「いい男」、「いい女」とは?
桜沢エリカさん(漫画家)×谷村志穂さん(小説家)
2016
11.27
恋愛小説の名手と呼ばれる谷村さんと大人の恋愛をテーマにした漫画を数多く手がける桜沢さん。そんなおふたりの恋愛観に迫っていきました。
出会いの見つけ方
- 桜沢
- 私にとって、人を好きになるのは、すごく動物的な感じなの。
- 谷村
- 全く同じ。
- 桜沢
- 生理的にダメな人とはダメじゃない。動物的な感じで”この人好き”から、深く好きになれるかどうかよね。
- 谷村
- もっと一緒にいたいとか。
- 桜沢
- でも、今の子たちは、この動物的な感覚が使えていないのでは?人と出会う時はどんなルーティンの中でも出会うよね。
- 谷村
- 出会うよね。電車の中でも出会うし。
- 桜沢
- 自分が出会いたいと思っていれば出会うんだよ。その時、出会いたいと思っている自分にちょうどいい相手が来るのよ。
- 谷村
- 桜沢さんの開運祈願。
- 桜沢
- でも出会いたければ、ある程度は男受けを考えたほうがいいよね。男の人の好きなものにちょっと近づけたりすると受ける。あと大事なのは、自分にとって何が譲れないのかということ。それが、ルックスだったら仕方がない。
- 谷村
- それにつきるよね。自分にとっての”いい男”でいいのだから、みんなの”いい男”である必要はないよね。
- 桜沢
- 彼を連れて歩いて、周りから「イケメンの彼うらやまし」と言われたいならしょうがないよね。でもちょっと見た目はアレでも、すごく大事にしてくれるとか。その人にとって、大切にするものが違うから。
- 谷村
- 桜沢さんは、何を大事にした?
- 桜沢
- 夫とは居心地の良さですかね。あと、すごくおもしろかった。
- 谷村
- わかる。
- 桜沢
- おもしろい人が好きなんですよ。
- 谷村
- 楽にしてくれるというかね。私は仕事で神経質になる時があるから、そういう時に和ませてくれる人がいいんだなってずっと思っていた。
- 桜沢
- 彼は和ませてくれるんだ。
- 谷村
- げらげら笑うようなおもしろさではなくてクスッと外してくれる。私にとってそれがすごくいいことだったし、みんなそれぞれ大事にしているものが違うからね。だから、「いい男ってどういう男ですか?」とか「いい女ってどういう女ですか?」という話は実は答えがなくて自分にとってどういう人かっていうことだと思うんだけどね。
- 桜沢
- そうだね。
自分の道を自分で切り開く
谷村さんは、この夏、北海道の大沼を舞台に、戦後間もなく山梨から嫁いで来た3姉妹をモデルにした小説「大沼ワルツ」を発表されました。北海道の大自然の中で、男性を愛し、生き抜いてきた女性たち。そんな彼女たちの力強さや、たくましさに魅力を感じたことからこの小説を書き始めたそうです。
- 桜沢
- 3姉妹とはどうやって知り合ったのですか?
- 谷村
- 私は函館に家を持っているんだけど、その家のデザインをしてくださった方のお父さんとお母さんの話だったんです。どうしたらそんなことが起きたのか、お話を聞きに行ったのが最初。
- 桜沢
- そうなんだ。
- 谷村
- そうしたら、その3姉妹は85歳から91歳まで、みんなまだお元気で。みんなで大沼の麓でオシャレな暮らしをされているんだけど、いつもお昼になると、一緒にお食事されているんですよ。大沼という土地の魅力もあったんだけど、北海道自体、開拓で入植した人らまだ5代くらいしか経っていないの。
- 桜沢
- そんなもの?
- 谷村
- 明治の時だからせいぜい遡って5代か6代。最初はかっこいい男性の家に嫁いで、風景もいいわって思うんだけど、だんだん響いて行く優しさを感じたっていうのかな。相手だけ好きと思っていたんだけど、この家族の歴史はこういうことだったと響いていって、いつしかそれが自分にも大切になってくる。それが私には、いろんな状況があっても自分の幸せは自分で切り開くことだったと思えたの。今の時代、何かのせいにする人が多い中、自分の幸せを自分で必死に切り開いて行く感じが、すごいと思って。
- 桜沢
- 何かのせい?
- 谷村
- 今つまらないのは、忙しすぎるとか、出会う場がないとか。いつの時代でも自分の道を切り開いている人はいいなと感じ、それを書きたいなと思った。
谷村志穂:北海道絶景の地の実話も元にした奇跡の物語「大沼ワルツ」が小学館より発売中
「小学館」公式ホームページ
桜沢エリカ:今も第一線で活躍するベテラン芸能記者を軸に華やかなりし昭和の芸能界の光と影を描いた
「スタアの時代1〜3」が光文社より発売中
「光文社」公式ホームページ