変わらない一生懸命さ
黒田知永子さん(モデル)×今尾朝子(雑誌「VERY」編集長)
2017
08.13
変わらない一生懸命さ
女子大生の時にモデルデビューをし、雑誌「JJ」、「VERY」、「STORY」、「eclat」とそれぞれの年代を代表するファッション誌の顔として活躍されてきている黒田さんと現在、雑誌「VERY」の編集長を務めている今尾さん。仕事をはじめたばかり、駆け出しの編集者と、その雑誌のトップモデルという形で出会ったおふたり。それから月日を経て、おふたりの関係はどう変化しているのでしょうか?
「VERY」創刊時
- 黒田
- 私が「VERY」に誘ってもらったのが34歳の時で、
- 今尾
- 「VERY」という雑誌が創刊する時に当時の編集長たちが「黒田さんだ!」と言って、蕎麦屋に呼び出して・・・。
- 黒田
- そうそう!今尾ちゃんはまだとっても若者だったよね。
- 今尾
- 大学出たてみたいな・・・。
- 黒田
- 名物編集者みたいおじさんに仕込まれていたよね。
- 今尾
- そうですね。まだあの頃は男性の編集者のほうが多く、若い女性は、ひとり、ふたりとか、そんな感じでした。
- 黒田
- 今は違うの?
- 今尾
- がらっと変わって、女性のほうが圧倒的に多くて。
- 黒田
- そうなんだ!
- 今尾
- 今度遊びに来てください。
- 黒田
- なつかしい。
- 今尾
- 私、新人でしたし、チコさんに怒られた気もする。
- 黒田
- え?どういうこと?
- 今尾
- 私も生意気なんでしょうし、年が違うけど、喧嘩したイメージもあるし、でも、楽しく作っていましたよね。
- 黒田
- ワイワイ作っていた。その当時のママやその年代の子たちが、これからどうしようかな?何をしようかな?自分のやっていることはこれでいいのかな?そんなことを作っている人たちも探り探り答えを少しずつ提案していく感じだったよね。
- 今尾
- 今もその作り方は変わらずに受け継いで、それを10年後やらせていただいているだけだし、あの時と変わらないですね。チコさんに教えていただくこともあったし。
- 黒田
- 撮影の時に自然にみんなベラベラしゃべっていたから、そこからもみんなヒントを得ていたよね。
リーダーシップの取り方
1995年創刊された「VERY」は、子育て世代の女性たちをターゲットにし、現在、出版不況と言われている中、圧倒的な支持を得ている雑誌です。そのヒットの立役者が、当時35歳という若さで編集長に抜擢された今尾さんです。
- 黒田
- 今尾ちゃんが編集長になると聞いた時には、もう当然だろうなと思った。
- 今尾
- えー!
- 黒田
- それは、「VERY」を経て、「STORY」もずっと一緒にやって、その表紙が今尾ちゃんの担当で一番目立つものを作る場で彼女のこだわりや一生懸命さは「VERY」の時から変わっていないし、たぶん今も変わってない。人の話も聞くし、仕事好きだし、ほんとうに一生懸命なの、だから今尾ちゃんが編集長になると聞いた時に、それは当然だし、すばらしいなと思った。
- 今尾
- ありがとうございます。私はそんな風に思っていなかったので、今、おっしゃっていただいたように仕事好きだし、おもしろかったし、自分でいうのもアレですがバカみたいに一生懸命。
- 黒田
- すごいズタ袋いっぱい持ってくるの。その中に昨日買ったキャベツを出すのを忘れましたーとか言って。
- 今尾
- 起きている時は仕事のことばっかりだし、仕事が溢れていたけど、それはただ現場をたくさん持っていただけで、まさか自分が編集長をやりなさいと言われ、びっくりで頭が真っ白になってしまったし、できるのかなとか自信もなく。
- 黒田
- 何の心配もなかった。絶対大丈夫だと思ったし。
- 今尾
- ほんとうにびびりましたね。
- 黒田
- そうだったんだ。大変だったと思うよ、当時若かったし、初めての女性編集長になるのはやっぱり、違うだろうなと思ったから、仕事以外にも大変なことがあるんじゃないかなと思って心配はしていたけど、今尾ちゃんならきっと大丈夫だろうかなと思っていたのよ。
- 今尾
- ありがとうございます。そんな風に心に思ってくださるみなさんのパワーが後押ししてくださっていたんだと思います。私が編集長になった時に当時の社長がプレイングマネージャーとして自分の働き方を編集部で見せながら、とりあえず編集長をやれと言われ、編集長職は何をするのかよくわかっていなかったんですけど、自分で働き方を見せながら巻き込んでいくようにとアドヴァイスがあったので、自分自身で特集をもったりしていました。そんな明確なビジョンがあったわけではなく、毎号毎号作って、働いていて嬉しいのはそれが評価されたり、まわりからおもしろかったと言われるのがなによりもモチベーションになるじゃないですか。そういう声をいただきながら、みんなこの人に付いてもいいのかなみたいな気持ちを持ってくれて、だんだんとまとまっていったという感じですかね。
- 黒田
- 今、何年になるの?
- 今尾
- まさかの10年になるんです。
- 黒田
- やり方は変わってきたところあるのかな?
- 今尾
- 自分がプレイングマネージャーでみたいのは最初の数年で、みんなにまかせるようにそれぞれのポジションを作っています。
- 黒田
- その間に今尾ちゃんの人生もいろいろ結婚したり、子供が生まれたりしたもんね。
- 今尾
- そうですね。そこで働き方ががらっと変わりましたね。