今までにない役に挑む

荻上直子さん(映画監督)×桐谷健太さん(俳優)

2017

02.19



CM、TVドラマや映画で活躍する俳優としてだけではなく、最近では、歌手としてもお茶の間に歌声を届け、昨年末には紅白歌合戦にも出場を果たした桐谷さん。一方、荻上さんは、過去に『かもめ食堂』や『めがね』といった作品を発表し、これまでの日本映画界にはなかった作風で知られる映画監督です。そのおふたりが、今回、タッグを組んだのが、2月25日(土)から全国ロードショーになる映画「彼らが本気で編むときは、」。今朝は、おふたりが初めて出会った時の第一印象から、今までにない役に挑戦した桐谷さんの”熱い思い”についてお聞きしました。

一皮むけた経験


この作品は、今、日本でも関心が高まりつつあるLGBT、セクシャル・マイノリティの女性、リンコを主人公にした物語。このリンコを演じたのが、生田斗真さん。そして、リンコの恋人役を桐谷健太さんが務めました。



荻上
ドラマで桐谷さんのことを見ていて、絶対に性格のいい人だなと思っていたら、そのままの人がいらしたから、今もその印象は変わっていないです。

桐谷
監督は自分で本も書いているので、ビジョンがはっきりしているし、日常もそうなのかなと思います。海外で暮らしていたこともあると思うし、歯に衣着せずと言うか、非常に傷つくこともありましたけど(笑)。

荻上
うそ!なに?

桐谷
でも、役者としてはすごくありがたく、「よし!」となったので、そのほうがいいんです。斗真とオレに「今の全然カップルに見えません、早く抱き合って!」とかも言われました。

荻上
男どもの友情の匂いがする。LOVEが足りないLOVEがみたいな。

桐谷
現場が楽しく和気あいあいとしているのもいいんですが、監督のように、はっきりしていて、ちゃんとピシッとした状態で作り上げる。それで出来上がった作品がすばらしいので、今回は、斗真も言っていましたけど、監督のおかげで一皮むけさせてもらったという感じです。


チャレンジングだったトランスジェンダーの恋人役


桐谷健太さんといえば、テレビドラマ『ROOKIES』だったり、映画『クローズZERO』など、硬派でかっこいい!というイメージがありますが、この度、挑戦したのは、トランスジェンダーである恋人の心の美しさに惹かれ、彼女を受け入れ、あたたかく見守る男性。この難しいキャラクターをどのようにして作り上げていったのでしょうか。

荻上
TVドラマで桐谷さんを見た時に、30歳を過ぎて、すごく男の色気が出ているなと思って。

桐谷
ありがとうございます。

荻上
それで一緒にお仕事してみたいなと思ったんですよね。

桐谷
嬉しいっすね。

荻上
あと物理的に生田君よりも大きいから、守ってあげられる人というのもありますね。

桐谷
たしかに。マキオは、見た目は普通ですが、リンコちゃんは、ちょっと差別を受けてしまうような役柄だったので、そこが斗真が演じる上で心をどうしていくのか、フィジカルな部分で見た目として女性に見えるのかという点が、非常に難しかったと思う。マキオは、そんなリンコちゃんを包み込むところがあったり、トモにも子ども扱いせず、対等に接する部分もあったり。今回、お芝居していますとなると違うと思っていたので、トランスジェンダーやゲイの友だちに電話していろいろ聞いて、マキオを構築していったんです。でも、監督と飲みに行った時に、マキオのイメージは、監督の旦那さんなんだよねっていう話をしていただいた時に見えたんですよね。

荻上
へーーー。私の夫は桐谷さんみたいにかっこ良くなくて、ほんとうにもっさい男で、つまらなくて、ダサいんだけど、すごく優しいんですよ。

桐谷
それがいいじゃないですか。ケンカした時のこととかお話してくれて、どれだけ怒っても向こうは、がっと怒ることなく、ボソッと「自分勝手だな」と言うんですよね。

荻上
私がギャーギャー言っているのをずっと、耐えて耐えて、それですからね。

桐谷
それが俺の中でいいなと思って、マキオがすごく自分の中で染み込んでいく感覚があったんです。その後、2時間くらい、斗真と話ながら散歩している中でだんだん染め上げていきました。

荻上
 聞いてみたかったな。おふたりが何をしゃべっていたのか。

桐谷
何をしゃべっていたのかな?けっこう飲んでいましたから。とにかく、ひたすら遊歩道を2人でずっと歩きながら話していたんです。



『彼らが本気で編むときは、』
【公式ホームページ】
生田斗真、柿原りんか、ミムラ、小池栄子、門脇麦、柏原収史、込江海翔、りりィ、田中美佐子、桐谷健太

脚本・監督:荻上直子
2017年2月25日(土)、新宿ピカデリー、丸の内ピカデリーほか全国ロードショー!
配給:スールキートス

© 2017「彼らが本気で編むときは、」製作委員会



これまでの記事

その他の記事