている
- 黒田
- 主婦という言葉が今は、ちょっと使う?
- 今尾
- 「VERY」は主婦の方がターゲットなので、他の雑誌よりは主婦という言葉を使わせていただいたり、10年前に「主婦らしい私が今の誇り」というタイトルを編集長になって数ヶ月で作らせていただいた特集があったんですけど、主婦という言葉がネガティブに捉えられていた10年前、主婦くさいねとバカにされたりしれ。主婦でいらっしゃる方たちは主婦業に誇りをもっていらっしゃるし、楽しんでるし、ただ社会では・・・
- 黒田
- ちょっと地位が低い感じになってしまうのな?
- 今尾
- ちょっと若い人からはバカにされてしまうというか、だから「主婦くさい」より「主婦らしい」、それを褒め言葉というか誇りに思えるように自分たちでいたいよねという特集をしましたね。あとは、「家族がいちばん、仕事が二番」という特集があったんですけど、仕事は大事だけど、家族が一番に決まっているじゃんというか、それは男性も気持ちは一緒だと思うんですけど。
- 黒田
- 年代によって一生懸命になる方向、一番とか二番が変わってくるから、まだ、みんな「VERY」を読んでいる人は子供が小さかったり、若い夫婦だったり、そういう方たちは自分の今の状況を一生懸命だと思うの。だからその時代を働いていようが、家のことはみんなやっているんだから、それはすばらしい時間なんだということを教えてくれる本だと思うんだよね。
- 今尾
- そうですね。
- 黒田
- でも、人生はいろいろあるから嫌なことがあったら、雑誌を見て、私は違う、こうはなれないと、思うかもしれないけど、いつか、こういうふうになれるようにと思えればそれはそれでいいし。
- 今尾
- もちろん一年中、ハイテンションでキラキラしていてくださいとか言っているつもりはないんです。家族は、いろいろあるから、乗り越えて、こんな時もあったけど、今はこういう風に前を向けましたっていう「家族のコトバ」という連載があって、家族の形を取材しているそのページもすごく人気があって、雑誌なので泣いている顔は出さないけど、いろんなものを抱えての笑顔なんだとかという部分を切り取らせていただいているのが「VERY」なので。当然泣いたり怒ったりは大騒ぎですよね。
- 黒田
- それはみんなそうだよね。
- 今尾
- きっと読者の方も私たちも共有している根底かなと思っています。