女性の色気とは
篠山紀信さん(写真家)×矢吹春奈さん(女優)
2016
10.16
日本を代表する写真家のひとりとして時代の先端を切り取ってきた篠山さん。中でも数々の女性たちを前にシャッターを押し、彼女たちの持つ魅力を最大限に引き出してきました。そんな篠山さんと運命を変える出会いを果たしたのが女優の矢吹春奈さんです。最初に撮影した時から波長が合ったおふたり。その後、10年が経ち、再会を果たした矢吹さんが「今だ!」と思って決意し、篠山さんにヌードの撮影を依頼します。
ヌード決意した理由
- 篠山
- 突然、「ヌード撮りません?」と矢吹さんがおっしゃるから、「えーー!」となったんですが、あれはどういう心境の変化だったんですか?
- 矢吹
- 自分の中でこういう人生がいいなとイマジネーションをしているんですけど、グラビアもやっているし、芸能界で生活するのであれば、ヌードを出したいと思っていました。ただタイミングはわからなくて、先生と再会した時にすごく今だっていう気持ちになったんですよね。
- 篠山
- 僕は一番始めに会った時から狙っていましたけどね(笑)
- 矢吹
- ほんとですか!
- 篠山
- 矢吹さんの魅力は、完成した写真集「春奈」を見れば全部わかるけど、身体も均整がとれていて美しいのですが、一番美しいのは、心根。あなたの正直な感じ、性格の良さは芸能界には向かないくらいだよ。
- 矢吹
- 嬉しいですけど、そんなのオフィシャルで言わないでくださいよ(笑)。
- 篠山
- 矢吹さんが乗っていて、いい!という気持ちになってくれているのがわかる。僕もそういう気持ちで撮れるんだよ。でも、ちょっと悪い人のほうがエロい。この写真集はステキな写真ばかりで、エロいことをやっているだけど持ち前の品の良さと心根の優しさと育ちの良さで、私の写真には似つかわしくない品のいい作品になりました。
- 矢吹
- いつも思いますけど、先生の写真はすごく品がいいです。
- 篠山
- 私は悪い人だからそういうのを隠すのはうまいんですよ(笑)
本当のエロさ
- 篠山
- 女のモデルさんが胸も掻きむしって、ハーハー言うのがエロいというわけではないんだよ。
- 矢吹
- では、どこにエロスが?
- 篠山
- ふっとした表情とか、後ろ姿や、ふっと振り向いた顔が”おーいいじゃん!”ってなるね。
- 矢吹
- ふとした気をぬいている瞬間ですね。
- 篠山
- そう。構えられるよりも無防備でいてくれたほうがいいですよね。でも無防備でいるというのは信頼関係だからね。デジカメのおかげで撮った写真をすぐに見ることができて、この人だったらちゃんと撮ってくれるとわかって、まず心を開いてくれることが大事。
- 矢吹
- デジカメがない時はどうしていたのですか?
- 篠山
- 昔はポラロイドってのがあったんだよ。信頼関係を作るのに役に立ちましたよ。でも、撮ってから見られるまで時間がかかるんだよね。それにポラロイドは高いしね。
- 矢吹
- ポラロイドで心を開いてもらって。
- 篠山
- そうそう。
- 矢吹
- そうなんですねぇ。心を開いて、解放的になるとエロスがでる。日常的に解放しないとダメですよね。
- 篠山
- 読者に対しても無防備な状態でふっと寄って来てくれる。それはエロいじゃないですか!
- 矢吹
- 確かに人の無防備なところなんて、なかなか見られないですもんね。