夢のつかみ方

武井壮さん(百獣の王)×藤田晋さん(サイバーエージェント代表取締役社長)

2016

09.04



9月に入り、学生のみなさんにとっては、新学期のスタート。あらたに目標を定めて、がんばっていくタイミングです。そこで、「百獣の王」武井壮さんとサイバーエージェントの代表取締役社長を務める藤田晋さんが、子どもの教育から就職の悩みまで、独自の視点でアドヴァイスしてくれました。

ジュニア教育





武井
最近、スポーツでも勉強でもジュニア教育がすごく叫ばれていますよね。僕は、あまり重要視していないのですが、藤田さんは、どう思いますか?

藤田
今、ちょうど息子が、3歳なんですが、どうなのか?まだわからないですね。

武井
親としては、どういう道を進ませたいと思うんですか?

藤田
それは個人の自由だと思いますけど、例えば、プログラミングを習ったら、将来何か役に立ちますし、ゴルフを一生懸命やれば、儲かるから、もしかしたらゴールがあるかもしれない。そういうゴールがあるものとないものにハマりはじめた時には違いがありますよね。友人の息子がアメフトを始めたのですが、アメフトにはプロがないから、高校か大学で辞めることになる。もし、プロになりたいと言われたら厳しい人生が待っているから親としてはイヤだそうで、サッカー選手だと試合に出られるか出られないかくらいが一番かわいそうだから、それなら、そもそもプロがないスポーツのほうがいいと、その親は言っていました。


武井
僕、ジュニア教育は何でもいいと思っていて。スポーツにしてもゴールがないことの一番の問題は、やっている大人自身がゴールがないことに気づいていないのと、そのゴールが、小さい入口しかないのに、そこに向けて尽力することが何かいいことみたいに世の中が受け取っているのを勘違いして、ただ努力しているのが大きくて、大人が夢がないのに子どもに夢を託して英才教育しているのが今のジュニア教育のひどい例だと思っているんですよ。

藤田
大人が勉強不足なのか、気づいていないのかと思っていましたけど、自分で夢を乗せている可能性がありますよね。

武井
そうなんですよ。例えば、僕みたいにマイナースポーツをやっていたのに、有名になってしまって、たいしたレベルでもないのに、おじさんの大会で優勝するくらいで番組ができるみたいな。社会的な意味合いとしては成立するじゃないですか。逆に、今は、選手サイドからそういう形に落とし込むように動くこともできるけど、大人が夢見られない業界のくせに子どもに夢をみなさいと言っていることが多いから、30代からでも40代からでも、これをスタートしたらこんな風になれるんだと見せてる大人が少ないと思う。だから藤田さんの本「渋谷ではたらく社長の告白」には夢があるなと思ったんですよ。藤田さんは、ミュージシャンを目指していた時期もあって、アルバイトをして、その後、社会人になったところからここまでくる。「渋谷ではたらく社長の告白」を読んだ時に夢あるなーと思ったんですよ。

藤田
確かに「渋谷ではたらく社長の告白」を読んで若者が起業したけど撃沈しましたとかなり言われたんで、複雑な気持ちではあるんですけど(笑)

武井
でも、あの本のおかげで夢が叶った人も確実にいるので。だから、業界に対しての見方とか進み方、ゴールのありなし、もしゴールのないものを愛してしまったら、自分がメディアになって、それを広げるしかないことをジュニアたちに、教えてあげようと思っていて。

藤田
教えられる大人がいないんですよね。

武井
そうなんですよね。


進路決定が早すぎる





藤田
「キッザニア」や「13歳のハローワーク」も流行って、好きなことを仕事にしようみたいに言われますが、それは違うと思うんです。就職活動の時に旅行が好きだから旅行代理店に務めたいという人が多いんですけど、旅行が好きと旅行代理店で働くのは違う話なので、そういう世の中の仕組みについて、早いうちに教えないといけないけど、学校教育ではスルーされてしまいますよね。

武井
藤田さんに授業やってほしいくらいですよ。そもそも日本では、決断の時期が早いと思っていて、大学卒業の時期は何もわかっていないじゃないですか。僕は、スポーツを始めたけどゴールのない種目を選んでしまっていたと、後で気づくんです。高校卒業の時に進学か就職かを迫れられる。新卒で会社に入って、その会社とともに人生を歩むことを選ぶとか、就職活動をしている子はそこで、人生が決まってしまう覚悟で臨むけど、その割に世の中のことを何も知らなくて仕事もわかっていなくて、でも選ばないといけない。そんなの無理ですよ。

藤田
前よりかはましになってきましたけどね。僕や武井さんがその歳だった頃は、お見合い結婚のようによく知らない男性とお見合いして、後は人生歩んでくださいみたいな就職だったけど最近の学生は、ませているので、ネットで調べまくり、その会社について知り尽くしているし、インターンも主流なので、しばらく働いて雰囲気をみて入社しています。ただほとんどの企業は、新卒でしか採用しないので就職か、そうでないかをあそこで決めろみたいになっていますよね。

武井
あれがよくないと思っていて。もう1タイミングくらい28〜30歳手前くらいに大学生の就活的なタイミングを作ったらおもしろいと思うんですよね。

藤田
企業の採用タイミングを対応化させたら解決すると思うんですけど、みんな一気に採用するので。

武井
それは企業としては可能ですか?

藤田
可能だけど、あそこで取るのが効率がいいし、みんなが就職活動をしているので、そうとうのてこ入れが必要。簡単には変わらないですね。

武井
なるほどね。


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